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宮崎県民の期待
宮崎県民の東国原知事に対する期待は、やはりその知名度でありブランド力なのではないでしょうか。つまり、ブランド力は、単に商品にだけ化体するものではなく、人とその人のイメージにも化体するのです。特に宮崎県は観光県でもあり、また地場産品も多く、地域ブランド時代の救世主として、「そのまんま」ブランドに対する期待は絶大なのだと思います。
「そのまんま」は使えない?
とはいえ、本当に「そのまんま」ブランドを、あらゆる地場産品に使えるのでしょうか?
「答えはNO」です。すでに「そのまんま」やそれに類似する商標が他社により登録されています。一見すると東国原英夫さんの著名な芸名をそのまま用いた他人の出願にも思えますが、実際には「そのまんま」だけであれば、必ずしも他人の著名な芸名とは言えないでしょう。彼の当選前の時点ですでに50を越える登録があったようですが、おそらく当選以降、便乗した出願もあるでしょうから、かなりの登録および出願が、宮崎県や東国原知事本人以外からなされていると思われます。
使ったら他人の商標権を侵害
では、宮崎県やその関連団体が、新たに「そのまんま」を商品名にした商品を世に出したらどうなるのでしょう?
他人の商標権を有する商品名と出所の混同を引き起こすような状況になれば、当然に宮崎県側は他人の商標権を侵害することになります。東国原知事の就任により、その知名度が経済的にも意味あるものになってしまいましたので、出所混同を起こすような「そのまんま」の使用をすれば、既存の権利者の利益を大きく損なう可能性は大きいと思われます。
「そのまんま東」なら?
では、東国原知事は「そのまんま」をまったく使うことができないのでしょうか?
決してそんなことはなく、例えば「そのまんま東」と本来の芸名をそのまま使ったり、彼の写真とセットで使ったりと、あくまでも彼本人の芸名であることが明らかになるような使い方をすれば、問題を回避できる可能性はあると思われます。
すべての話題がブランドに通じる時代に
今回の話は、一つの県の県知事が代わったという政治的な出来事に端を発していますが、このような状況からしても、世の中のすべての話題がブランドや商標権に通じる時代になっていることを、みなさん自身、実感していただけたと思います。自分の会社の商品名やお店の名前だけに眼を向けているだけでは、ブランド時代を乗り切れる時代ではないのです。商標制度の十分な理解が不可欠なことを、今回の話題も物語っていると言えます。