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「トンデンファームオープン」
トンデンファームの商品を、インターネット上で販売することになった中谷昌弘さんは、東京に戻ってからさらに3ヶ月の間ホームページ作りに励んだ。この時 参考にしたサイトが「心斎橋みや竹」さんのサイトだった。
「ホー ムページはどういうところに気を付けるかを参考にしましたね。みや竹さんの傘に対する愛情がサイトからにじみ出ていました。僕もトンデンファームの商品が 『おいしい』ということを伝えるためのホームページ作りを意識しました」。
1999年7月22日「トン デンファーム」正式オープン。
オープン当時の心境は。
「勢いでここまで来てしまったが、この先どうなるか自 分でも分からなかった。未来はまったく予測できなかった。これで食べていけると思うまで、2年以上かかりましたね」
「売り上げが伸びない」
「オープン後すぐの8月~10月の 間、毎月30万円も売れましてね。トンデンファームを知っている人がインターネットで調べて買ってくれました」。
販促活動をしなくても、トンデン ファームファンが全国にいたために好調なスタートであった。
1999年当時、ネットショップオープン後すぐに毎月30万円も売れたのは、か なりの実績である。ところが、翌年の2000年12月までの17カ月間、一貫して売り上げが毎月30万円前後。売上がまったく伸びないのであった。
「ト ンデンファームブランドに甘んじていました。せっかく社長さんが僕のことを信用して、インターネット上の販売権を下さったのに。これでは申し訳ない」
中 谷昌弘さんは、この時決意をした。「男にならなあかん」
ネットショップ経営以外に損保代理店等の仕事をしていたが、全部の業務を辞めた。背 水の陣でインターネットの販売に人生を賭けた。2年前に北海道に行った当時の初心を取り戻すべく、本気になって初志貫徹を決意したのだ。
「メールマガジンでの販促」
東京都中野区に小さなマン ションを借り、仕事場にした。朝から晩まで仕事場にこもり、いろいろなホームページ登録サイトにトンデファームを登録した。売れていると言われているサイ トは何度も見て研究をした。しかし、それでも月の売り上げは毎月30万円前後であった。
どうしても売り上げが伸びないと悩んでいた2001 年4月。一通の広告メールが目に入る。
「あなたの売り上げ必ず上げます」
イーショップアカデミー(現えとコミ塾)からの勧誘メールであっ た。
今まで独学でやってきた中谷昌弘さんであったが、思い切ってイーショッ プアカデミーで学ぶことを決意した。通信教育で6カ月間のコースであった。ここで、メールマガジンで販促をするということを初めて知った。
「主 催者の江藤さんが僕の事務所に来てくれましてね。『暗い部屋でメルマガを書いていると、暗い内容のメルマガになりますよ』、と言われた。なるほどと思い、 さっそく照明を増やして明るい部屋でメルマガを書き始めました」
メルマガ発行と同時にアドレス収集のためのキャンペーンにも励んだ。週3 回コンスタントにメルマガを書き続けた。すると毎月の売り上げが、70万円、120万円、170万円と伸び始めた。そして、その年の12月には売り上げが 300万円を超えるまでに成長したのであった。
「今 のままのメルマガでは駄目だ」
メルマガでの販促を知ってから、継続して週3回メルマガを発行してきた。売り上げも毎 月好調に推移していた。しかし、2002年7月に売り上げが大きくダウンした。
「毎回商品のこだわりを語り続けたが、取り扱い商品が30品 目ほどしかなく、何度も同じことを書いていたので、お客様に飽きられ始めていると感じました。今のままのメルマガでは駄目だと」
商品説明 も大事だが、メルマガ自体にエッジ(とんがり)が立っていない。書き手である自分自身に個性がない。キャラクターナイズが出来ていないと考えた中谷昌弘さ んは、ここから自分自身を「トントン」というキャラクターにしてメルマガに登場させ始めた。また、メルマガのネタを写真付きでくわしく紹介するために、トン トン日記をホームページに掲載した。
「あ えて商品のことは少ししか書かないようにしました。お笑いの話が好きなので、自分自身をキャラ化して、お笑いのネタを全面に出して書き続けようと考えまし た」。
「量稽古」
圧倒的な文章力の中谷昌弘さんに、その秘訣を質問した。
「文章に関係した仕事をした経験はありませんよ。今でも文章力があるとは思ってい ません。メルマガがうまくなるためには量稽古。毎週3回発行を5年間続けています。毎回毎回が稽古だと思っていますね」
週3回発行を5年 以上継続していると、約800回もメルマガを書き続けていることになる。そんなにたくさんの量のネタはどうしているのだろうか。
「生活の 中心がネタ探し(笑)。常にネタ帳を持ち歩いていますよ。毎日毎日ネタ探しの取材をしていると、見る視点が変わってきましてね。どこかに笑えるネタがない か・・・。おもしろい話はないか・・・。そんなネタ探しの生活自体が、またおもしろいんですよね」
「最初は、こんなにおいしいソーセージ を全国の人に知ってもらいたいと思っていました。もちろん今でもそう思っています。それと同じように、こんなにおもしろい話は全国のみんなに知ってもらい たいと思っています。子供の頃と同じで、やっぱり目立ちたがり屋かな」
「仕事と趣味が同化している。人生メルマガ。毎日こんなに楽しいこ とはないですよ」。
そう語る中谷昌弘さんであった。