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ドメイン名を巡る争い
ある中小企業が、社名の英語表示をそのままにドメインを取得したのがきっかけで、会社自体が存続できなくなってしまった例もあります。
その会社の社長さんは、社名をそのままドメインとして登録するなら何の問題もないと思い、そのまま会社のサイトのドメインとして使おうと、ドメイン登録したのです。ところがそれは、国内の著名な電子機器関係の社名の英語表示とほぼ一致していたのです。メーカー側から登録抹消を求める警告を受けた社長さんは、おろおろするばかりで何の対処もできませんでした。そのメーカーの存在を知らなかったとはいえ、内容証明郵便が送られてきたこと自体に大きなショックを受けました。ましてや自分の会社の名前がダメだと言われたわけですから。
その社長さんは、会社自体の存在を否定されたような錯覚に陥り、会社を存続させていく自信を喪失してしまい、会社を閉じる決断をしました。その後の対処が悪く、ドメイン名の抹消手続を怠ったために、更なる警告を受けてしまったとのことです。
あなたは、著名や周知の商標と争いますか?
この社長が争うとすれば、著名な商標登録を有する企業と対決するしか道はありません。もしあなたが、このような状況に追い込まれたら、戦いを挑みますか?精神的な面、時間的な面、そして金銭的な面で、おそらく争っていこうと考える人は少ないのだと思います。しかし一方で、その社名で業績を挙げつつあったりでもしたら、悔しさが湧くのではないでしょうか。
著名・周知商標調査もお忘れなく
この会社はそれほど古い会社ではなく、インターネット時代になって設立された会社で、当然、類似商号調査をしていたわけですが、それだけでは十分ではなかったということです。登記できればそれでいい時代ではないのです。ましてやインターネットでビジネスをしようと考えている場合、ドメイン名にまつわる調査は必須です。
そのための1つの手段としてお勧めしたいのが、著名・周知商標調査です。特許庁の特許電子図書館には、「日本国周知・著名商標検索」が用意されています。このサイトを用いて、自分が使おうとしている商号と同一又は類似の商標がないか調べるようにおすすめします。著名商標の場合、商品やサービスの同一性に関係なく、出所混同が生じるため、業種にかかわらず調べる必要があります。会社設立の時は、著名・周知商標調査もお忘れなく。