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金払いの悪い中国企業
以前に比べれば金払いの悪い会社はかな り減ってきてはいますが、それでもなんだかんだ理由をつけて代金を払ってくれない会社はまだまだあります。
日本では会社の信用問題にかか わりますので、代金の支払いはきちんと契約書に記載された条件に基づいて行うのが常識ですが、中国企業、特に国有企業の中には、会社ぐるみで不払いを奨励 しているところもあると聞いたことがあります。そういう会社では買掛金を踏み倒すと、財務担当者の成績が上がるのだそうです。
個人企業にとっては会社の存亡に関わる問題に
当社も以前、中国企業から翻訳の仕事を受注した 際に、なんだかんだと難癖をつけられて翻訳代金を5万元(75万円)ほど踏み倒されたことがあります。創業間もない時期でただでさえ資金が乏しいのに、下 請けの翻訳者の人たちにはその乏しい資金の中から持ち出しで支払いをしなければなりませんでしたので、精神的に非常に大きなダメージを受けました。
当社の場合はこの程度の被害で済んだのでよかったのですが、これがもっと大きな金額だったら、駆け出しの個人企業にとっては、会社の存亡に関わる問題に なってきます。不払いの問題は、日本で起業する場合には、それほど気にしなくてもよいのかもしれませんが、中国で起業する場合には、万全の対策を講じてお く必要があるのです。
前金を払ってもらう
不払いを防ぐために は、お客さんに全額前金で支払ってもらうのがもっともよい方法なのですが、よっぽど売り手市場の商品でない限りそんな条件はとおりません。せいぜい、商品代金の 30%とか半額とかの前金を払ってもらうのが精一杯です。その前金でコストがカバーできれば、とりあえずお金は回りますので、残金を払ってもらえなくても 会社存亡の危機に見舞われるようなことはありません。
しかし、モノやサービスがちまたに溢れた今の中国では、企業間の競争が激しくなり、 日本と同様、ほとんどの商品が買い手市場となっています。こうした状況下では、全額後払いの支払い条件を飲まなければ、商売上がったりになってしまいま す。
全額後払いでもお金を払ってもらうには
全額後払いの条件 でもお金を支払ってもらうには、お金をきちんと払ってくれる会社にだけ売るか、または、その会社にとって自社がお金をきちんと支払わざるを得ない重要な取 引先になるか、しかありません。
金払いの悪い中国企業は、お金を持っていても払いませんので、企業信用調査で支払い能力を調べることは、 それほど意味があることではありません。また、中国は弁護士費用が物価の割には高額ですので、少額の不払いで訴訟を起こすとたとえ勝訴して代金を回収でき たとしても、弁護士費用を支払うとマイナスになってしまう、などということもありえます。
中国企業と取り引きをする際には、きちんとお金 を払ってくれる会社なのかどうかを見極める眼力を磨くのと同時に、自社のモノやサービスを高付加価値化して、取引先に「きちんと代金を支払って、この会社 と長期的に取り引きすることがわが社の利益にもなる」と思ってもらうことが、不払いを防ぐ最善の対策なのかもしれません。
写真:カーローン
中国建設銀行のカーローンの看板です。こうし た無担保のカーローンのおかげで、中国のモータリゼーションは急激に進みましたが、一方で、予想とおりと言うか案の定と言うか、借りたお金を返さない人が続 出、どこの銀行も多額の不良債権を抱えることになってしまいました。中国では、モノを買っても払わなかったり、借りたお金を返さなかったりという人が、日 本より多くみられます。