知的財産:Vol.07 業界に激震。不二家問題から企業ブランドを考える。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
不二家の不祥事が明るみに出て、皆さんは不二家に対しての想いがどのように変化したと感じられているでしょうか?この変化は、とりもなおさずブランドイメージの変化と言えます。不二家の事件をブランド力という観点で考えてみたいと思います。

不二家のブランド

 「不二家」というとなんと言っても“ペコちゃん”と“ポコちゃん”ですね。いつのころから使われているかは私も分かりませんが、かなりの歳月、日本人に親しまれてきたことと思います。そして、そのキャラクターに秘められた国民の想いはどこにあったのでしょうか。おそらく“ペコちゃん”と“ポコちゃん”に対して国民が抱くイメージは、お菓子よりもまず先に、その優しく愛くるしい表情なのではないでしょうか。そして、そのイメージが甘くおいしいお菓子に結びついているのです。つまり、国民は不二家のお菓子に対して、“愛“や” 優しさ“を感じ取っていたのだと思います。実際、”ペコちゃんのほっぺ”という、そのイメージを最大限に生かした商品も考えられてきたわけですから。

 

“ペコちゃん”と“ポコちゃん”が守ってきたもの

 そしてなにより“ペコちゃん”と“ポコちゃん”が守ってきたのは、不二家の信頼なのではないでしょうか。「小さな子供でも安心して食することができるお菓子を提供し続けてきたい」という想いが、この2つのキャラクターに宿っていたのだと思います。商標法の法目的でも述べられているように、“商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護”してきたわけです。実際、“ペコちゃん”と“ポコちゃん”は立体商標として商標権があたえられ、他者にその信用が毀損されぬよう又は希釈されぬように保護されるに至っているのです。

 

信頼に理由はない

 “ペコちゃん”と“ポコちゃん”に、何故信頼が化体したのか説明できる人はおそらくいないと思います。小さなお子さんが、“信頼”などというイメージを持ってお店に足を運ぶはずもありません。逆に言えば、“信頼”を得るのに何らかの理由があるのではなく、当たり前の品質を当たり前のように保つことが、その基礎になっているのです。

 

ブランドが身を焦がすこともある

 今回の事件についてブランドに携わる者としての見方を説明させていただくと、不二家はそのブランド力に負けたのだと思います。あまりにもブランド・イメージが強くなってしまったが故に、本来第一に考えるべき消費者への配慮が欠けてしまったのでしょう。ブランドが逆に、経営判断を惑わしてしまったのではないでしょうか。

 ブランド力を高める努力は当然に必要ですが、その裏に根付く信頼はお客様あってだということを忘れないようにしたいものです。

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