Vol.13 チャイニーズドリームが世界へ!中国の国産検索サイト「百度」に迫る

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
2000年1月、 中国北京市内のハイテクパーク中関村に、若き中国人二人によって設立された百度公司は、その翌年の8月、純国産検索サイト”baidu.com”を発表し た。それから五年後、アメリカのナスダック市場に上場を果たし、急成長の実力を見せつけた。チャイニーズドリームの象徴ともいえるのが「百度」なのだ。

純国産検索サイトの意義

「百度」サイトの会社案内には、 「百度」の紹介としてこう書かれている。「私たちの会社名は、800年以上も昔、宋の時代に書かれたある詩の一節から引用したものです。その字のとおり何 百回、執拗なまでに理想を追い求める探究心の意味が込められている・・・理由は、私たちが自分たちの文化遺産を大事にしているから・・・中国語には少なく とも38とおりの『自分』を表現する言葉があります。その複雑な言語体系を検索エンジンと融合させるのは、もはや技術ではなく芸術の域といえる」

 

中国語特有の言語環境の問題

 中国語には、簡体字と繁体字の二種類が存在する。中国大陸とシン ガポールで使用されている中国漢字は、「簡体字」と呼ばれる省略字で、従来の中国漢字である「繁体字」と比較すれば画数が極端に少なくなっている。漢字の 簡略化が進められた理由には文盲率の向上がある。

 現在、中国大陸とシンガポールにおいて、出版物はさることながら、学校でも簡体字しか教 えていないが、台湾、香港、一部の華僑社会では、政治的対立を背景に繁体字を使う傾向が見られる。そのため簡体字を読めない人が多いのも事実。中国語の映 画作品などで、中国大陸向けに「簡体字版」、台湾や香港向けに「繁体字版」の2種類が放映されるのはそのためである。

 

「百度」が中国人に支持される理由

 さて、これだけを見ても、中国語の検索エンジンがかなりの ツワモノであることはお分かりであろう。「百度」はこの言語問題をどのように克服したのか?

 中国には、「ピン音」(PinYin)と呼ば れる英語アルファベット表記の発音記号がある。すべての中国漢字にはピン音があるので、「百度」はピン音による検索キーワードを可能にしたのである。これ には二つの効用がある。一つ目は、ユーザのキーワード入力の際に、英語から中国語へ言語システムを切り替えなくてもいいこと、二つ目は、ユーザが適切な漢 字を知らなくても検索ができること。簡体字と繁体字の2種類があるとはいえ、それは画数の問題なので、漢字の意味は同じなのである。中国語環境にとって、 これはとてもありがたい機能なのだ。

 

歴史は繰り返されるのか?戦国時代は 世界に広がる

 このように、国産の検索エンジンならではの発想が随所に盛り込まれている「百度」。Googleが中国に現地法人を設立して、本 格的な中国参入を決めたようだが、技術向上だけでなく、その国の文化と歴史を理解しない限り「百度」に追いつけるとは思えない。

 そして その「百度」も、2007年には日本市場への参入が決定した。「百度」自らも新しい市場での理解力が問われるだろう。

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