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問題解決プロセスと合致するGROWモデル
私達コーチは、多くの場合コーチングをするときにある流れに当てはめてクライアントの話を聴き、目標達成のサポートをしています。それがGROWモデルです。コーチングの流れの中で、次のようなステップの頭文字をとったものです。
G…Goal 目標の明確化
R…Reality 現状の明確化 Resource 資源の発掘
O…Options 選択肢の創造
W…Will 意志確認
右の図にあるように、目標(Goal)と現状を行ったり来たりしながら、それぞれを明確にしていきます。この明確化ができているのとできていないのとでは、コーチングの成果に大きな差があります。コーチングでは、人によっては数カ月にわたってこの部分を扱うこともあります。
目標(Goal)と現状がはっきりしてくると、そこにあるギャップに気がつきますよね。次にこのギャップを埋めるために、使える資源(resource)を洗い出します。リソースというのは自分の周りにあるすべてのものです。代表的な経営資源といわれるモノ・ヒト・カネ・情報・時間はもちろんですが、それらを具体的にすると同時に、それ以外にも使える資源があるかどうかも確認していきます。最終的にすべてが出揃ったら、まず何から手を付けていくのか、行動の選択肢を洗い出すのです。いくつもある選択肢のうち、何を始めに取り掛かるかというのも重要ですね。最後に、意志の確認です。このゴールに向かって、本当に行動するつもりがあるのか、あらゆるリソースを使って手に入れる覚悟があるのかどうかを確認するのです。
これがGROWモデルといわれるコーチングの流れです。
ゴールと現状の明確化が行動を加速する
簡単な例で考えてみましょう。
最近なにかと話題のメタボリック症候群。他人ごととも思えなくなっている方も多いのではないでしょうか?そういえば、3年前に比べると体重も増えているし、お腹回りも気になるようになってきた、そうだ、ダイエットしようかな。と思い立ったとします。そこで、モテる社長はどうするでしょうか?
G= まずは目標をたてます。 「よし!6カ月で3年前の体重に戻すぞ」
R=次に、現状とのギャップを探り、ゴールを明確にします 「今80キロだから、半年後には75キロにしよう」
それができたら、使えるリソースです。ダイエットの方法はさまざまですが、家族に協力していただいて食事に気をつけるとか、運動をするとか、思いつく限りのことをリストアップします。
O=具体的に行動に移すために、リソースを最大限に利用して、選択肢を決めます。私のクライアントは、外食のときは必ず少し残すようにする、残業で遅くなっても夜10時以降は食べない、水を1日2リットル飲む、週2回はジムに通うなど、たくさんの選択肢をあげました。
W=最後に、自分自身の意志を確認します。これはもちろんコーチがいたら効果的なのですが、最後の最後で妥協しないように、選択肢の中から行動に移すことを決めた事柄について、紙に書いたり、周囲の人に宣言したりします。本当にダイエットするつもりがあるのかどうか、自分自身に確認しながら…。
こうしてGROWモデルに当てはめたものは、当初の「ダイエットしよう」よりもぐっと具体的になって、行動が加速していきます。始めにぼんやりした目標を立ててしまったり、現状が自分でも見えないようだと、なかなか行動に移しにくいものですが、目標と現状がはっきりしていれば、あとはそのギャップを埋める行動を決めるだけです。前述のクライアントは、8カ月で、なんと 10キロ以上のダイエットに成功し、今もまだそれを続けています。
何かを考えるときはGROWモデルを思い出しましょう
今回は、ビジネスの話とは離れた事例でご紹介しましたが、いかがでしたか?
GROWモデルは、こうした身近な事柄から、ビジネスの大きな目標まで、あらゆる目標達成のサポートになります。今月の売り上げを300万円上乗せしたいとか、もっと社員がやる気になる人事制度を作りたいなど、そうしたテーマにも有益です。
繰り返しますが、あなたにコーチがいればさらに強力なサポーターになってくれますが、コーチがいなくても日ごろからGROWモデルを意識していれば、さまざまな目標達成や問題解決のプロセスに頼れる存在になるはずです。ぜひ試してみてくださいね。