Vol.04 都会に住む20代社会人13人が農業体験をプロデュース[農業関連ビジネス]

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回取材した「田舎日記@九十九里」は、首都圏在住の都会人に対して年2回の田舎/農業体験を提供しているチームだ。チームはカメラマンやミュージシャン、デザイナーなど首都圏在住の20代社会人13名で構成されており、彼らの多くは、「農業」「田舎」といったキーワードに当てはまらない。農業はもとより、舞台となっている九十九里地域にも由縁のない彼らが、「農業」や「田舎」をプロデュースすることの意義とはなんだろうか。広報担当のサトウユウジさんにお話を聞いた。

農業体験や田舎体験はプログラム。参加者の笑顔を一番に。

 日本では昨今、田舎暮らしや LOHASブームもあり、多くの地域で田舎体験や農業体験が開催されていますが、その主催の多くは、地域の農業者や関連団体などの地元の人々だ。それらのイベントの趣旨は、地元のPRであったり、ブランド普及であったり、後継者探しであったりすることが多いと感じる。

 しかし田舎日記@九十九里は、他と趣旨が異なる。農業体験や田舎体験はプログラムに過ぎず、イベント参加者に「忘れかけていた何か」を感じとって欲しいというのが趣旨だという。その「忘れかけていた何か」とは、参加者全員で同じ目的を共有し、その目的を達成したときの満足感であったり、目的達成のためのコミュニケーションから生まれる自然の笑顔であったり、さまざま。

 

イベント参加者の目線で構成されたプログラムが、理解度や満足度を高める。

 イベントのプログラムづくりにも工夫をしている。プログラムは、農業とレクレーション、食事に分かれており、基本的には担当プロデューサーがプログラムを考え、地元の応援者に相談をして最終的に決定しているという。農業プログラムは、首都圏に在住しながら農業に興味をもつ人が担当し、レクレーションの担当は都内で看護婦として働く。食の担当は、首都圏の給食センターやカフェなどで働くメンバーだ。

 各プロデューサーが一環して考えているのは、参加者の笑顔であったり、楽しさであったり、思い出づくりであるという。その思いを共有する地元の応援者が、地域に伝わる素材や文化などの情報を提供する。例えば、農業では稲の品種に古代米を利用したり、食事ではバーベキューをしたり太巻き体験をしたりするのである。この、プロデューサーと地元の応援者とのコラボレーションが、現代の人々にも無理のない形で受入れられる秘訣のようだ。

 

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 このイベントの目指すところは何だろうか。「田舎日記@九十九里のイベントは、何かを目指すものではなく、忘れてはならない何かを感じとってもらうものなのだと思う。目指すところは、より多くの人の心を動かせるイベントにすること」とサトウさんは話してくれた。

 今後の課題としては、地元住民との交流が挙げられるという。なぜならこのイベントは、プロデューサーである13名の都会人と、九十九里の歴史と風土とのコラボレーションが必要不可欠であり、それらの知識と技をもっている地元住民の協力がこのイベントには欠かせないという。このイベントの面白いところは、20~30代の担い手と呼ばれる層の参加率が高いということ。その比率は全体の60%であり、うち1人での参加者の比率は20%におよんでいた。デザインや写真、IT技術を駆使することや、多くの雑誌や FMラジオなどに情報提供していることも、この層を取り込めている秘訣なのではないだろうか。

 

 

プロフィール

田舎日記@九十九里(千葉県山武郡横芝光町)
2003年5月に、都内で開催されていたカフェイベント「食道楽」と
お米専門ネットショップ「おこめナビ」のメンバーが、共同で九十九里にあるペンションと連携し、
さつまいもの苗植えイベントを開催。
2004年より地元農業者から田んぼを借り、古代米の田植え/稲刈りをプログラム化。
100人規模(年間200人)のイベントに成長。
2005年4月に文部科学省「子供の居場所づくり」キャンペーンに参画。
13人のプロデューサーは、首都圏に在住の20代の社会人によって構成されており、
ミーティングは日曜日の早朝などに都内のカフェなどで、開催されている。
今回お話を聞いたのは、広報担当サトウユウジさん。イベントへの参加費は1泊2日10,000円~。

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