知的財産:Vol.03 三分で商標調査!外部から訴えられないために

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ある保険会社が、新しいタイプの保険の名称を決定することとなりました。今回は、商品の名前を決める過程での留意の一例を示します。

新しい商品の商品名の公募

 ある保険会社が、新しいタイプの保険商品の名前を公募したことがありました。従来からのお客さんはもちろんのことインターネットを介して一般からも応募を募り、もっとも支持の集まったの名前を商品名に使うことと、選考上位には懸賞金を支払うことをうたい文句にしていました。そして、数十点の応募があり、選考会議、役員会議をへて1位から順に5作品が選定されました。もちろん、選考結果は応募者に通知され、1位の商品名を実際に使用すべくパンフレットの制作が始まりました。

 

「○○社が商標権侵害で敗訴!」

 こんな新聞記事を目にした保険会社の部長さんが、うわずった声で「うちの新しい商品名は、大丈夫だろうね?」と電話をかけてきたのです。もちろん商標調査をしているわけではありませんので、私も答えようがなく、その部長さんに商標調査の必要性を説明して作業をすることになりました。そして調査の結果はというと、1位、2位の商品名はすでに他社が商標権を取得しており、かろうじて3位の商品名がOKなという残念な状況でした。もちろん他社の権利を侵害するような行為はできず、1位、2位の応募者に謝罪したうえで、3 位の商品名を採用する事態となりました。幸いにも、この会社は保険商品を世に出す前に商標調査をしたために、最悪の事態は避けられましたが、選考段階で商標調査をしておかなければならなかったことはいうまでもありません。

 

3分間の商標調査でも

 「3分なんて短い時間では、十分な調査はできない」と考える人が多いのではないでしょうか。しかし意外と簡単にできる商標調査もばかにならないのです。実際には、特許庁のホームページの特許電子図書館(IPDL)の商標の「称呼検索」を使います。この「称呼検索」の画面で、使用したい商標の読みと区分又は類似群コードを入力して検索します。ちょっとした操作で、関連する過去の出願等が出てきてびっくりされることと思います。ただし、あくまでも大ざっぱな確認ですから、内容を評価する場合には弁理士等の専門家に相談することをお勧めします。

 

商品に使いたい名前は似通っている

 さて、この事例では商標権の問題の他に、「商品に使いたい名前は似通っている」という隠れたポイントがあることに気がついたでしょうか?もともとその商品が持つイメージがあるため、そこからかけ離れた印象を与える商品名が選択されることは少ないということです。しかし、広告宣伝能力が高い大手メーカーはいざ知らず、「誰もが使いたいような商品名では、他社との差別化は到底無理」というのが現実です。商品の既存のイメージにとらわれず、奇抜なネーミングも時には必要なのかもしれません。

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