Vol.14 海外子会社の税制に関する注意点

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
中国に進出する方 法はさまざまあるが、なかでも現地法人の設立はもっとポピュラーな手法です。しかし、日本企業が出資をして設立する合資、合弁、合作、独資企業は、どれも が親子会社の関係になるため、自分勝手な取り引きが発生しやすくなります。今回は海外子会社と取り引きをするときに気をつけるべき問題点を検討しましょ う。

最近の現地法人の設立事情

 ひと昔前は、中国の安い人件費を活 用する目的で現地法人を設立する相談が多くありました。ところが最近では、販売会社の設立手続き、ロイヤリティ価格の算出、技術移転契約の締結などの相談 が増えています。主要沿岸都市部においての人件費の高騰、市場開放政策の躍進などがその理由と考えます。

 

販売会社設立のポイント

 海外子会社がある場合に気をつける点のひとつは移転価格税制です。移転 価格とは、企業が海外の関連企業との取引価格(移転価格)を通常の価格と異なる金額に設定することにより、一方の利益を他方に移転すること。移転価格税制 とは、このような海外の関連企業との間の取り引きを通じる所得の海外移転を防止するため、その移転価格を通常の取引価格に引き直して課税する制度のことで す。

 例えば、日本の企業が、中国の販売子会社に対して通常よりも高い価格で商品を販売すれば、正常取引と比較して日本における利益(課税 所得)が高くなり、中国における利益(課税所得)は低くなります。結果として中国の税収が減少する。したがって、中国課税局は、この場合の取引価格が正常 な価格で行われたと仮定し、税金を引きなおし計算することにより差額を子会社から徴収します。日本と中国は、それぞれ独自に移転価格税制があるので注意し ましょう。

 

ロイヤリティ価格のポイント

 契約上の金額と 実際の支払額に差異が発生しても、単純なキャッシュフローの問題であれば大丈夫なのですが、当事者双方の契約書の読み違い、しいては理解不足による会計処 理の違いから課税上の問題を生じさせることがあります。さらに、税務調査で契約書の不備が指摘されることで裁判まで発展することも珍しくありません。販売 形態が複雑化すればするほど課税リスクは大きくなるため、早い段階から専門家に相談しましょう。

 

技術移転契約のポイント

 まずは、技術移転(供与)する内容の定義からはじめます。中国の法律 は、原則として成文法であるため契約書が優先されます。日本で重要視される判例は、中国の裁判の過程においては参考程度の価値しかありません。この違いを しっかりと認識しましょう。また、技術契約の実行には管轄する行政部門での登記が必要なのでご注意ください。

 次に、契約に基づいて人材を 日本から派遣した場合ですが、この派遣期間が6カ月を超えると、中国国内で税務上の恒久的施設(PE)として認定される場合があります。そうなれば、中国 での企業所得税の申告が必要となり、多くの税金が発生することになるのです。

 中国には外貨送金の規制があるため、一定金額以上の外貨を持 ち込むにも、持ち出すにも行政官庁の許可が必要です。この法律はたびたび変わるため、中国と日本の両国事情に精通した専門家に事前に相談することをお勧め します。

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