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情報を解釈しやすい大きさに分けていく
「情報分析力」はビジ ネスを進めていくうえで、誰にでも必要なトランスファラブルスキルで、対課題スキルの一つです。
いくらよい情報をたくさん集めることができても、 そこから何らかの結論を出したり、企画を立案したりするなど、ビジネスに利用することができなければ、意味がありません。そこで、あるモノゴトについて収 集した情報を「解釈」して「判断」し、活用できる「結論」を導き出すのが、「情報分析」です。
「市場と顧客」「競合」「環境」という「3つの箱」に分けて情報を収集していくと 、あなたの頭のなかやパソコン、そしてノートなどに、大雑把に分類された「情報の塊」が作られ ています。これらの情報を解釈するには、大きな塊のままではうまくいきません。そこで、大きなスイカを食べようと思えば、食べやすい大きさに切り分けるよ うに、この情報の塊を「解釈」しやすい、適当な大きさに分けていきます。この、適当な大きさに「分ける」ことを「分類」といいます。
目的が違えば分け方が変わる
「分類」を進めるうえで重要なのは、「何のためにその情報を分析 するのか」という「情報分析の目的」をハッキリさせることです。
例えば、自社の製品が「どの地域」の「どんな業種」で「どのような評価を 受けているのか」ということが知りたいとしましょう。その場合は、あなたの持っている「情報の塊」のなかから、顧客による自社製品に関する評価についての 情報をたくさん引っ張り出します。あなたは、営業所からの月報、ユーザーアンケート、営業会議の報告書など、多種多様なジャンルの情報を持っていることで しょう。でも、そのままでは「塊」です。
そこで、まず始めに、それらの情報を同じジャンルの情報ごとに、「関東」「甲信越」といった大く くりの地域ごとに分類します。ここで、まずポイントになるのが「地域の詳しさ」を決めることです。自分が知りたいのが「関東」の「どんな業種」で「どのよ うな評価を受けているのか」なら、この時点で「地域」を分けることは終了です。
しかし、自社の営業所の配置にそって、地域の広さを「都県 単位」まで求めるのならば、さらに「関東」を「東京」「千葉」…と分け、次に「業種」に分け、最後にそれぞれの「業種ごとの評価」に関する情報を列挙して いきます。
ここまで情報を「小さい単位に分ける」ことができると、自社の製品に対する評価の情報から、「業種による評価の特徴」を見つけ出 したり、「業種間で評価が似ている点、異なっている点」などを「比較」したりして、「解釈」することができるようになります。
もちろん、地域のくくりが大きい情報が欲しければ、「都県」だけでなく「関東」でも業種による評価の特徴を分類します。このように、多種多様なものが複雑 に存在し、混然一体となっている情報は、段階を追って、適切な大きさに「分類」することで、容易に「解釈」することができるのです。
付箋を使うと分けやすい
実際に「大きな情報の塊」を段階を追って分類してい こうとすると、上に挙げた例の「地域」のように、広さや行政区画などで整然と小さくできる「情報のくくり方の基準」を、容易に見つけることができるとは限 りません。そもそも、どんな基準で分類していったらよいのか、見当がつかない場合もあるでしょう。
そんな時に、私はポストイットなどの糊 つき付箋を使います。
まず、自分が分析したいことに繋がると思われる情報を、一つずつ付箋に書き出します。大きなテーブルの上に張りなが ら、段階を考えずに似たもの同士を分類します。次に、その分類したグループに、情報の内容を象徴する「グループ名」をつけます。こうすると、分類されたグ ループの相互の関係が見えてきます。いちいち情報を書き写すのが面倒くさいようですが、キーワードだけでも書いていくことで、個々の情報の理解も深まって いくのです。
ちなみに、付箋を使わずにメモ用紙でもできるのですが、風で飛ぶことがあるのでご注意ください。