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「おふくろさん」という商標は登録出来るのか?
指定商品・指 定役務にもよりますが、登録される可能性はあると思われます。さすがに、お母さんが商品ということはあり得ませんから、商標法上の識別力は有していると思 われます。
歌のタイトルを第三者が商標登録できるの?
まず、「おふくろさん」に関してですが、この表現だけでは、すぐに歌のタイトルだと認識することは難しいので、歌のタイトルという視点は不要だと思いま す。では、明らかに歌のタイトルだとわかるような場合はどうでしょうか?今のところ、歌の著作権を管理している団体の見解として、タイトル部分には著作権 はないとしていますので、第三者により登録される可能性はあると思われます。ただし、商標法では、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがあ る商標は登録させない旨を規定していますので、登録が拒絶されることもあり得ます。
歌詞の一部分の場合は?
歌詞の一部分の場合で、明らかに特定の歌詞の一部だとはっきりわかるような場合には、登録されない可能性が高いと思われます。登録が拒絶される理由はいく つか考えられます。まず、そのような内容の場合、商標自体の文字数が多くなりキャッチフレーズ的になってしまい、商標としてはみなされなくなります。ま た、他人の著作権と抵触する関係になるわけですから、公序良俗に反する出願とみることもできます。
商標権と著作権との抵触
歌に限らず、例えば、デザイン化された商標が、他人の著作権と抵触する場合が考えられます。この場合、どのように解決するかが商標法に規定されています。 具体的には、商標法29条で、「その商標登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様 により登録商標の使用をすることができない」とされています。つまり、商標権を取得したのにその商標を使用できない場合があるということです。
お互いの権利の尊重
商標権は特許庁という国の機関によって審査されて登録されるのに対し、著作権は著作物が完成した時点で登録を要せず権利が発生します。このため、商標権に 対して著作権が低く見られる傾向にあるのは否定できない事実だと思います。しかしながら、いずれも正当な権利として認められたもので、その価値に上下は無 いと思います。
大切なのは、いずれの権利もお互いに大切に保護し、育てていこうとする姿勢だと思います。