- 目次 -
対外貿易権制度の改革
中国は、WTOへの加盟に伴い、対外貿 易法が大きく改正されました。具体的には、対外貿易業務が従来の審査・許可制だったのが、届出・登録制に変更されたことです。中国は、WTOへの加盟後の 3年以内に、対外貿易権の審査許可制度を段階的に廃止しなければならず、旧法では法人、その他の組織のみを貿易業務の従事者と規定していましたが、改正に より個人も貿易業務に従事することが可能となりました。
対外貿易権の意味と重要 性
中国の現地企業が、外国企業との間で貨物または技術の輸出入取引を行うことを対外貿易といいます。対外貿易権がない限り、中国の会社 は外国企業と輸出入取引の契約をすることができません。さらに、対外貿易権のない中国企業が輸出入取引をするためには、対外貿易権を持っている中国企業に 委託しなければなりません(貿易代理)。非常に単純な理屈なので、時おり、当たり前のように忘れられます。しかし、この制度の理解は、中国と貿易をする際 に重要となる契約の有効性に大きくかかわります。
「契約の取消」とは、契約の意思表示に何らかの欠陥がある場合に、有効であった契約を法 律上の事由に基づいて、遡って無効にすることをいいます。これに対して「契約の無効」とは、その契約が、当事者の意思の内容にしたがった法律効果を、最初 から生じないことをいいます。両方とも、最終的に、契約そのものがなくなってしまう点は同じです。しかし、「契約の取消」は、一度は有効であった契約を 遡って効力を失わせることであるのに対し、「契約の無効」は、そもそも最初から契約が効力を有しないということです。
もしも、対外貿易権 をもたない中国企業と製品の輸出入契約をして、トラブルが生じた場合どうなるのでしょうか。対外貿易権を持たないということは、法律上は 輸出入取引をしてはいけないことになります。すなわち、契約自体が、はじめからなかったことになるのです(契約が無効になる)。中国側 に代金を送金したが商品が届かない時など、例え裁判に訴えても商品を手に入れることはできません。なぜなら、輸出入契約がなかったことになるからです!で きることといえば、金銭の返還を要求する、不当利得返還請求権くらいになります(日本の場合)。
対外貿易権の申請方法
1. 中国商務部のホームページから登録表をダウンロードする。もしくは、企業所在地の登記申請機関で入手します。
2. 企業の法定代表者、もしくは個人事業主の経営責任者が署名、捺印をします。
3. 法人あるいは個人の所在地にある登記申請機関の対外貿易経済部門に以下の書類を提出します。
(1) 登録表コピー
(2) 営業許可証コピー
(3) 企業代表番号証コピー
(4) 外資企業の場合は外商投資企業許可書コピー
(5) 個人独資経営者は公証機関が発行した財産証明書。外国企業は公証機関が発行した資金証明書を提出します。
4. 登録機関は、登録手続きを行い、登録表に「登録済印章」を押印します。
5. 対外貿易経営者は、その「登録表」に基づき、30日以内に当該地の税関、検査検疫、外貨管理、税務部門で対外貿易業務に必要な手続きを行います。期間内に 手続きを行わなかった場合は、登録表が自動的に失効します。