「問題意識」とは、ある現象や状況について、それが起きている根本的な原因や、それを起し ている仕組みを解明し、追求しようとする考え方です。
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問題意識の始まりは「なぜ?」と、問い続け ること
身近な例をあげましょう。
レストランでビーフシチューを食べて「おいしい」と感想を言うだけだとすれば、それは 問題意識が発生していない状態です。それに対して「おいしいな。なぜ他のお店よりおいしいのだろう。どこが違うのだろう」と考えた時が、問題意識の生まれ た瞬間です。しかし、ここで「料理人の腕がいいのだろうな」とか「有名なお店だからだろう」などと、なんとなく結論を出して納得してしまうと、そこで問題 意識は途切れてしまいます。このように、疑問を客観的に検証せずに、漠然と結論を出してしまうことが、私達は意外に多いですね。
ところ が、そこで終わらずに、「本当に腕がいいだけだろうか?材料が違うのか?調理法は?隠し味は何だろう…?」と、「?」が重なっていった時に「問題意識」が フル回転を始めています。さらに「?」が重なると「そもそもビーフシチューに適した牛肉とは?」「腕のいい料理人とはどんな能力を持った人だろう?」と、 「?=問い」のレベルが高くなったり、より深くなったりしていきます。こうなっていって、それぞれの「問い」に対して答えを出すことができたら、「おいし いビーフシチューの作り方」が解明されます。
「問い」と「答え」の連鎖を作り出 す
ということは、「問い」のレベルの高さや、「問い」の詳しさや深さ(どれだけ原理原則に近づく「問い」かということ)、そして「問 い」の重なる回数などの違いによって、得られる答えの内容が異なってきます。さらに、ある「答え」が得られると、それに対して「新たな問い」が生まれ、ど んどんと「問い⇒答え⇒問い⇒答え」の連鎖が生まれてきます。その結果、「答え」の内容は深まり、何らかの「原理原則」や「画期的な解決策」などに繋がっ ていくのです。
ビーフシチューに問題意識を持ったとしても、その持ち方が普通のレベルだと「普通のビーフシチューの作り方」が得られる答 えになり、深くて高い水準の問題意識を持っていれば、「問いと答えの連鎖」が成立し、「究極のビーフシチューの作り方」にたどり着くこともできるのです。
問題意識力は、単なる好奇心や疑問を持つチカラというわけではありません。好奇心や疑問を、継続的な「問い」の重なりとして積み上げ、自分自身の価値観や 人生の捉え方などと照らし合わせながら練り上げていく、「奥の深いチカラ」なのです。
強い問題意識は起業の原点
「どこの店のビーフシチューがおいしいか」と、ちょっと思う程度で は、その人の人生が変わることはないでしょう。しかし「究極のビーフシチューを創るにはどうすればよいか」という問題意識を持ち続け、それを作って多くの ヒトに食べてもらおうという想いが加われば、その人はレストランを起業するかもしれません。実際に、あるきっかけから問題意識を持ち、それが起業の原点に なった起業家がたくさん存在します。
ファンケルの創業者の池森賢二さんは、奥さんが「肌に合う化粧品がない」と悩んでいたことから問題意 識を持ち、無添加化粧品の製造販売を思い立ちました。
また、QBネット創業者の小西國義さんは、従来の理髪店が髪のカットから髭剃りまで がセットになった料金で、かつ、時間がかかることに「なぜどこのお店も同じ、使い難い仕組みなんだろう」という問いを発したところから、カットのみ10分 間で1000円という、理髪店チェーンのQBハウスを展開しました。
問 題意識を高める4つのコツ
ここでは、問題意識力を対課題スキルの一つとして取りあげていますが、これは問題意識力の一側面を捉えている ものだと受け止めてください。問題意識力の全体像はもっと深みがある、人間の、より根源的な考え方にも関わるものです。
とはいえ、問題意 識力を高める第一歩は「?」を積み重ねることです。そこで、「問いを積み重ねる」コツを4つあげてみましょう。
・ゴールは何かを常に考える ⇒ 果
・なぜそうなったのか、原因を考える ⇒ 因
・環境( = 空間 )からの影響や関わりを考える ⇒ 空
・時間による変化や影響を考える ⇒ 時
問いを重ねることとは、「時空・因果」、つま り「世界」を考えることに繋がるのです。