「情報収集」を「調べる」と「出合う」の2パターンに分けて考えてみます。「調べる」は、自分が知りたい特定の事柄につ いて、積極的に情報を収集する場合です。「出合う」は、仕事をしている最中や、日常の新聞・雑誌などを読んでいる際に、たまたま興味のある情報を入手する パターン。友人・知人と話している時などにもよくおきることです。
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「調べる」時 には、時間の経過を考える
「調べる」ための方法は、知りたいことが明確ですから、分かりやすいはずなのですが、ある程度慣れないと無駄 な手間がかかります。企画を立案するために必要な情報を集めるには、書籍や文献を調べますね。その情報が載っていそうな雑誌や新聞を読んでみることもする でしょう。最近では、グーグルやヤフーで検索したり、Web百科事典のウィキペディアで調べたりすることでしょう。
この「調べる」際に は、自分の調べたい情報が発生した時点から実際に調べる時までの、経過時間を考慮することが大切です。というのも、ある情報が発生して、その後の時間の経 過に伴って、その情報の内容が変化したり、取り扱ったメディアによって解釈や詳しさが変化したりするからです。
ある出来事が起きると、お そらくその日のうちに、インターネットやテレビ・ラジオなどの速報性が高いメディアで概要が伝えられます。その翌日には新聞が取り上げて、もう少し詳しい 状況が伝えられます。そして、世のなかの関心をひく事柄であれば、1週間後には週刊誌が、1カ月後には月刊誌がという具合に、雑誌がさらに詳しい情報を伝 え、その後、書籍として出版されることもあります。そこで、それぞれの時点での情報を比較・検討して、情報の正確さや詳しさを確認していくのです。
「市場と顧客」「競合」「環境」のフレームで「情報源の目次」を作る
仕事に関連したことを 「調べる」時にも「市場と顧客」「競合」「環境」のフレーム(Vol.20参照)に分けて情報を分類することを忘れないでください。このフレームの活用 と、時間の経過を考慮した情報の比較・検討を重ね合わせることで、どの領域のどの時点の情報が不足しているかが明らかになり、おのずと不足している情報を 収集するようになるはずです。
このようにして「調べて」いくと気付くことがあります。それは、調べ進めるほどに、複数の情報源に接触をし ているということです。これが定着すると、あることを調べる時には、どのような情報源にあたればよいかといった、「情報源の目次」があなたの頭のなかに作 りあげられ、自然に情報源の多様化が進行していきます。
一般的には、時間が経過してから記述された教科書や専門書の方が、情報の網羅性が 高く、整理されていると考えることができます。この特性を利用して、専門的な事柄を深く調べたい時に私が活用している方法の一つが、放送大学テキストの 「参考文献リスト」の活用です。人文科学・社会科学系360科目の教科書それぞれが、とても見やすくできています。記述もわかりやすいものが多く、平易な 情報から段階的に複雑な情報を探索していく手順をとることができ、「調べる」時に重宝しています。
自分の領域を1階層上から俯瞰すると情報源が多様になる
情報に「出合う」チカラを高めるには、 「広さ」がキーワード。自分の専門領域を扱った情報が載っている雑誌、Webマガジンなどを日常的に読むことは必須ですが、それだけでは、得られる情報に 偏りが出る恐れがあります。そこで、自分の仕事の領域だけでなく業界全体や関連領域を少し深く、かつ広く俯瞰するメディアの利用をお勧めします。たとえ ば、消費者向けの領域(B to C)で仕事をしている方なら、「日経流通新聞」に定期的に、ざっと目を通すといった具合です。
このよう にしていくと、しだいに、自分の仕事に関連した多様でかつ有効な情報に「出合う頻度」が高まります。そして、あなたの頭のなかに「情報に出合うルート」がた くさん記憶されていきます。ここまでくればしめたもので、自分の専門や興味関心を引く事柄に触れながら、多様な情報源ができていくのです。
大切なのは、自分の専門領域の掘り下げだけにこだわらず、ものを見る視点を1階層高くし、少し視野を広げて情報に接し続けることです。