中国で起業 Vol.15 中国起業の落とし穴(1)

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今の中国は成功の チャンスにあふれています。しかし、中国で起業すると、日本の常識からは予想もできないところに掘ってある落とし穴に落ちてしまうことがあります。そうし た落とし穴に落ちないように会社を経営していくことは、容易なことではないのです。

中国起業の落とし穴

 破竹の経済成長を続ける中国。そして、日 本よりはるかに未成熟な市場と、購買力をつけつつある人々。今の中国は成功のチャンスにあふれています。40年前の高度経済成長期の日本のような熱気があ ります。「そんな中国に渡って一旗挙げたい」と考える日本人は、今後ますます増えていくことが予想されます。

 しかし、中国で起業すると、 日本の常識からは予想もできないところに掘ってある落とし穴に落ちてしまうことがあります。浅い落とし穴ならば、足をくじくぐらいの軽症で済みますが、深 い落とし穴に落ちた場合、もう二度と這い上がってこられない、なんていうことにもなりかねません。

 今の中国で起業することは簡単ですが、 そうした落とし穴に落ちないように会社を経営していくことは、容易なことではないのです。

 

中国企業という落とし穴

 中国企業を顧客とする場合、もっとも大きな問題は前回もお話ししたように不 払いの問題です。また、こちらが客になる場合でも、注文と違うものを送ってきたり、品質が悪かったり、納期を守ってくれなかったりしますので油断はできま せん。この問題を解決するには、何度か小さな取り引きをして信用できる相手かどうかを見極めるか、信用できる人が紹介してくれた会社から買うしかありませ ん。

 また、中国の人たちはアイデアはタダだと思っていますので、ちょっと儲かり始めると、すぐに同様のモノやサービスを、より低価格で提 供する会社が出てきます。中国にも一応、専利局(ちょわんりーじゅぃー、特許局)という国家機関があって、特許の申請はできるのですが、これは訴訟になっ たときに有利というだけで、特許でニセモノや人マネを防止することはできません。日本人が中国で起業するに当たっては、中国企業がマネのできないようなモ ノやサービスで勝負をする必要があるのです。

 

従業 員という落とし穴

 優秀な人材の確保は、中国起業の成否を左右する重要な問題です。ただ、中国人の従業員は一般的に、日本のサラリーマン のような会社に対する忠誠心は持ち合わせていません。このため、ちょっと仕事を覚えて、業界の人脈ができると、自分の顧客を持って同業他社に転職したり、 同業の会社を起業したりする人が多いようです。

 また、社内に留まっている従業員も、取引先からバックマージンをもらう人がいたり、自分の ポジションが脅かされるのを恐れて、まったく部下を育てない管理職がいたり、お互いの給料を教えあう習慣があるので、毎月必ず誰かが「どうして私の給料 が、あんな仕事のできないヤツより安いのですか!」と詰め寄ってきたりと、日本では起こり得ないようなことが、日常茶飯事的に起こります。

  当社でも以前、あまりに仕事ができないので解雇した中国人従業員が、いやがらせで会社の顧客データをすべて消して逃げる、という事件が起きました。心当た りのところに連絡をしてみても消息がつかめなかったのですが、関係者への聞き込みなどを行った結果、ご家族の方を経由して「公安局に届け出て、捕まえても らう」というお話をしたところ、翌日、彼が当社の事務所に現れ、泣きながら土下座をして謝りました。中国起業はこうした非情な戦いの連続なのです。

 

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写真:ホン モノとニセモノ

 JETRO(日本貿易振興機構)の北京センターにある「ニセモノ陳列館」にあったカシオのG- SHOCKです。向かって左がホンモノ、右がニセモノです。中国に進出している日本のメーカー各社は、ニセモノ対策のために知的財産権の専門家を日本から 派遣してきているのですが、もぐら叩きのように叩いても叩いても後からどんどん出てくるニセモノには、各社とも手を焼いているようです。

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