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A/D、D/A的な発想を!
電気街を散策中、ふと横断歩道の信号に目が止まりました。なんの変哲もない歩行者専用の信号のはずですが、よく見ると横断を許可する人をかたどっ たシンボルが歩いているではないですか。これはカウントダウンとアニメがセットになった歩行者用信号機だったのです。 横断のための残り時間が10秒をき ると、アニメが歩く姿から小走りの状態へ変化するとてもユーモラスな信号機です。
世界の信号機を紹介するコーナーではありませんが、三年前に中国本土の寧波(上海近郊)を旅した時、やはりカウントダウン表示の有る歩行者信号が 目にとまりました。 それは、今回台北で見た歩行者専用信号とは異なり、青から赤、赤から青への残り時間のカウントダウンを数字ではなく、バーグラフで表 示した信号機でした。 同じ中国語圏でも国境を隔てると表現方法に差が出るのは生活習慣やコンセプトの違いなのかも知れませんが、興味を引かれました。
全体から現状を知るには、アナログ表示が有利です。 例えばスピードメーターやタコメーターは位置からおおよそのスピードなり回転数を知ることが できます。 また、スピードが上昇しているか、下降しているかも針の動きで体感できます。変化を知る上ではアナログ表示が圧倒的に有利です。
信号機を例にとれば青から赤、赤から青への変化、カウントダウンを数字で表すのは典型的なデジタルの世界、そしてバーグラフやアニメの追加は変化 を直視できるアナログの世界と言えます。 電子回路にはアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーター(Analogue to Digital Converter)、また逆にデジタル情報を電圧などに変換するD/Aコンバーター(Digital to Analogue Converter)と呼ばれる回路があります。
電子回路だけでなく、他の業種でのサービスや製品の企画においても、このアナログとデジタルの変換発想はアイディアをブラッシュアップする上で大 切と考えます。 例えば、スケジュール表でも数字の羅列よりアナログ的にグラフで進捗などを表現した方が瞬時に状態を把握できます。 周りを見回してデジ タル表示のものをアナログ表示へ、アナログ表示のものをデジタル表示へと頭のなかで置き換えてみてください。 プレゼンの資料を作っていても、ここはアナロ グ的にグラフにした方がよいとか、文章の表現より数字で表した方が説得力があるといったように自然と表現力が豊かになると思います。
日 々の発想の中でアナログ、デジタルを意識しながら製品やサービスを見る習慣をつけてください。
進化と深化
台湾旅行での、もう一つの発見からの教訓です。
街を散策中建物の前に数台の赤いバイクが停まっているのが目に入りました。 そこは消防局の前でした。よく見ると “救護車”、すなわち救急車で なく、救急バイクであることが判明しました。
台湾の道路事情でスクーターやバイクが交通手段で大事なことは知っていましたが、救急車が事 故現場や病人を運ぶ前に渋滞をさけながら、初動活動に活躍する救護者の姿が容易に想像がつきます。
ものづくりの醍醐味は、自分のアイディアで製品を進化させることにあります。 使い勝手をよくする、お客様の意見を反映するなど進化の方向付けが 決まります。 台湾での救急バイクは進化の方向を深化させることでニーズに応えた事例と言えます。 行政の制限があるから、現在の法律ではむりだから、思 考を停止する前に、まずは“現状の制限や規制”を考慮せず製品やサービスを企画してみてはどうでしょうか?
諸外国で受け入れられている製品やサービス、規制が緩和されればブレイクしそうな新しいサービスなどのように、ビジネスチャンスはたくさんありま す。 進化と深化の線で発想力をブラシュアップしてください。
次回からは、いよいよ職業別電話帳のどの業種に分類されるか悩むアイディアか らの起業や製品の紹介を開始したいと思います。
台北市消防局 救急バイク |
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