資金調達(融資)のノウハウ Vol.18 借り入れが上手な社長と借り入れが下手な社長とは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回は私個人の体験談から、借り入れが上手な社長が陥りやすいキャッシュフローの落とし穴について解説します。 借り入れが下手な社長さんも必見の価値あり。

 

 この間、ある社長と食事をしながら話をしたのですが、その社長が仰っていたことで、なるほどと思わされる言葉がありました。
「社長の仕事とはお金を引っ張ってくることだけなんですね・・・」とのこと、

 たしかにある程度の企業規模になると社長が仕事の実務に登場してくることはあまりなく、会社自体も社長が作り上げたシステムで自動的に動くようになります。ドラスティックに考えると会社というものは社長のために働く集金マシーンである
ともいえるのかもしれません。もちろん、そこで働く社員、もちろん社長としても他にもいろいろと思い入れはあるでしょうが・・・・

 反面、資金調達や資金繰りに関しては中小企業ですからどうしても社長の個人保証や、社長の判断が必要になってきます。前述の言葉はそのようなことをひっくるめたうえでの言葉だったのでしょうか。
 

中小企業の社長と借入に関するバランス感覚

 さて、ここで中小企業の社長と借入のバランス感覚ということについてですが、私がお付き合いしている社長さんは、借り入れに関して2つのパターンに分類されます。

1.借入が上手な社長
2.借入が下手な社長

 1の借り入れが上手な社長は、言葉のとおり私どもがご協力しなくても金融機関とちゃんと交渉して、資金を調達することができる社長です。

 対して2の借り入れが下手な社長とは、これもその言葉のとおり自力で資金調達することが不得手で我々のようなコンサルに相談をいただくようなタイプの社長です。

 ここで、このような能力が経営・会社運営という広い視野で考えたときにどうなのかという点について感じることを書きます。

 どちらがよいか、とは一概には言えませんが、最終的に資金繰りに行き詰って相談にこられる社長は意外なことに、1の借り入れが上手な社長の方なのです。

 そのような方のパターンは大体決まっていて、銀行からの古くからの付き合いとノウハウを生かして、枠いっぱいに借り入れを行い、どうしようもなくなって相談にこられるケースが非常に多いのです。

 そのようなパターンになると、たとえば毎年の返済が数千万円になるケースがほとんどで仮に資金調達していたとしても、返済するための借り入れを行っているという形が多いのです。

 最近、金融機関などがキャッシュフローを重視するということを耳にされることもあるかと思いますが、銀行が会社のキャッシュフローをどのように見るかというかと下記のとおりです。
 

損益計算書上の税引き後当期利益+減価償却費=キャッシュフロー

 概算で計算すると、その会社の返済能力は上記キャッシュフローで年間の借り入れの元金返済がカバーできていないとならないということなのです。そして、資金調達の得意な社長は売り上げが減少すると簡単に銀行に交渉をして資金を調達し、資金繰りをまわしてしまうのです。 私がいろいろな会社の社長と資金繰りの打ち合わせをして痛感するのは、皆さんがあまりにも安易に借り入れに頼ってしまうという現実なのです。

 そして、簡単に売り上げ・利益の計上をあきらめてしまう・・・・・

 ぎりぎりまで追い詰められた社長は資金調達だけが仕事になってしまいます。神経をすり減らして金融機関と交渉をしているのですが、そういう社長を見ながら思うのは、そんなに自分の専門外のことで神経をすり減らすのであれば、少し前から本業での営業活動を命がけでやっているほうがよっぽど精神衛生上いいのにな……

ということなのです。

 その点、2の資金調達が不得意な社長は、資金ショートが発覚すると金融機関からの調達以外の売上の計上などで資金を回せるように努力する場合が多いようなのです。

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 以上を考えると・・・・・
あまりお金を借りるのが上手な社長さんも問題があるのかなと考えてしまいます。重要なのは調達した資金をどのように認識するかということなのです。売り上げであれ、借り入れであれ会社に入ったお金はみんな一緒に見えてしまうんですね。そこをがんばってこれは借りたお金であり、本来であれば利益計上した上でこのお金が増えていかなければならないと認識をされる方はほとんどいません。小さなことですがこのような認識を大切にしてもらいたいものです。将来的には大きな差となって現れてきます。

 

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