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起業コストが安い中国
中国は日本より物価が安いです。北京の 物価は東京の1/4ぐらい。地方都市に行けば、物価の差はさらに大きくなります。このため、起業するときに必要な資金も、日本より安く済みます。もちろん 始める事業にもよりますが、例えば、私が5年前、北京で駐在員事務所代行サービスを提供する会社を設立したときの初期費用は下記のとおりです。
家 賃:9500元(14万2500円)/月+敷金1カ月分(50㎡、冷暖房電気代水道代込み、立地は東京で言えば新宿付近、オフィスビルのランクとしては中 の上ぐらい)
オフィス家具:1万元(15万円)(社長机、イスセット、木製キャビネット、事務机×4、事務イス×4、スチールキャビネッ ト、茶棚、ロッカー、会議机、イス×6)
オフィス機器:2万5000元(37万5000円)(パソコン2台、FAX、プリンター)
人 件費:3000元(4万5000円)/月(新卒1名、日本語可)
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合 計:5万7000元(85万5000円)
主要な経費は上記ですが、その他の事務用品などを含めても日本円で100万円は かからなかったのではないかと思います。私は日本で起業をしたことがないので、あまりよくわからないのですが、日本で同規模の会社を起業をするコストと比 べると、ずいぶん安いのではないでしょうか。
外資企業の最低資本金
中国で起業する際には、実際にかかる費用は少ないのですが、外国人や外国企業が中国で会社を設立するに当たっては、比較的高額の最低資本金額が規定されて います。最低資本金は会社を登記する都市、業種によっても違うのですが、北京で規定額がもっとも低いコンサルティング会社を設立する場合でも、最低資本金額は 10万米ドル(1200万円)となっています。
同じ北京のコンサルティング会社でも、中国人や中国企業が会社を設立する 場合の最低資本金額は10万元(150万円)ですので、外国人の個人に対してはかなり高い参入障壁が設けられていることがわかります。
日本人の中国起業は高付加価値の事業で
このように起業コストが安い中国ですが、起業コストが 安いからといって、付加価値の低い仕事を始めてしまうと、事業はうまくいっているのに、日本でサラリーマンをやっていたときより収入が減ってしまう、なん てこともありえます。
起業する人にとって、コストが東京の1/4なのはよいのですが、普通に事業をしていると同じ規模で も、売り上げも1/4、利益も1/4になってしまいます。それに競争相手は、月1万元(15万円)も収入があれば「月収3倍、脱サラ起業大成功!」という ような感じですので、こういう人たちと価格競争をしても勝てる見込みはありません。せっかく日本の会社を辞めて、一念発起、中国で起業して事業を軌道に乗 せても、月収15万円では「日本でサラリーマンをやっていた方がよかった」ということになってしまいます。
日本人が中国 で起業をするにあたっては、中国の人たちとの価格競争に陥らないような高付加価値の事業を展開して、低い起業コストを存分に享受できるようにすべきなので す。
写 真:社長机、イスセット
私が起業したときに買った社長机とイスのセットです。占めて3000元(4万5000円)なり。中国はオ フィス家具が日本と比べると破格の値段で買えるのですが、それでも起業したときには少しでも出費を抑えたかったので、普通の事務机を買おうと考えていまし た。しかし、友人の中国人老板(らおばん、オーナー社長)から「社長が普通の事務机に座ってたら、中国ではお客さんにバカにされて、商売うまくいきません よ」と諭され、ちょっと無理して買いました。