「付加サービス」のカギは「意外性」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

出題・解説:羽根 拓也(アクティブラーニングスクール代表)

http://www.als.co.jp/

ビジネス成功に欠かせない要素は、「人を惹き付ける」ということだ。このコラムの第11回目にも「人々を惹き付ける突き抜ける要素」をもつことが重要だと説いた。さて今回は、コストをかけずに、人を惹き付けられる「付加サービス」のテクニックについて考えてみたい。

まずは、身近なところから「人を惹き付ける」ことに成功した二つの事例を見てみよう。

私 のスクールでボランティアをしてくれている社会人一年生に聞いた話だ。彼はつきあって五年になる彼女がいる。しかし、五年たち、二人の関係はだんだんとマ ンネリ化してきた。デートをしていても付き合い始めた頃のような刺激がない。危機感を感じた彼は、関係回復のためにある対策を講じた。実に単純な方法であ る。毎回のデート時に一輪の花を持っていき、彼女に手渡したのだ。効果はあったのか?

「それがものすごくあったんですよ!花一輪だけじゃないですか?自分でもそんなに効果あるとは思っていなかったんですけど、びっくりするぐらい喜んでくれたんです。花一輪って 100円か 200円ぐらいですから、投資効果は抜群ですよ!」

彼はデート時に、花を一輪プレゼントするだけで彼女を惹き付けることに成功した。

二 つ目の例を紹介しよう。私のスクールの近くにあるウナギ屋さんの話だ。この地はビジネス街であるため、多くの飲食店がひしめきあう激戦区。そんな中で、い つも客足が途絶えない人気店が、駅前にあるウナギ屋さんだ。人気の秘密はおかみさんのカウンターサービスにある。カウンターの上には、酢の物、煮物がずら りと並んでおり、おかみさんが、ウナギを頼んでくれたお客さんに対し、この一品料理を無料でふるまう。

ウナギを食べるだけのつもりで来た のに、無料で一品がついてくるのだから、客は当然喜ぶ。このサービス、コストはどうだろうか?実は、先ほどの花のプレゼントと同様、それほどかかっていな い。この一品料理は、お酒を飲む客のための「つまみ」であり、酒を飲む客からはお金をとっている。そのお客用に大量に作られている中から、食事だけをする 客に少しずつ皿に盛って出しているだけなので、それほどコストはかかっていない。

おかみさんは、一品料理を無料で提供することでお客さんを惹き付けることに成功している。

人 を惹きつけることに成功した二つの事例に共通する要素は何か?それはどちらも受け手側が、「そのことを予想していなかった」ということにある。ここに人を 惹き付けるカギがある。「本サービス」と「付加サービス」という二つのサービスの違いから、そのからくりを見てみよう。

デートに誘い、相 手に楽しい体験をしてもらうこと、ウナギ屋でおいしいウナギを食べてもらうこと、これが「本サービス」だ。相手に満足してもらうためにだれもが「本サービ ス」の質をあげることに全力をあげている。しかし、「本サービス」はそれを受ける側の期待度も高いので、これだけで相手を十二分に満足させることは容易な ことではない。

そこで「付加サービス」が生きてくる。「付加サービス」とは「本サービス以外に提供されるプラスアルファのサービス」を指 すとしよう。付き合いはじめて五年目になる彼氏が、デート時に花をプレゼントする。ウナギを食べに来たお客に、一品料理をサービスする。どちらも、受ける 側がそのサービスを受けることを予想していなかった。そこに驚きが生まれ、それが強い満足感へと変わっていく。つまり、「相手が、予想していなかったもの を与える」というところに、人を惹き付けるサービスを提供するポイントがあったということだ。

このポイントさえ押さえれば、実はコストをかけずに人を惹き付けることが可能だということがわかってくる。最後にもう一つ、人を惹き付けて離さないディズニーランドの例を紹介しておこう。

先ほどの花をプレゼントした彼が、関係回復の記念に、彼女を連れてディズニーランドに行った。

「い やー、僕の花の付加サービスも効果ありましたけど、ディズニーの付加サービスもすごいですよ。園内で写真とろうと思ったら、警備員が走ってきて写真をとっ てくれたんですよ。『はい、ディズニー』とかいいながら。ミッキーやエンターティメント用のスタッフが明るいのはわかりますけど、警備員がそこまでやって くれるとはだれも思っていない!これぞディズニー流の付加サービスですよね。」

あなたが始めようとしているビジネスにおいて、本サービス をしっかりさせるのは当然のことだ。また、値段や量で差別化を図ることも重要だ。しかし、それとあわせて「付加サービス」について検討する視点を忘れない でほしい。その「付加サービス」は、本サービスを助ける強力な手段となってくれるに違いない。

 hane_prof

 【羽根 拓也 プロフィール】

日 本で塾・予備校の講師を勤めた後、1991年渡米。ペンシルバ大学、ハーバード大学等で語学専任講師として活躍。独自の教授法はアメリカでも高い評価を受 け、94年、ハーバード大学より優秀指導賞(Certificate of Distinction in Teaching)受賞。「知識を与える教育」から、「自己成長力を向上させる教育」こそが、世界に求められていると考え、97年に東京に「アクティブ ラーニングスクール」を開校。これまで日本にはなかった「自己成長力」を育成する教育機関として各界より高い評価を得ている。独自の教育理論えおその指導 方法に、有名企業、政府関係機関、教育機関などより指導依頼が絶えない。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める