起業したい、または起業したけど、資金繰りが厳しい、新たに大きな事業を始めたい、自己資金だけではどうしても事業が回らない、という場面に直面したとき、考えてもらいたいのが金融機関からの創業融資です。でも、創業融資を受けよう!と決めたのはいいけど何から始めればいいの・・・?とお悩みの方も多いかと思います。
そんな方に何から進めていけばスムーズに創業融資を受けられるのか説明していきたいと思います。
- 目次 -
創業融資を受けるために準備すること
まずは専門家(税理士)に相談
創業融資を受けるのに税理士にお願いするの?と思う方も多いかと思います。でも税理士はお金のエキスパートです。多くの会社の実際の経営状況を知っているのは税理士だけと言っても過言ではないと思います。税理士と一言で言っても創業融資に強い税理士とそうでない税理士がいます。
インターネットで調べたり、回りの経営者に聞いてみたりして『創業融資に強い税理士』を探してみてください。インターネットで『創業融資、税理士』などで検索していただくと出てくると思います。
調べてみると料金も大きく違いますし、相性もあると思うので、まずはアポイントを取ってお話しを聞いてみることをお勧めします。出来れば数人にお話しを聞いて比べてみると良いですね。
自分ひとりで金融機関へ行くのはNG
そこで気を付けていただきたいのが、税理士などに依頼をしないで自分で金融機関へ行ってしまうことです。ご自身で直接金融機関に行った場合、創業融資を受けられる確率は5割ほどです。少ないと思ったでしょうか。
でもご自身に置き換えてみてください。会って間もない、よく知らない人にお金を貸すでしょうか。貸さないですよね。金融機関も十分に返済してもらえるだろうと思える会社に貸したいので、信用してもらうことが大切なんです。
自己資金は融資希望額の3割用意する
自己資金と言ったら何を思い浮かべますか。
創業融資の際に金融機関が重視する自己資金は、会社の『資本金』と『社長個人で準備出来るお金』です。この両方の合計額が創業融資を受けたい金額の3割程あると金融機関の印象が良いです。
例えば1,000万円の創業融資を受けたいと思ったら資本金と社長個人で準備したお金の合計が300万円あると好ましいです。ご家族や知人に借りるのはOKですが、ノンバンクなどからの借りてしまうと創業融資を受けられません。自己資金が少ないからといってそういうところから借りるのはやめてください。
自己資金が少なくても、すでに確実な売上見込みがあるのであれば問題はありません。
借入先を決める
金融機関の種類について(メガバンク、地方銀行、信用金庫、日本政策金融公庫)
次に金融機関を決めていきましょう。最初に創業融資を受けるのであればお勧めなのが『日本政策金融公庫(いわゆる以前の国金)』です。創業時の創業融資に力を入れているので他の金融機関に比べて比較的創業融資を受けやすく、親身に考えてくれるので頼りになります。次に信用金庫も地域に根付いているのでフランクな対応をしてくれるところが多く、創業融資は受けやすいと思ってください。
逆にメガバンクや地方銀行は融資額が数千万円からというとことが多いので、創業時やまだ創業から間もない会社、個人事業の方は創業融資が受けられないと思っていた方が良いでしょう。
創業から数年経ち売上も利益も上がっていれば、今度はメガバンクから「借りてください」とお願いに来ますので、数年後を目指して売上を上げるように頑張りましょう。
創業融資を受けるのにはどこが良いのか
最初の創業融資であれば、会社の本店所在地を管轄する場所にある日本政策金融公庫か信用金庫からの創業融資を受け、その後、しっかりと本業で売上と利益が上がって来たら地方銀行やメガバンクに打診するのが良いかと思います。
金融機関への提出書類を作成する
まずは申込書を記載する
金融機関の指定の用紙やインターネット上にフォーマットがありますが、申込書は手書きで記載するものも多いです。
面倒だと思って雑に書いてしまいがちですが、金融機関は筆跡などで人となりを判断している場合もあるので要注意です。ここで印象が悪くならないようにぜひ丁寧に記載するようにしてください。
金融機関独自の創業計画書または事業計画書を作成する
こちらも金融機関の指定の用紙やインターネット上にフォーマットがあります。
指定のフォーマット以外の事業計画書3期分(可能であれば収支計画書も)を作成する
申込みの際に一番のネックとなるのが、この事業計画書です。事業計画書は、未来の明るい展望を描く必要がありますが、それが夢物語になってしまってはいけません。誰でも夢を持って起業していると思いますし、売上が上がると思ったからこそ独立したはずです。
ただ金融機関に必要なのは『思い』ではなく『結果』です。実際にどれだけ売上を上げられるのか、それは本当に実現するのかというところを具体的に記載してください。逆に少なく見積もって売上が少ない計画書を作ってしまっても、今度はこんな売上じゃ返済していけるの?という疑問を抱かせてしまうことになってしまいます。
素人の方がいきなり金融機関にウケの良い事業計画書を作成するのはかなり難しいと思っていただいた方が良いかと思います。ここは思い切って専門家にお任せして一緒に作成することをおすすめします。
金融機関との面談を受ける
申込書と事業計画書を作成したら次は金融機関との面談があります。日本政策金融公庫の場合は通常面談1回のみ、信用金庫の場合は信用金庫の担当者と1~2回面談後に保証協会との面談があり、最低3回は面談を受けると思っていてください。
この面談のときに同席してくれる税理士もいます。最初に税理士を探すときには面談の同席が可能かも確認した方が良いでしょう。
正装で臨みましょう
普段のお仕事は自宅なのでラフな格好だという方でも面談の際には正装で臨んでください。申込書の記入を丁寧にするのと同様、服装でも人となりをチェックされています。ネクタイまで締めなくてもジャケットは必須です。
書類の記載は丁寧に
面談の際に書類に記入してもらう場面もあることがあります。みんなが注目しているし、緊張してしまうとは思いますが、このときもぜひ丁寧に記載してください。
面談後は提出書類に記載をして窓口に提出
面談が終わったら、あとは金融機関からの連絡を待つのみです。日本政策金融公庫は早ければ面談から2週間程で決定の連絡があります。公庫の担当者から直接電話連絡がありますので、連絡を待っていてください。
信用金庫の場合には保証協会の面談から3週間~1か月程で決定の連絡があります。
決定連絡を貰ったら入金まであと少しです。収入印紙を購入したり、金融機関から届く書類に必要事項を記載をして、直接窓口に持って行くか、郵送で提出をすれば数日で入金されます。提出書類は思っているより多いと思いますが、入金はもう目の前です。頑張って記入してください。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 荒川 一磨(税理士・行政書士)
荒川会計事務所 所長
経営者一家に生まれ、自身でも会計事務所を経営する若手税理士。
優しい人柄で常に経営者の立場に立ち親身になってアドバイスを行うため、相談者からの評価も高い。
「マンガでわかる 会社の設立・運営」の監修を行うなど、誰にでも分かりやすい説明を心がけており、起業相談や資金調達等の相談であれば24時間の対応が可能。
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- 2019年7月1日 【融資を受けたいけど何から始めればいいの?】創業融資とは?
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