今まで、いろいろ な助成金を紹介してきましたが、助成金を受給した事業主さんは、その助成金を具体的にはどのように利用しているのでしょうか?今回は、飲食店(洋食レスト ラン)のフランチャイズに加盟して事業を立ち上げる際に、「中小企業基盤人材確保助成金」を上手に活用した事例をご紹介します。
まず、この助成金を利用するには二つの大きなルールがあります。
・事業を立ち上げて基盤 となる人材(以下、基盤人材)を雇い入れてから半年以内に備品、家賃、内装工事費などで300万円以上支出すること(人件費、商品の仕入れなどは除く)。
・基盤人材に対し、年間350万円以上の給与を支払うこと。ただし、この給与は固定賃金で350万円以上(ボーナス、時間外手当は除く)。
そして会社などを設立してから6カ月以内に改善計画を提出します。その後、実施計画の提出をしてから、対象となる基盤人材を雇います。
今回、基盤人材として採用をしたのは、シェフ。す なわち、コックさんでした。300万円要件では、フランチャイズの加盟料、内外装費、家賃、備品などにお金がかかりましたので、大幅に300万円を超えま した。また、基盤人材はチーフシェフとして採用しましたので、給料は月額30万円以上支払うことになり、これも条件である、年間350万円以上をクリアす ることができました。
最終的には、基盤人材一名、それ以外の人材一名の計二名がこの助成金の対象になりましたので、合計170万円の助成 金を受給することができました。
ちなみに助成金の金額は、基盤人材一名140万円、一般人材30万円になります。
この助 成金の目的は、事業を起こすにあたり、基盤となるべき人材を雇用するのを補助することです。その人材には年間350万円以上の給与を支払わなければいけな いので、助成金を支給することにより、会社の成長を助けることが目的なのです。
注意することは、もう一点。人を雇用する前に、改善計画と 実施計画の作成を行い、受理されてから雇用することが大切です。どんなに要件を満たしていても、この改善計画と実施計画の両方が受理されませんと、助成金 を受給することはできません。注意してください。
さらに、この助成金は労働条件が良好であることも、支給の際の審査ポイントになります。 残業手当を払わない、法定休日を設けないなど、労働基準法に違反していると、まず助成金の支給は行われません。なぜならば、この助成金を最終的に審査を行 うのは、厚生労働省のなかにある「労働局」だからです。
支給申請の時には、必ず現地確認の実態調査が行われます。購入した備品はあるの か?事務所は存在しているのか?内装工事は行われているのか?人を雇用して決められた給与は支払っているのか?などが調査されます。もちろん、支給申請時 に提出した領収書などの確認も行われます。
申請のポイントは、会社の都合で従業員を解雇しないこと、そ して申請期限を守ることです。
期限を過ぎれば、どんなに要件を満たしていても、1円ももらえません。見積書、注文書、納品書、領収書が必要になります。特に納品書を紛失することが多い ので、この四点セットは大切に保存しておいてください。
なお、この「中小企業基盤人材確保助成金」は、新たに会社などを設立して行う「新 規創業」か、従来の事業とは異なる「異業種進出」でも利用することができます。
ただし、くれぐれも助成金目当てに高い賃金を設定しないこ とです。無理やり350万円以上支払う計画を立て、固定費の増大を招いて、労務費が経営を圧迫したら本末転倒です。
この助成金を活用しよ うとするときには、よく考えてから申請されることを、お勧めします。