中国で起業 Vol.10 北京で日本料理店を成功させるポイントは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
「海外で日本料理 店を経営」というと、非常にハードルが低く、日本人なら誰でもできそうな気がします。しかし、ここ北京では、日本人経営の特色を出さないと、中国人経営の お店との果てしない価格競争に巻き込まれてしまうのです。

急激に増加した日本料理店

 北京で起業した日本 人自体は、まだまだそれほど多くはないのですが、そのなかでもっとも多いのはやはり飲食業、特に日本料理店での起業です。

 私が北京に来た11 年前の1996年、北京にはまだ数えるほどしか日本料理店がありませんでした。しかも、そのうちの大部分がホテルのなかに入っており、お料理のお値段も現 地の物価水準から考えるととんでもなく高いものでした。このため、日本料理を食べるのは、日本企業の駐在員か、公費で接待をする中国企業の人たちなどに限 られていたのです。

 しかし、その後、北京の日本料理店は急激な勢いで増加し、今では市内に200-300軒ほどあると言われています。そ の結果、日本料理店間の競争も激しくなり、低価格で日本料理を提供するお店も出てきたため、今では一般庶民でも「今日はちょっと奮発して、日本料理でも食 べに行くか」ということが可能になりました。

 

「食べ放題」で「おいしいものをお 腹いっぱい」

 中国の人たちの日本料理に対するイメージは、何しろ「量が少ない」というものです。せっかく値段の高い懐石 料理で接待をしても、「ちまちまとした料理がたくさん出てくるけど、これじゃお腹いっぱいにならないよ」と文句を言われてしまいます。

 中 国料理は一般的に、大皿に料理山盛りで出てきますので、中国の人たちがそういう感想を持つのも仕方のないことです。日本人は「おいしいものを少しずつ」食 べるのが好きですが、中国人は「おいしいものをお腹いっぱい」食べるのが好きなのです。

 この問題を解決したのが、日本料理の食べ放題で す。食べ放題ならば、好きなものをお腹いっぱい食べることができます。数年前から北京の日本料理業界では、食べ放題の価格競争が起こっており、どんどん値 段が下がってきたのですが、今では昼は68元(1020円)、夜は150元(2250円)ぐらいで落ち着いています。

 

「二極分化」と「専門店化」

 中国人経営の日本料理店がこうした食べ放題の価格競 争をする一方で、日本人経営の日本料理店は、そうした価格競争に巻き込まれないように、日本人ならではの高付加価値の単品料理で勝負するところが多いで す。北京の日本料理業界は、低価格の食べ放題店と、高価格の単品料理店に二極分化しつつあります。

 北京の日本料理業界のもう一つの最近の 傾向は、専門店化が進んでいる、ということです。従来の北京の日本料理店は、寿司あり、焼き鳥あり、ラーメンありの総合日本料理店がほとんどでした。それ が、最近では、寿司屋、焼き鳥屋、ラーメン屋など、日本と変わらないような専門店が増えています。

 専門店は総合日本料理店と違ってメ ニューが限られていますので、その料理を食べたい人しか来ない、というリスクがあります。しかし、逆に、多くの人に「○○を食べるならここ」と認知しても らって、遠くからでも来てもらえるようになれば、十分採算がとれるのではないでしょうか。

 今後、北京の日本料理業界の二極分化と専門店化 はさらに進んでいくことが予想されます。日本人がこれから北京で日本料理店を開くとすれば、「日本人ならではの高付加価値の単品料理を提供する専門店」と いうコンセプトが、成功のポイントになるのではないか、と思います。

 

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写 真:山葵屋

 私の会社の近所にある「山葵屋(わさびや)」という日本料理店です。昼の食べ放題にビー ルとソフトドリンクの飲み放題が付いて68元(1020円)。加えて夜の食べ放題は、メニューが昼より豪華になり、清酒の飲み放題も付いて150元 (2250円)です。従来の北京の日本料理店は、「いかにも日本!」というような内装と料理だったのですが、このお店の内装は非常にモダンで、お料理も ちょっと変わった創作日本料理の他、ピザやスパゲティなども食べられます。北京の日本料理業界は、「これは他の店には負けない!」という「売り」がないと 生き残っていけないぐらい、競争が激化しているのです。

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