資金調達(融資)のノウハウ Vol.19 会社の業暦毎の資金調達方法とは

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
さて、今回から資金調達の方法について一とおりご説明していこうと思います。今回はその導入として借り入れを検討している会社の状況に応じてどの融資制度を使うかを体系的にご説明します。

 

 なお、以下では私自身の経験と私見が大きなウエイトを占めてくることとなりますので、実際の融資制度の条件等と若干の乖離が生じるかもしれませんがその点をご了承ください。(逆に融資制度をつらつらと羅列するだけだと簡単なのですが、そのような書籍・情報などはたくさんありますので、それらの情報はそちらに譲ります)

 中小企業において資金調達の方法を検討するにあたり考慮する点は
1・業暦(創業後何年たっているか)
2・財務的な状況はどのようになっているか(債務超過かどうか)
3・納税状況はどうか(法人税・事業税・源泉税・消費税)

 以上の3点が重要になってきます。

 そのなかでも業暦は、融資商品に制限が明記されているため融通が利きません。従って非常に重要なポイントとなります。つまり、資金調達においての戦略構築に於いては、まず業暦何年かという点を中心にして分類した後、上記2・3の要件を確認しながら使える融資制度に落とし込んでいく形となります。

 ちなみに資金調達の手法の分類は下記のとおりに分類されます。

1・信用保証協会付融資
2・ビジネスローン
3・新興融資商品(新銀行東京など)
4・銀行プロパー融資
5・国民生活金融公庫
6・ノンバンク

 なお、商工ローンに関しては融資の基準が事業本体というよりは保証人の保証能力に依存する比率が圧倒的に高いため今回ははずして考えます。

 まず中小企業の成長に応じて業暦を下記のように時系列に分類します。
・創業前
・創業後~創業1年以内
・創業1年~2年
・創業2年以上
・創業3年以上

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業暦と利用できる融資制度の一覧(イメージ)
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 融資枠は無担保、代表者保証のみによる運転資金とします(注)
・モデルとして2年目の売上月商3000万円程度の卸売り業を前提としています
・創業2年目で年商3億6000万に到達
・本来は財務状況に左右されますが今回は考慮しません(利益計上が前提)
・融資商品的には別途上限枠の設定はありますが今回は私の経験測での実行額目安です
・貴社につき融資確約できる数値ではありませんのでご了承ください
・融資枠はその都度実行額ではなく融資実行額の累計で認識します

 

1 創業前    
  国民生活金融公庫 融資枠 ~300 万
  信用保証協会(創業制度融資) 融資枠 ~300万
       
    合計 600万
       
2 創業後~創業1年以内    
  国民生活金融公庫 融資枠 ~800万
  信用保証協会(創業制度融資) 融資枠 ~800万
    合計 1600万
       
3 創業1年~2年    
  国民生活金融公庫 融資枠 ~1000万
  信用保証協会(一般保証・制度融資) 融資枠 ~3000万
    合計 4000万
       
4 創業2年以上    
  国民生活金融公庫 融資枠 ~1000万
  信用保証協会(一般保証・制度融資) 融資枠 ~3000万
  ビジネスローン 融資枠 ~5000 万
  新銀行東京・日本新興銀行など新興融資制度 融資枠 ~3000万
    合計 1億2000万
       
5 創業3年以上    
  国民生活金融公庫 融資枠 ~1000万
  信用保証協会(一般保証・特別枠) 融資枠 ~5000万
  ビジネスローン 融資枠 ~5000 万
  新銀行東京・日本新興銀行など新興融資制度 融資枠 ~3000万
  新生ビジネス等の銀行とノンバンクの中間の機関 融資枠 ~3000万
  銀行でのプロパー融資 融資枠 ~1000万
    合計 1億8000万

 以上のように、業暦を中心に資金調達を考えると創業~創業後1年を経過するまでは、国民生活金融公庫、創業制度を利用した信用保証協会などと資金調達の手法および金額が限定されてしまいます。

 逆に創業後2年を経過すると資金調達の幅が一気に増額します。(4000万円→1億2000万円)
 これは、ビジネスローンが使用できるようになる点が大きな要因です。そして、ここで体力以上の資金調達を行いその後が厳しくなる会社が大多数なのです。

 会社を創業する経営者はこのような資金調達の手法を創業後3年程度見据えた上で資金計画を立てないと金融環境に適合しない資金計画となってしまいます。

 世の中には資金調達についてノウハウが多々あるように表現された書籍などがたくさんありますが、中小企業が金融機関相手に検討できる資金調達の手法、戦略は上記の方策しかない!と言い切れます。

 上記の枠と、自社の売り上げ・財務の状況を見ながら金融機関とうまく付き合っていくことが重要であるといえます。

 次回以降で各資金調達の手法に関して詳細のご説明をしていきます。

      資金調達計画は金融環境・資金調達可能額に
     即したものを作成しないとただの絵に描いたもち!

 

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