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独立を意識してオーストラリアへ
大学時代にアメリカで半年間の留学経験のある草深さん。
留学中に旅行会社に興味を持ち、帰国後、旅行会社に入社。
大きい会社に入るより小さい会社でいろいろ経験したいと思い、小規模の旅行会社を選びました。
入社したその会社では大手の会社に対抗すべく、一つの国に特化した旅行会社を作ろうとしていたのですが、バブル崩壊の影響でその実現が困難になってしまい 草深さんは退社しました。しかし退社後も旅行会社への夢を捨てきれずに、草深さんは自ら旅行会社を起こす決意をし、その準備としてワーキングホリデー※1 を利用してオーストラリアへ行くことにしました。
オーストラリアで気付いたこと、変わったこと
オーストラリアでビザを取り、各都市を回って、また旅行会社を作るために必要な資格を取りに何度か日本に戻り、起業の準備は着々と進みました。そ して資格的にはいつでも開業できる状態になったのですが、いざ始めようとすると資金面で問題が起こりました。旅行協会に許諾金を払わなくてはいけないので すが、給料の安いオーストラリアで働いていたため、草深さんには貯蓄がなかったのです。また、販路開拓面でも顧客獲得がうまくいきませんでした。
自分にできることを棚卸
そのようななか、草深さんは自分ができることを考えてみました。自分の経験は「オーストラリアに長く住んでいて現地に詳しいこと」「仕事の関係でいろいろな都市に住むことができたこと」「たくさんの人とお付き合いすることができた」ことでした。
その一方で、自分と同じようにワーキングホリデーを利用している人や海外に留学している人たちから「留学業者にかなりの料金を払って来たが実際はもっと安く済んだ」「オーストラリアに来てから業者のフォローがまったくない」という業者に対する不満の声を多く聞きました。
そして、草深さんはしだいに自分の経験から留学している人たちの不満を解消できるようなサービスが提供できるのではないかと考えるようになりました。そこで、手始めに個人でホームページを立ち上げて留学相談を無料で受け付けるようにしたのです。
旅行会社から留学情報会社へ
ホームページでの質問は毎日4~5件あり、その質問の受け答えをするなかで、自分の知識が質問してくる人たちに十分満足いただけるものだというこ とを、草深さんは確信しました。そこで留学業のノウハウを身に付けるために留学業者でトレーニングを行い、さらにオーストラリアに200校近くある語学学 校のうち130校ほどを見学、語学学校がどういうものかを学びました。そして帰国後、A.I.Cを立ち上げたのです。
まずは、お客様を集めるためのホームページ作成から始めました。しかし形になるまで6カ月かかったそうです。その間、草深さんは朝から昼はアルバイトで資金を稼ぎ、昼から夜は現地の会社との契約や情報集めをしながら、ホームページ作成に時間を費やしました。
(Vol.5に続く)
※1 ワーキングホリデーとは「働きながら休暇を過ごす為の制度」。
アルバイトをして滞在中の経済的負担を軽減することができ、勉強にも旅行にも活用することができます。