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人の個性は十人十色
人間には個性があります。小説の世界を除いては、全く同じ能力を持ち、同じ考え方をする人間は存在しないでしょう。「十人十色」とは単に性格だけでなく、 行動パターン・考え方・得意・不得意・好き嫌いなど、「人の個性のすべて」についてあてはまる言葉だと思います。
私たちは他人に接する時 に、つい、接する相手も自分と同じ考え方や、同じ価値観を持っていると、勘違いしてしまうものです。私はプロ野球にあまり関心がないのですが、髪を切りに 行った際に、お店の方から延々と日本シリーズの話をされて、うんざりした経験があります。
事業に「人のチカラ」を活用する考え方の基本 は、起業家は「十人十色」という考え方を本気で受け入れるということ。つまり、「『人のチカラ』の多様性を理解し、受け入れる」ことなのです。
ここで、あえて「受け入れる」という言葉を使っているのは、なぜでしょうか?それは、起業家には、「他人の感情面の多様性についてある程度はそれを認め、 その上で自分の事業に協力を求める、あるいは参加してもらう」覚悟が必要だという意味を含んでいるからです。
個性を組み合わせてチカラを発揮する
自分と異なる嗜好、感性を持った 人に、自分の事業を手伝ってもらう。こう聞くと、なかには面倒臭いと感じる方もいるでしょうね。同じような価値観の人だけが集まって、事業を進めたほうが 効率的に思えるかもしれません。
しかし別の視点で考えると、全く異なる絵が見えてきます。人には個性があるということは、それぞれが「独 自の得意技」や、「独特の感性」を持っているということです。この、「独自の得意技」や、「独特の感性」を組み合わせることで、それぞれが1人では作り出 すことができなかった、新しい価値を創造できる可能性が生まれるのです。
たとえば、腕の良い調理人は、素材を生かした味の良いレストラン を開くことができます。とても気が利くサービス係は、心地よい時間を過ごせるレストランをオープンできるでしょう。でも、2人のチカラを組み合わせること ができれば、「味が良く、心地よい時間を過ごせるレストラン」を経営することができます。
お客様がどの店を選ぶかは、言うまでもありませ んね。さらに、そのお店は「競合」に対して「強い競争力」を持つことができるのです。
人が十人十色であるために、チームで仕事をするのが 難しくなる時があります。できれば避けたいと思うかもしれません。しかし起業家ならば、あえて、十人十色の多様性から新たな価値が生まれる可能性のほう に、目を向けていただきたいのです。