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日本人「だけ」をターゲットとしたお店はリスク大
北京で日本人が「日本人ならではの高付加価値の単品料理を提供する専門店」というコンセプトで日本料理店を開くことを決めた場合、次に問題となるのが、 ターゲットとなる客層と立地です。
「日本人が海外で日本料理店を開く」となると、どうしても現地に住む日本人を主なターゲットにしがちで す。しかし、現在、北京に住む日本人は1万2000人ほど。日本で言えば、町村レベルの人口です。さらに、毎日のように、外で日本料理を食べる人は、単身 赴任で来ている日本企業の駐在員ぐらいのものですので、日本人「だけ」をターゲットとしたお店は大きなリスクが伴います。
ここは、やは り、日本料理とは言え、いかに1500万北京市民のみなさんにたくさん来ていただけるか、ということが、繁盛店になるかどうかの分かれ目ではないか、と思 います。
ターゲットは「確定申告対象者」
た だ、1500万北京市民、と言っても、「高付加価値で高価格」な日本料理店に行ける人はまだ限られています。中国では今年から高額所得者に確定申告が義務 付けられるようになりましたが、確定申告の対象となる年収12万元(180万円)以上の人は北京には20-30万人。全納税者500万人のほんの5%にし かなりません。
日本人が開く「高付加価値で高価格」な日本料理店がターゲットとすべきなのは、この「確定申告対象者」20-30万人、と なります。
「確定申告対象者」はどこにいる
で は、この「確定申告対象者」はどこにいるのでしょうか。年収12万元と言えば、月平均の収入は1万元(15万円)。この収入を得られるのは、個人企業の老 板(らおばん、オーナー社長)か、外資系企業の管理職以上の人たちです。
こうした人たちが勤めているオフィスは、北京の繁華街・王府井 (わんふーちん)からCBD(Central Business District)の中心に位置する国貿橋(ぐぉまおちゃお)に至る長安街沿い、それと、国貿橋から空港高速の入り口がある三元橋(さんゆぇんちゃお)に 至る三環路沿いに集中しています。北京に進出している日本企業も、その多くがこのエリアにオフィスを構えています。
北京で「高付加価値で 高価格」な日本料理店を開くならば、このエリアの周辺に開店し、日本人駐在員と同時に、中国人の「確定申告対象者」をターゲットとするべきなのではない か、と思います。
写真:国際貿易センター
北京のビジネスの中心、CBD(Central Business District)のど真んなかに位置する国際貿易センター、通称「国貿(ぐぉまお)」です。「国貿」およびその周辺のビルには、多くの外資系企業や中国 の大企業が事務所を構えていますので、ターゲットとすべき「確定申告対象者」がたくさんいるのですが、お家賃も超一流ですので、日本料理店を開店するに当 たっては、採算が取れるかどうかの計算を綿密に行う必要がありそうです。