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農業は「共同・協力」で成り立つもの。人と人とのふれあいを大切に
茨城県に本社をもつ、有限会社アグリクリエイトの斉藤 公雄氏。斉藤さんの話には、「共同」や「協調」という言葉がよく使われていた。有限会社アグリクリエイトは、研修生を早くから受入れており、農作物の販売という側面から、新規就農や農業研修を考えている挑戦者にオススメしたい。
アグリクリエイトでは、最低1年以上の住み込み型で、毎年 3~5人の研修生を受け入れている。住み込み型で研修生を受け入れる背景には、人とのふれあいが農業には不可欠だと考えているから。この少人数制の住み込み型であれば、研修生同士のコミュニケーションを活性させ、協調性を保ちながら一つの目的をもち、同じ目的に沿って共同的に作業を行い、生産性の高い・効率的な成果物を生み出せると考えている。
最後に、研修生の受け入れ条件を聞いた。「まず大切なのは、茨城県に1年以上住み、共同生活を楽しめる人であることが重要」とのこと。研修内容は、コメと野菜の生産および販売。アルバイト料あり。年齢制限はないが、共同生活者の平均年齢が20歳代のため、現実的には20歳代であることが条件となりそうだ。
有限会社アグリクリエイトは、農作物の生産部門(あゆみの会)が生産した農作物の物流管理業務を行う。
社員および研修生の平均年齢は27歳。
あゆみの会は、1989年に代表斉藤公雄さんによって結成された有機生産者のグループ。
現在、茨城県稲敷市を中心として、300件以上の生産者と提携。
2001年には、食品リサイクルのグリーン購入などの事業を展開するリサイクル環境事業部を東京に設立
(有限会社アグリクリエイト東京支社)。
セカンドライフの移住と就農。準備期間5年間、最後は人との縁
山梨県北杜市の花き栽培の小西 博さんは、1998年にセカンドライフとして兵庫県神戸市から山梨県北杜市に移住し、新規就農を果たした。退職後のセカンドライフとしての農業、その実現には5年間の準備期間があった。
彼は、55歳のときからセカンドライフのための準備を始めていた。57歳の夏は、八ヶ岳中央農業実践大学校の研修に家族3人で参加。秋からは、大阪府富田林市の就農準備校に日曜日を使って通い、花きや野菜の栽培などを学ぶ。そんななか、大きな転機となったのが、実際に2aハウスを借り、花き栽培を試したことだった。これが思いのほか順調で、定年前の2年間は花づくりに熱中。花き栽培の実現を目指すようになる。
そんな時、農業情報誌に山梨県の土地情報を見つける。山梨県北杜市は花き栽培に適した土地だった。すぐに申し込みを行い、農地は確保できたが、家探しという大きな問題が立ちふさがった。農地の近くには、そもそも空き家がない。県内の県営住宅も県内在住者の保証人が必要だった。この問題を解決させてくれたのが、人との縁。たまたま宿泊した民宿に空き家があり、借りることになったのだ。
セカンドライフとしての移住と就農。今後高い注目が集まると期待されているが、その現実はかなりの労力と行動力が必要であるといわざるを得ない。それは移住する前だけでなく、移住した後の地域とのふれあいも課題となる。家族の協力がなければ、決して実現できないだろう。また、今後はこのようなニーズをターゲットにした新しいビジネスも考えられるだろう。
小西博さんは、徳島県の農家の長男に生まれるが、農業は衰退するだろうという父の勧めもあり公務員になる。
40年間勤務の後、定年退職後の1998年、ストレスのない生活を求め山梨県北杜市に移住。
国の新規就農支援金制度を活用して就農、設備投資を賄う。
50aのハウスにて、家族経営での花き栽培を始める。今後はハウス栽培での2作、3作に挑戦する。