居酒屋開業の実態について、再度1から考えてみる【2019年度版】

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

飲食店の中でも開業しやすい「居酒屋」業態

開業をする人の中でカフェなどのさまざまな飲食店の開業を考えている人は多いと思います。飲食店とはいってもさまざまなジャンルの飲食店がある中で、「居酒屋」は特に開業がしやすいジャンルと言われています。居酒屋の雰囲気が好き、お酒が好き、こういった理由で居酒屋を開業する人もいますが、居酒屋の開業には他の飲食店に比べメリットがいくつかあります。

利益幅が大きい

他の飲食店と比べると、居酒屋はお酒をメインに扱う業態なので一般的な飲食店の利益率が10~15%程度に対し、居酒屋はさらに利益率が高くなります。そのため儲けも大きいです。また、飲食代金を現金で支払うことが多いため、資金効率もいいです。開業するための資金が少ない人にとっても良い業態であると言えます。

他の居酒屋との差別化を図りやすい

居酒屋はさまざまなコンセプトを取り入れやすいため、他の居酒屋とも差別化が図りやすいです。メインのお酒の他に、鍋物や揚げ物、焼き物、生鮮魚介類など幅広い食をコンセプトとして取り入れることができるので、お店の独自の個性をだすことが出来ます。それにより居酒屋での開業は価格競争も起きないので周りの店舗に左右されることなく経営を行えます。

一方で居酒屋の開業だからこそ大変なことも・・・

居酒屋での開業は他の飲食店と違い、深夜まで行う場合も多いです。そのため、身体的負担だけでなく心労もかさむ可能性が高いです。また、お客さんへの対応でも苦労することがあります。他にも食べ物の提供には保健所からの許可、そして深夜にお酒の提供をする場合は、また別の手続きが必要になります。

居酒屋を開業する際に必要な資金は?

具体的に居酒屋を開業する時にはどれくらい資金が必要になるのか気になる人が多いと思います。実際に居酒屋の開業には平均600万円ほど必要と言われています。
開業する場所によって必要な資金も変わってくるので大体600~1000万円くらいが目安でしょう。

居酒屋に限らず飲食店の開業には、物件費や内外装工事費、備品、人件費、広告費などの費用がかかり資金が多く必要です。特に飲食店は内外装にこだわると、必要な資金は1000万円ほどかかってしまいます。
居抜き物件などを使用すればある程度資金を抑えることもできますが、そうすると自分の希望とおりの内外装にするのは厳しいです。

居酒屋を含めた飲食店は料理の美味しさはもちろん、居心地の良さがお客さんのリピート率に繋がるので、資金と相談し費用を抑えつつできる範囲で資金を内外装にあててこだわった方が良いかもしれません。
開業資金だけではなく、開業後の運転資金も考えておく必要があります。運転資金は大体半年分を目安に用意しておくと良いです。特に開業が初めての方は、開業後に資金不足になる可能性が高いので、資金不足に陥らないようにしっかりと必要な資金を明確にし、資金計画を立てる必要があります。

しかし、そうはいっても居酒屋の開業にどれくらいの資金が必要になるのかを想像するのは難しいでしょう。もう少し具体的な居酒屋の開業資金を知りたい方は、ドリームゲートの「事業計画作成サポートツール」の飲食業でシミュレーションしてみるのもおすすめです。

ここでシミュレーションを行い、開業資金をしっかりと把握することで開業後の成功に繋がるので、どんどん利用して事前に資金計画をきちんと立てるようにしましょう。

居酒屋開業のための資金調達方法

日本政府金融公庫を活用した資金調達

居酒屋の開業にはさまざまな資金が必要になります。自己資金の他に、融資を受ける方も多いでしょう。もっとも有名なのは「日本政策金融公庫」の融資制度です。こういった融資制度を利用する為にも必要な資金を明確にしておく必要があります。

助成金や補助金を活用した資金調達

資金調達の他の方法としては、返済義務のない助成金や補助金の活用もあります。しかし、この資金調達の方法は融資とは違って開業後1年経ってからでないと受給ができません
申請から受給まで時間がかかってしまうので、すぐに資金を必要としている方には向かないでしょう。

しかし、申請し審査に通れば返済義務なしで資金調達をすることが出来ます。また、地域の助成金や補助金によっては併用して利用することができるので、目先の資金調達を必要としていない方には、申請してみるのも良いのではないでしょうか。

そのほかの助成金、補助金

居酒屋を開業後、事業拡大を目指す方には「キャリアアップ助成金」がおすすめです。この助成金はその名のとおり、労働者のキャリアアップを促進させるための助成金です。労働者のキャリアアップの取り組みを積極的に実施している事業主に助成金が支払われます。助成金は一定の要件をクリアしていれば原則としてだれでも受けることが可能なので申請してみるのも良いかと思います。

他にも「創業補助金」というものがあります。これは最大200万円の補助がでて、どの地域で開業した場合でも申請することができるので資金調達を行う方は創業補助金にも申請してみてもいいでしょう。

飲食店開業には資金が多くかかるので、資金調達が必須です。活用できる助成金や補助金もいくつかあるので、自己資金があまりない方はそういった制度を活用してみましょう。また、開業する地域によってはその地域での助成金や補助金が用意されている場合があるので、資金調達を行う際には地域の制度を確認してみましょう。

居酒屋開業で必要な資格

居酒屋などの飲食店の開業を考えている方は取得しておかないといけない資格があります。

「食品衛生責任者」

調理師や栄養士の資格をすでに持っている方はこの資格を取る必要はありません。持っていない方は、「食品衛生責任者養成講習会」を修了しておく必要があります。各店舗に1名この資格を持っている人がいないと、保健所からの営業許可が下りません。この資格は1日の講習で取得することが出来ます。

「防災管理者」

店舗や建物全体の収容人数が30人以上(店舗スタッフも含める)になった場合にこの資格が必要になります。地震やその他の災害時の被害を小さくするために、防災管理に必要な業務の遂行、また災害時に死傷者が出た場合は責任者として対応する必要があります。この資格は管轄の消防署などで1日の講習で取得することが出来きます。

居酒屋の開業で「調理師免許」は必須?

居酒屋の開業に限らず、飲食店の開業に調理師免許は必須ではありません。しかし、自分が開業しようとしている居酒屋のコンセプトにあった料理の知識や腕前は必要です。料理の美味しさは飲食店の開業においてとても大切なことです。

居酒屋の開業手続きについて

飲食店営業許可

基本的にどの自治体の保健所でもできます。申請する自治体によって必要な施設基準が変わってくるため、事前にどのような基準なのかを確認しておきましょう。

営業許可をもらうために必要な要項は大きく分けて2つあります。

①店舗の設備基準食べ物を扱う飲食店として衛生状態はとても重要です。この設備基準については開業する店舗の地域の自治体に問い合わせて、具体的な要件を聞いておきましょう。

②人的基準

過去に食品衛生法違反の処分や2年以内に飲食店営業許可の取り消し処分を受けている人、会社に対しては、この飲食店営業許可が下りません。また、店舗に1名は食品衛生責任者を専任で置く必要があります。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

夜の0時から午前6時の間でお酒をメインに提供する居酒屋やバーなどのお店は、この手続きが必要になります。所轄の警察署に行き、開店の10日前までに届けを出す必要があります。この届出は居酒屋などのお店とは違いファミリーレストランなどの食事がメインのお店では、例え深夜0時を過ぎてお酒の提供があってもこの届けを出す必要はありません。

この際にも、いくつかの要件が必要なのでしっかりと確認した上で届けを出しましょう。

居酒屋の物件契約

物件選びのポイント

自分が開業したい居酒屋の客層、そしてその客層に合った物件を探す必要があります。
また、集客の際にもビルの3階や4階に出すよりも、一階や路面店の物件の方が集客しやすいです。しかし、そうすると家賃も高くなります。店舗の物件取得には生活するために借りるアパートなどよりもかなり高く、契約後には店舗投資も必要になってくるため、開業資金もある程度用意しておく必要があります。

事業計画を立てるときに開業資金を確認し、どれくらい資金を店舗に割り当てられるかを計算しておく必要があります。また、居酒屋などの夜間をメインに営業するお店は、近隣住民とのトラブルが起きないように周辺もきちんと見ておくようにしましょう。

居抜き物件

居酒屋やカフェなどの飲食店を開業するための物件探しをするとき、「居抜き物件」という言葉を聞くかもれません。これは過去に他のお店が使用していた設備や内外装がそのまま残っている物件のことを言います。この居抜き物件のメリットとデメリットはいくつかあります。

・居抜き物件のメリット①内外装工事費などの初期に必要な資金を削減できる
②スケルトン物件よりも居抜き物件の方が多い
③前店舗が飲食店だった場合、近隣住民の認知が高く集客の期待

・デメリット

①内外装にこだわれない
②前店舗のイメージが残っている
③設備が古かった場合、修理やメンテナンスのための資金がかかる
④設備の保証書がない場合がある

このように居抜き物件には開業する際にかかる資金を大幅に削ることができる反面、ある程度資金を費やしてこだわりたい部分にはこだわれないなどのデメリットもあります。

また、居抜き物件で居酒屋の開業を考えている方は知っておきたいことが2つあります。

①造作譲渡

これは内装設備を譲り受ける際に費用が発生するというものです。居抜き物件によく見られます。前店舗の人がスケルトン工事の費用を削減でき、内装設備を次の店舗の人に買い取ってもらうことが出来ます。また次の店舗の人は必ずしもすべてを買い取る必要はなく、必要な物だけリストアップし、買い取ることも可能です。ただし、買い取る際の費用は高額な場合も多いので、契約する前にきちんと確認するようにしましょう。

②リース契約

内装設備の貸し出しを行っている会社と契約を結ぶことです。居抜き物件の場合、前店舗の人が設備をリース契約していないかしっかりと把握しておく必要があります。

  • 内外装にそこまでこだわりがない
  • 必要な資金を少しでも減らしたい
  • 早くオープンしたい

こういった方は、居抜き物件での開業も良いかと思います。開業後の予想外な資金が必要にならないように開業前にきちんと事前確認をするようにしましょう。

フランチャイズでの居酒屋開業は得?

フランチャイズで居酒屋を開業する場合、本部からの研修や教育などのサポートを受けることができるので初心者でも居酒屋を開業しやすいのが特徴です。また、本部の認知度が高ければ高いほどそのネームバリューでの集客も期待でき、安定した経営ができます。

その一方で、個性を出せるかという点では難しいでしょう。
本部の経営方針に沿っての営業になるので独自のコンセプトでの居酒屋の開業はできないです。

また、定期的に本部へロイヤリティの支払いをしなければいけません。利益から経費を引いたうえで、さらにロイヤリティも引かれるので、売上がのびなかった場合に柔軟な対応をすることができず、ロイヤリティによる資金繰りに苦しめられる可能性もあります。

もし居酒屋をフランチャイズで開業する場合には、これらの点を理解しておく必要があります。居酒屋は他の飲食店よりも差別化を図りやすく開業資金も抑えられるので、フランチャイズでパッケージ化されるよりも独自のコンセプトで経営していくほうが居酒屋の開業には良いかもしれません。

プロモーションについて考える

居酒屋開業後の大きな課題は集客です。開業直後の知名度がない状態で、オープン時にいかにお客さんを獲得できるかが、開業後の成功に大きく繋がるでしょう。

オープン販促の方法

  • SNS
  • 折り込みチラシ
  • 手配りチラシ
  • ホームページ
  • 新聞広告
  • 看板
  • ポスティング
  • テレビ、ラジオ

開業後の知名度がない状態でのホームページやSNSでの宣伝は、検索されない限り宣伝効果が低いです。資金が広告費にあまり当てられない場合には、やはり折り込みや手配りチラシが一番資金もかからず宣伝効果も高いでしょう。

また、開業時に顧客獲得を目指す際にクーポンをチラシにつける場合があります。これは一度お店に足を運んでもらう良いきっかけにはなりますが、逆にお客さんが来すぎてしまいお店が回らなくなるというトラブルに繋がる可能性があります。開業後すぐにお店のイメージに傷がついてしまうのは、今後の経営へのダメージが大きいのでそういったケースを想定して対策を練っておきましょう。

「たくさんのお客さんを獲得しよう!」と意気込むことも大切ですが、開業直後は周りの友人や近所の方などの身近な人から宣伝をしていき徐々に宣伝の範囲を広げていくのが良いかもしれません。

居酒屋の「マーケティングコンセプト」

マーケティングコンセプト」とは顧客目線での考え方で、顧客が何を求めているのかに重点を置くことです。

開業した際に居酒屋のコンセプトも大切ですが、いかに居酒屋のコンセプトの中でお客さんのニーズに応えられる商品、メニューを生み出せるかが必要です。開業前に自分が開業しようとしている居酒屋が土地のユーザー層と合っているのか、きちんとマーケティング調査を行うようにしましょう。
また、それと同時に周辺に競合となる居酒屋の有無も把握しておきましょう。もしあった場合には、その居酒屋との差別化ができているのかも知っておく必要があります。

まとめ

居酒屋での開業に限らず、飲食店の開業には他の店舗との差別化を図れるコンセプトや物件選びがかなり重要になってきます。準備できる開業資金の中で、どこに資金を費やし、どこの資金を抑えるかなどの資金計画も大切です。
せっかく開業しても資金繰りが上手くいかず経営難になることもあるかもしれません。そうならないためにも開業資金、運転資金の用意、そして資金計画はきちんとしておきましょう。

居酒屋は夜間の営業がメインになり大変ですが、居酒屋での開業は他の飲食店よりも利益幅が大きく資金効率が良いのが一番の魅力です。「開業資金が少ないけど、飲食店を開業したい」という人には居酒屋はおすすめです。居酒屋での開業を成功させるためにも資金計画、ユーザー層に合ったコンセプト、メニュー決定、そして物件選びなどの準備を計画的に進めていきましょう。

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