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キャッシュフロー経営とは
さまざまな書籍も出版されており情報を集めるには事欠かないのですが、どれを読んでもしっくりこないという経験はありませんか(実は、私自身もそうです。)
キャッシュフロー経営とは、キャッシュを重視した経営を行うという表現がされていますが、事業を行う社長さんはみんなお金を獲得するために仕事をしているのであって、いまさらキャッシュを重視した経営といわれても、そんなの前からやってるワイ!というところですね。
今回はそのキャッシュフローに関して、簡単な説明をしたいと思います。
僕は銀行にいるころから会計事務所に在籍していました。今でもそうなのですが、このころからお客様のところにいけば必ず問題になることの一つに損益と資金との違いの問題がありました。(損益とは、いわゆる損益計算書のことですが)
ここに、キャッシュフローに関しての問題点が含まれているといえます。
たとえばこんな感じです。
損益計算書を眺めながら、
(武)『すごく利益が出ていてよい調子ですねー。税金大丈夫ですか?』
(社)『そんなに払えないよー!それにしても、何で利益が出ているのかがわからない!
実感として儲かっている気がまったくしないんだよねー。手元にもお金なんてまったくないのに。どうしようか、どうしてなのかなー?』
このような質問を会計士や銀行の担当者にしたことはないですか?
キャッシュフローと損益の違いとその原因は?
1.損益計算書が発生主義会計における収益の認識により作成されること。
2.減価償却、借り入れの返済によるキャッシュの留保・流出があること。
(発生主義会計とは、売り上げ仕入れの認識を支払いベースではなく請求書を出した時点・債権債務が確定した時点で損益に反映させるような、現在の会計のスタンダードとなる会計方法です)
以上に集約されます。
でもこれでは、何を言っているのかまだぜんぜんわかりませんよね?
そこで会社員のA君に登場していただいて、損益とキャッシュフローの違いをみてみましょう。
A君は、今日までに払わないとならない自動車税の5万円が払えずに困っています。しかし収益を見てみると利益が5万円あり払えそうなのですが・・・どうしてなのでしょうか?
前提条件として過去1カ月間の動きは下記のとおりです
・ A君の財布には6月6日現在3万円入っています。(キャッシュ)
・ お給料が明日30万円入ってくる予定です(会社でいう売掛金による売り上げ)
・ クレジットカードで買い物をしており、明後日10万円引き落としになります(会社でいう買掛金による仕入れ)
・ キャッシングの返済を5万円支払い済みです(借入金の返済)
・ 先日日飲みに行って5万円支払いました(交際費の計上)
・ 生活費で10万円支払いました(経費の計上)
・ 今日、自動車税を5万円払わないとなりません(税金の支払い)
・ 5月7日に財布に5万円入っていました。
以上を1カ月前から今日現在までの損益で表現するとこうなります。
売上 300000円(給料)
仕入 100000円(クレジットカード)
交際費 50000円(飲み代)
経費 100000円(生活費)
利益 50000円
これが、社長が見ている損益計算書の数字なのです。(ここでは簡単に見るため繰越利益などは想定しません)
これなら5万円の税金払えるじゃん!というところですが、財布には3万円しかないこの不思議この損益をキャッシュフローで見るとこうなります。
前月キャッシュ 50000円(5月7日の財布残高)
売掛金回収 290000円(前月の給料の入金)
買掛金支払 110000円(前回のクレジットカード支払)
交際費支払 50000円
経費支払 100000円
借入返済 50000円(キャッシング返済)
収支金額 – 20000円(上記を差し引き)
現在キャッシュ、30000円(6月6日の財布残高・収支+前月キャッシュ)
厳密にキャッシュフロー計算書を表現するとしたら営業、投資、財務に分類して表現する必要がありますが、簡単に言うと上記のような現象が起こっているのです。
以上を見比べると、お金の流れがまったくちがっていますよね!
キャッシュフローには損益に表現されていなかった前月の少なめの給与の収入や前回のクレジットカードの支払い、借り入れの返済が出てきています。
かなり、簡略された表現ですが、内容は伝わってますでしょうか?省略している部分もたくさんあるのですがその点、ご了承ください。
以上の点が、ある意味中小企業の社長の損益計算書に対する不信感につながってゆくのです。
決算書がうそつきになってしまう片鱗が垣間見られますね。
(厳密には、決算書における貸借対照表を並べて検討すると、なぞは解けてゆくのですがどうしても、社長の目は損益に言ってしまいがちなので、あえてうそつきと表現させていただきます。また、現在は大企業においてはキャッシュフロー計算書も財務諸表の一つとされていますので、そのような誤解は少なくなっているといえますが、その義務がない中小零細企業においてはそのひずみは現在でも大きくあるといえます)
企業家、経営者の皆様、この機械にキャッシュフロー計算書もぜひ目を通してみてください。