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誉めるところがひとつもない人など、どこにもいません。
「誉めるところなんてないよ!」と部下の弱点ばかりをみてしまう経営者の方が多くいらっしゃいます。でも本当にそうでしょうか?この連載記事をここまで読み進 めてくださった読者の方にはもうおわかりだと思いますが、そんなことをおっしゃる社長には、本当にスタッフのことを理解していますか?と問いかけたいです ね。仕事のうえで何をやってもうまくいかない人がいたとしても、その人には細かい気配りだったり、朝の元気なあいさつだったり、何かひとつでも優れたとこ ろがあるのではないですか?そういうところをよく観察して、拾い上げて、ご自分が感じたとおりのことを言葉にしてみましょう。そうすれば、「誉めなきゃい けないんだ」と思って無理に不自然な対応をする必要もなく、相手に承認のメッセージを伝えることができます。
「誉めればいいってもんじゃ ないだろう」というご意見には、私も同感です。本当に取り返しのつかない失敗をしたときに誉めてばかりいては本人の成長になりませんから、しっかり叱るこ とが必要な場面もあります。では、誉めることと叱ることをうまく使い分ければいいのかというと、私はそこにも少し違和感を覚えます。
相手のいいところを引き出す、その意識が一番大切
アメとムチを使い分けるという考え方があり ます。アメはご褒美、ムチは罰、ですね。一昔前まではこの2つを使い分けることでマネジメントできると信じられていました。でもそこには限界があると私は 思います。人はご褒美のためだけに働くのでもなければ、罰が怖くて動くのでもないですよね。
アメでもムチでもない、とすると、何が人を動かすのか?ということになりますね。それは人と人との関係であり、相手のために「誉める」こと「叱る」ことであると私は思っています。失敗すれば叱っても いいでしょう。相手が失敗を繰り返さないためにそれが必要ならばその事柄について叱ることは必要ですね。それでも忘れていただきたくないのは、その後の フォローです。失敗したとしても、その次に相手のいいところを引き出すための承認のメッセージが必要なのです。大きな失敗をした人に対するアクノレッジ で、相手の心は動きます。心が動けば人は動くのです。
モテる社長の条件―その5
相手によって接し方を変えることがあっても仕方ないと思います。それは、誉めて動く人もいれば、叱って動く人もいるからです。1人の人に対してアメとムチ を使い分けようなんて思うから、「社長の考えていることがわからない」なんていわれてしまうんです。本当にモテる社長は、自分のスタンスをしっかり持って います。自分の基準でもいいから、真正面から部下と向き合うということが大切です。叱ってもいいんです。誉めちぎってもいいんです。社長の中に「軸」がき ちんとあることが相手に伝われば…。
モテる社長の条件―その5
「社長の中で誉める基 準、叱る基準を持ちましょう。使い分けようなどと思わずに!」