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「組織の見える化」これが私の理想像です。
鴻田さんは、「モ テる社長って言われても、実はぴんとこないんですよね」と申し訳なさそうに言います。「モテるとかモテないとかは、自分が決めることではなくて、関係する すべての人の評価なわけですよね。自分でこうなろうとかこうしようとか、あまり考えていないです。ただひとつ、自分で会社を立ち上げるときに実現したいと 思ったのは、『見える組織』を作りたい、ということだけです」。
会社に勤めていたり大きな組織の中にいると、それが当たり 前のように感じますが、「組織」というものには必ずといっていいほど、大きな壁だったりスクリーンなどが存在しています。そこに一石を投じます。
「かなり規模の大きなプロジェクトにも参加していましたから、当然関わる組織は大きいところが多いです。もっというとそのプロジェクト自体が短期的な組織 なんですよね。組織の大小は関係ないかもしれないけれど、とにかく組織というのは見えなくなりがちなんです。知らない間に要件が変わっている、運用方法も 変わっている、そういうことがざらにありました。他の人が何を考えてどんな仕事を進めているのか、どういう目的をもってそこにいるのかが見えないから、そ ういうことが起こるのだろうと思います」
では、「見える」組織を作るためには、どうすればよいと考えているのでしょう？
「まずは、目的を共有すること。それにはコミュニケーションが一番大切なんです。10言ったつもりが、2しか伝わっていなくて、悔しい思いを何度もしまし たから」
考えさせる質問を投げかける
個人の集まりというだけではない組織の力を発揮するためには、組織を「見える化」
していくことが必要。
そのためにはコミュニケーションが一番大切と話す鴻田さん。自分の会社で一緒に
仕事をするスタッフに対して、いつもどんなことに気をつけているのでしょうか。
「仕事の内容や進め方について、相手に考えさせる質問を投げるようにしています」
と言い切ります。
「僕自身、常に考えていたいんですね。改善する点だとか、新しい価値を生み出す
こととか。誰かの真似をするのではなくて、自分で考えた結果を形にしていきたいん
です。そういう意味では、スタッフにも常に考えていてもらいたいです。だから、そ
ういう考えさせる質問をしているのでしょうね」
知らず知らずのうちに、コーチングの肝である「質問」をスタッフに対して投げかけているのですね。
コーチがする質問は、決してこちらが知りた いことを知るための質問ではありません。相手に考えさせ、相手が行動しやすいように頭の整理をするためでもあります。(Vol.6参照)鴻田さんがスタッフに投げかける「考えさせる質問」は、コーチングの質問と同じだといえま す。質問を投げられたスタッフは、それに答えるべくしっかりと考えをめぐらせ、答える過程でアウトプットとして自分の中に定着していくのです。
業務を創っていくこと。個人から組織へ成長していくために必要なこと
—会社を設立しても うすぐ2年ですが、これからの課題などを教えてください。
「今、ちょうど次のステージに移るときが来ていると思っています。
安心して 任せられる体制・組織作りが課題なのですが、まずは『業務を創っていく』ことをしていきます。この『業務』とは、見積り・受注・契約・開発などの一連の事 務的な流れを創っていくこと。見える化です。僕がひとりで抱えていると、誰にも見えない。任せられない。人の採用も進めていきたいですし、 自分の考え方を伝えていくことも必要だと思っています」。
こうして、組織創りを一歩一歩進めていこうとする鴻田さんですが、お客様だけでなく、 スタッフにもモテモテの社長として成長していくのがとても楽しみです。
「人のせいにはできなくなります」これから起業する方へのメッセージ
—最後に、これから起 業する方や起業したての方にメッセージをお願いします。
「起業したら、絶対に人のせいにはできなくなります。そのことを常に意識しておく必要が あると思います」と、わが身を律するような視線で答えてくださいました。スタッフのミスもお客様の勘違いも、すべてひっくるめて社長の責任であり、誰のせ いにもできません。そうした“覚悟” を決めたからこそ、今また新たなステージへと足を踏み出していこうとしているのだと、その”覚悟“が強く伝わってきました。
■ 会社概要
STSD株式会社
所在地 ： 東京都渋谷区
設立年月 ： 2005年6月
事業内容 ： Webシステム開発コンサルティング・業務分析・設計・開発、ネットワーク構築支援、ソフトウェア導入支援、Javaアプリケーション･フレームワーク導 入コンサルティング・技術支援・開発サポート
URL ： http://www.stsd.co.jp/
