- 目次 -
プロローグ
私もビジネスのなかで多くの人と出会い、たくさんの製品やサンプルに接する機会を得ました。特に電子・電気の分野では新しい製品やサービスに接す るチャンスは五万とあり、あふれる情報のなかから自分にとって本当に必要な情報だけを選び抜くことが重要となります。 言い換えれば、チャンスをものに するタイミングが大切なのです。
このコーナーでは私が体験した電子/電気分野での数々の出会いの紹介を中心に,またチャンスや新しいアイ デアから実際に起業された方々からの取材を通じ、ものづくりビジネスをはじめ他の業種でも応用できるチャンスの活かし方のコツや着眼点、また成功に通じる 要素を探り出したいと思います。話を進めるにあたり、いくつかの基礎的なものづくりの要素を説明させていただきます。
ものづくりのQCDとは?
さて、ものづくりビジネスには他の業種にも通じるテクニックがたくさんあります。
最初の出番はQCDです。 QCDとはすなわち品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の略でQCDの向上こそ、 ものづくり現場での一番大切な目標となります。
ものづくりでの製品の品質は他の業種であれば“取り扱う商品や提供するサービスの質”に置き換えられますし、コストは“仕入れ原価”と市場で勝ち 抜くための“価格設定”であり、また納期はお客様への“スピーディーな対応とサービスの提供”だといえます。 ですから、ものづくり以外の業種でもこの QCDを意識した経営が重要と考えられます。
QCD をどう具体化し、目標を達成するためのマネージメント手法としてPMBOKと言う考えがあります。PMBOKとはプロジェクトマネジメント知識体系 (Project Management Body Of Knowledge)の略で、QCD目標を達成するために“そのプロジェクトの目的とその範囲の明確化”、 “タイムスケジュールすなわち進捗管理”、 “コスト管理”、“品質管理”、“人的リソースの管理(顧客、開発サイドを含む)”,“コミュニケーション(コミュニケーションの方法と適用シーンの決 定)”,“リスク管理” さらには “調達管理” を意味しますが、もう少し詳しい説明は別の機会とさせていただきます。
言葉だけ見ると難しく思えますが、日常の業務で意識せずに実行している項目もたくさん含まれていますので、難しく考えないでください。
アプリケーションで勝負する
成功したものづくりやサービス業には、アプリケーションに特化したことで成功した事例がたくさんあります。ものづくりは他の業種以上にアプリケーショ ンを意識する場面があると考えます。例えば、製品を企画する場面では“こんな使い方もある”、“あんな使い方もある”と具体的なアプリケーションをめぐる 社内での論議もありますし、製造現場では限られた工具で顧客の要求や納期にまにあわせる必要があり、それこそアプリケーションを問われる場面の連続です。 電子/電気の分野はアプリケーションがきらりと光る分野です。 またアプリケーション抜きで競争を勝ち抜くことが難しい分野とも言えるでしょう。