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起業するなら
我が国日本では、10年前と比較して、例年緩やかに開業率が上昇しております。しかし、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの同先進国と比較すると、この開業率はまだまだ高いとは言えません。特に日本には、起業に対して無関心な方が多いのです。
一方で、補助金や助成金、融資制度からも見て取れるように、以前よりもはるかに起業・独立をしやすく、経営を存続させやすい環境が整ってきています。さらに昨今では、IT分野の発達により誰でも簡単に情報を入手することができるため、起業・独立へのハードルは昔ほど高くはないといえるでしょう。
起業するにあたって、ゆくゆくは事業拡大・株式上場・海外進出などを志す方も少なくないと思います。しかし、その手前には会社を設立するという通過点があります。特に組織で仕事をする場合、会社は信用や節税などの側面から非常に便利です。
また、一口に会社といっても形態はさまざまです。本章では、知っておくと役に立つ、「それぞれの会社形態の特徴」について解説いたします。
会社形態って一体何が違うの?
会社設立を一度でも考えたことがある方は、会社形態がいくつかに分類されることをご存じだと思います。会社形態は4つに分類され、知名度が高いものから順に、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社というものがあります。(有限会社は2006年以降、会社法の改正により新規設立ができなくなりました。)
細かい違いは数多くありますが、代表的な違いを挙げると、「設立費用」、「出資者責任」、「内部自治」といったところでしょうか。
「設立費用」は、その名のとおり、会社を設立するために必要な費用です。よく「1円起業」なんて言いますが、設立の手続きそのものに費用が掛かるため、実際に会社設立が1円で済むことはありません。4つの会社形態の中でも、株式会社の設立費用が一番高く、実費として20万円程度必要になります。なお、合同会社、合資会社、合名会社の設立費用は、どれも株式会社の半分未満で6万円程度です。また、書類作成や登記手続きを専門家に依頼する場合は、別途5万円から10万円の手数料が必要になります。
さて、「出資者責任」と聞いてピンとくる方はどれくらいいるでしょうか。いずれの会社形態においても、設立をする際に“資本金”という事業を運転するための資金を用意しなければなりません。この資本金を用立てた人を「出資者」といいます。会社経営には必ずリスクが付きまとうのは言わずもがなですが、中でも一番のリスクは“倒産”です。もし、せっかく設立した会社が倒産した場合、その責任は「出資者」が被ることになります。それが「出資者責任」です。しかし、どこまでの責任を負う必要があるのか。その責任の範囲は、会社形態によって異なります。
「出資者責任」には、「有限責任」と「無限責任」があります。「有限責任」とは、会社が倒産した場合、会社の負債を出資分のみ負うというものになります。つまり、出資した資金は無くなるが、それ以上の損失はないということです。これには株式会社と合同会社が該当します。「無限責任」は、会社が倒産した場合、会社の負債が0になるまで出資者が責任を負わなければならず、場合によっては、個人として資産を持ち出さなくてはなりません。文字とおり、“無限に責任を負う”というものです。これらには、合名会社と合資会社の無限責任社員が該当します。
「内部自治」とは、組織の内部ルールを出資者同士の合意により決定することです。
内部ルールには、利益の分配や、経営権限の配分などが当たり、株式会社の場合、これらは出資額に応じて与えられます。合同会社、合資会社、合名会社などの持分会社と呼ばれる会社形態は、出資額に限らず、自由に決定することができます。
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それぞれの特徴
株式会社の特徴
株式会社は、国内、および先進国ではもっともポピュラーな会社形態です。古くから存在し、以前は資本金の最低額を1,000万円以上としておりましたが、今では資本金1円以上での設立が可能となりました。社会的信用度も高く、出資者責任が有限であるため、万一の時の出資者のリスクを軽減することができます。
また、株式会社の最大のメリットは、一般からの出資を募ることができるというところです。株式会社は、出資を受けたときに出資者に対して「株」を発行します。この「株」は、出資者にとって、出資先の企業から “配当金を受ける権利”と“経営に参画する権利”になります。
つまり、多くの出資をし、多くの株を持つ分だけ、配当金、および経営権への影響力が大きいということになります。また、株式上場をできるのも、株式会社だけです。
しかし、メリットばかりではありません。株式会社にはデメリットも存在します。
まず、前述した“設立費用”です。他の会社形態と比較して、株式会社の設立に掛かる費用はもっとも大きいです。また、決算公告義務も存在し、会社の財務状態を定期的に開示することが義務付けられております。
合同会社の特徴
合同会社の設立に掛かる費用は、6万円程度と、株式会社よりはるかに低コストでの設立が可能です。また、決算公告の義務などがなく、前述した「内部自治」を自由に制定できるため、株式会社と違い、出資者と経営者は同一の存在になります。つまり、出資者が全員「有限責任社員」となり、経営の自由度が高いということになります。ただし、権利をめぐる争いを避けるために、定款はあらかじめ細かく取り決めを行っておくと安心です。
合同会社は2006年に“会社法”の改正により、設立が可能となりました。しかしながら、知名度や信用度はまだまだ低く、信用を最重要視する企業間のやりとりに関しては、不便な側面もあるようです。そのため、BtoCなど一般消費者向けの事業を行う企業には向いているといえます。あの誰もが知る大企業「アマゾン」も2016年から合同会社となりました。
合資・合名会社の特徴
合資会社や合名会社の数は、今ではかなり少なくなり、新設する方もほとんどいません。これらには、合同会社と同様に、少ないコストで会社設立が可能であり、内部自治などを自由に設定することができるというメリットが存在し、個人事業者とは異なり、社会保険への加入ができるという利点も存在しますが、前述した合名会社と合資会社の無限責任社員は「出資者責任」が無限であることから、現在では需要がかなり少ないようです。
安くて簡単なのは合同会社
起業しようとしている方々の中には、十分な資本金がある方もいれば、残念ながらそうではない方も数多くいると思います。特に起業初期というのは、経営に関する知識や経験が全く無い素人であることが多いため、少しでも経費を減らしたいというのが実情でしょう。
最近では、合同会社の知名度がどんどん上がってきており、前述した“設立費用”や“経営への自由度”などもの利点から、設立する方も増えているようです。これら起業する方で、少しでもコストを節約したい方やBtoC向けの商品・サービスを展開される方には、オススメの会社形態です。
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執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 小西 隆弘氏(ナチュラル司法書士事務所 所長)
会社設立、相続など難しい案件でも初心者の方にわかりやすく、親切・丁寧な説明で多くの方から信頼を集める司法書士。
「依頼者との信頼関係」をしっかりと築くことをモットーに、多くの依頼者の悩みに寄り添ったアドバイスが好評。多くの依頼者からの支持を集めている。
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