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プレゼンとは、比較されて選ばれるための勝負
単独勝負ができるプレゼンの機会ってなかなかありませんよね。たいていの場合、いくつかの競合が参加していて、クライアントは複数の会社からのプレゼンを受け、その中から比較検討して発注する会社を決めるわけです。ですから、プレゼン資料を作成するにあたっては、クライアントに自社の提案を理解・納得してもらう内容を検討しながら、それと同時に、ライバル企業に勝利するための戦略をしっかり構築しておかなければなりません。その際に、注意しておくべきポイントをふたつ挙げておきます。
やってはいけないこと、やっておくべきこと
ひとつ目はやってはいけないこと。大前提として、誹謗中傷や悪口など、競合を引きずり落とすような表現手法は絶対に使わないことです。企画書を作成する本人はプレゼンに勝つために必死ですから、自分ではそうは思っていなくても、そう取られてしまうような表現を使ってしまうことがあるかもしれません。それを避けるためにも、本企画の第1回目でもお伝えしました、プレゼン前に企画書の第三者チェックを必ず行ってください。ふたつ目はぜひやっておくべきこと。まず自社にしかできない売りのポイント、例えば、製品価格、品質、デザイン、耐久性、メンテナンスコスト、アフターサポートなど、強みと思えることをすべて列挙するのです。そうやって引き出した自社の強みは、やはりビジュアルを使ってわかりやすく表現しましょう。4象限のポジショニングマップをつくる際でも、テキストだけで説明するのではなく、そこに商品写真やサービスの利用シーンなどのビジュアルがレイアウトされていた方が、競合との差別化ポイントのイメージは伝わりやすいですから。
イメージをどんどんふくらませるビジュアル表現
差別化のためだけではなく、やはりビジュアルを上手に使って表現している企画書は見ていて楽しいですし、イメージが膨らみます。私の会社ではレストランの運営とワインの輸入販売も行っており、以前、フランスのチーズを輸入販売している会社からプレゼンを受けたのです。その企画書には、フランスの美しい牧場やしっかり管理された製造工程、そのチーズを使用した料理、デパートでの販売現場、フランスの家庭での食事シーンなどのカラー写真がふんだんに散りばめられていました。実際にそのチーズがどうやってつくられて、どのような場所で販売されて、どのように家庭に溶け込んでいるか、とても上手に説明されていて、私の頭の中に日本での展開イメージがどんどん浮かんできたのです。ぜひ取引したいと思わされる素晴らしい企画書でした。素材を加工して商品をつくっている会社がプレゼン用の企画書を作成するなら、このチーズ輸入販売会社のようなビジュアル表現手法を活用されるべきですね。??
スキャナーがあると便利な理由
昨今では仕事する上でのデジタル環境はどんどん利便性を増しています。私の場合、企画書に使用するビジュアル素材は、デジタルカメラで撮影することが多いですね。でも、提案のイメージを高めるために、過去に撮影した紙焼き写真や、デジタル化されていない資料のビジュアルを使いたくなるときが意外とあるのです。昔は企画書に実物を切り貼りしてコピーしていましたが、やはり美しくない。だからその際は、どうしてもスキャナーが必要になります。以前は、独立したスキャナーを使っていましたが、今ではスキャナー機能が付いた複合機がありますから、場所も取らないですし便利ですね。そして、スキャナー付き複合機を購入する際に重視しておいてほしいのが、画像データのトラフィック方法です。パソコンにつなぐことなく、フラッシュメモリーやメモリーカードに保存することができる機能の付いた複合機がオススメです。
なるほど納得!紙焼き写真の使い方
私がこれまでに見てきた企画書の中で、「ああ、これはうまいな」と思ったビジュアル表現手法があります。ある住宅メーカーの戸建住宅販売の企画書だったのですが、ある顧客が15年前に購入した新築戸建住宅の写真の横に、15年間実際に使用した現在の戸建住宅の写真がレイアウトされていたのです。この2つの写真を比較してみると、「ああ、15年経ってもそれほど劣化しない品質の住宅なのだな」ということがわかるわけです。しかし、15年前にはデジタルカメラが一般化していませんでしたから、多分、紙焼きの写真を使用していたのでしょう。このように、過去の写真を使って効果的な提案ができることは多いのです。その際にスキャナーがないとちょっと困ってしまいますね。
効果的なビジュアル表現のヒントはこうやって見つける
ここまでお話してきたように、企画書を使ったプレゼンで、自社商品をライバル企業の商品と比較したい時、全体像をイメージしてほしいけれどテキストだけではそれが難しい時、やはりビジュアルでの表現がとても大切となります。どうすればクライアントに自社を選んでもらえるか、そのためにどのようなビジュアル表現が必要なのか……。最後にヒントを見つけるための方法をお教えしておきましょう。それは、できるだけ多くの実際に使われた企画書を見て学ぶことです。会社の上司、同僚が作成した企画書を見せてもらってもいい、また、自らが個人向け商材を扱っている会社の顧客となってプレゼンを受けてみるという方法もあります。どこが良くて、どこが悪いのか、自分なりにそのポイントを考えることで、プレゼンに勝てる企画書の作成方法が見えてくるはずです。