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登録できるサービスの具体例
特許庁の新たな審査基準として具体的に示された指定可能な役務(サービス)をいくつかご紹介します。「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」あたりが、皆さんの業務に直結する代表例だと思います。身の回りの小物を扱うショップ名、ファッション系のショップ名、飲食物の販売店名といったことです。これまでは、これらサービス業(販売業)では、お店の名前で商標登録できなかったので、商標なんて関係ない世界でしたが、いよいよ商標戦乱へ突入というわけです。
出願時期
今回の小売り店名の商標登録解禁にあたり、特例期間が準備されます。出願すべき時期が明確になっているといってもいいかと思います。具体的には、2007年4月1日から三カ月以内の期間に出願する必要があります。この期間以降に出願すると、不利益を蒙る可能性があります。この期間に出願された同一の商標・同一の指定役務の案件は、同日出願としてみなされ、優劣なく審査されます。本来なら一つの商標権は一人にしか与えられないのですが、この期間の出願で所定の要件(後述)を満たす場合は、同一の商標権が複数の者に付与されます。
出願前の具体的な対象方法
上で「所定の要件」と書きましたが、具体的には、その商標を 2007年4月1日より前に使っていることです。特に株式会社を設立してから使い始めている必要はなく、具体的にお店を開店し、該当の商品を販売しているという事実があればいいようです。ただ、その販売などの事実を商工会議所などの機関で証明してもらう必要があります。ですから、開店したら商工会議所の会員になるとか、より確実な手立てを講じておいた方がよいかと思います。
つまり、お店の名前は使った者勝ち!
具体的な対処方法でもおわかりでしょうが、ずばり、今回の法改正をストレートに言えば、「お店の名前は使った者勝ち!」ということです。ただし、新たに権利が取得できたからといって従来からその商標を使用している者を、すべて排除できるわけではありません。新たな権利により既得権が脅かされるのは、先に使用してきた者に酷だからです。逆に言いますと、今回、自らが権利化できなくとも、他人の権利化以前から使用していれば、その範疇においては使い続けられる可能性が残るということです。