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お客様がワクワクするような物語をつくる
私が新人営業担当だった頃、自分がつくった企画書をチェックした上司からよくこんな指摘を受けました。「お前のつくったこれって、企画書じゃなくて見積書だよね……」。その指摘どおり、商品やサービスのスペック情報と、価格ばかりを書き連ねた資料だったんでしょう。今思い出しましたが、「定価200万円のところ、今週中に申し込みをいただけると180万円に!」、なんていう企画書をよくつくっていた記憶があります(苦笑)。確かにそんな提案資料を見せられても、お客様はワクワクなんてしませんよね。言ってしまえば、価格情報なんて電卓で見せてもいいし、鉛筆で最後に書いて見せればいいわけです。価格情報の提供以前に、伝えなければならない大切な情報とは何か? それはお客様が、あなたが担当している商品やサービスの理解度を深めてくれて、「それならやってみたい」と思うようになる提案です。私もある時期から、提案内容の仕立て方やストーリー性の盛り込み方などに注意するようになりました。お客様の興味・関心をひき、心躍るような企画書をつくらなければそれは企画書とは呼べないのです。
イラストや写真を使って、企画書はカラーで印刷
お客様を飽きさせない企画書をつくりたいなら、当然ですがモノクロよりもカラーのほうがいいです。そして私の場合ですが、商品やサービスを利用しているシーンをイメージしていただくための状況イラストを多用しています。資料作成ソフトについているイラストデータを目いっぱい使って。もちろん写真を使うという手もありなのですが、なんとなく柔らかな印象があるので、僕はイラストの方が好きなのです。そして、イラストを見てもらいながら、状況を口頭で説明していく。なんとなくですが、紙芝居のようなイメージと考えてもらえばいいと思います。まあ、写真にしてもイラストにしてもカラーで見てもらったほうが伝わりやすいですし、楽しいですから。企画書はカラーでつくる。これは徹底するべきだと思います。ですからカラープリンタは必須ですね。最近では、さまざまな機能がついたカラー複合機が、ずいぶんとコンパクトで、価格的にも手頃になりました。スキャン機能やコピー、ファクスまでついているから、特にSOHOで仕事をする方たちには一台あると便利ですよね。私自身、このカラー複合機のおかげで企画書作成がすごくやりやすくなりました。
ページの順番に沿って説明を進めていくこと
イラストや写真を使った企画書で、商品やサービス導入後のシーンをイメージしてもらいながら、口頭の説明で補足していきましょう。そのためには、理解を促進するスムーズなストーリー性が重要ですから、説明の途中でページを戻ったり、逆に進めたりするようなページ構成は絶対に避けてください。あくまでも、企画書のページ順に沿って説明を進めていくこと。もしも前のページや後ろのページで使っているグラフや資料などを見せたいなら、重複してもいいので、説明したいページでも使いましょう。補足資料があまり多くなるようでしたら、企画書本編のほかに、別途資料を用意しておき、説明のタイミングに合わせて使用すると良いでしょう。などなど、お客様に集中して提案を聞いていただくための工夫を忘れてはいけません。いずれにせよ、順を追って説明していくことで、お客様がだんだん「使ってみたい」「導入したい」と考えるようになる。そんなストーリー展開を思い浮かべながら、作成してみてください。
企画書も服装もドレスコードを考えて
企画書には、だんだん使いたくなるようなストーリー性が大事と言いましたが、それも相手あってのこと。プレゼンする先は、歴史ある大手企業なのか、新進のITベンチャー企業なのか。また参加するのは、社長なのか、部長なのか、若い担当者なのか。できるだけ詳細な情報を調べておくことです。ITリテラシーがそれほど高くない経営者に、難解なIT用語を多用した企画書を提出したらどうでしょう。きっと好印象などもってもらえませんよね。相手の特徴や好みを先に察知して、企画書のニュアンスに加えていく。これも好印象を得るための重要なポイントです。ちょっとプレゼンツールの話からそれるかもしれませんが、ホテルやレストランにドレスコードがあるように、私は会社によって自分のドレスコードを変えています。ある大手企業でプレゼンする際は、しっかりしたスーツにネクタイ。あるベンチャー企業でプレゼンする際は、ネクタイを外して少しラフなかっこうで。服装のスタイルでお客様に同化するということも、好印象をもってもらうための有効な手段なのです。
“ゆるい結論”でまずは提案の全体像を把握させる
私は、必ず企画書の最初のページに、誰が読んでも理解できるような平易な文章で、ざっくりとした“ゆるい結論”を書くようにしています。例えばですが、こんな感じです。「3年後に御社の売り上げが2倍となり、なおかつ営業利益を3倍にするための、約1億円を投資していただく、人事コンサルティング導入のご提案」。営業担当者って、金額を提示することを恐れがちですが、敢えて先に言ってしまうのです。いつか金額を言わなければならないタイミングは必ず訪れるのですから(笑)。そしてこの“ゆるい結論”を最初に把握してもらっておけば、お客様は提案全体のイメージやスケールがイメージできますから、「じゃあ、説明を聞いてみようか」という気持ちになりやすいのです。企画書を配布した瞬間に、ペラペラと企画書をめくり始める人っていますよね。あれをやられると、なんとなく説明しづらくなるでしょう。それを防止するために、“ゆるい結論”をゆっくりしゃべりながら、企画書を配る。そうすると、みんなこちらに注目してくれますから、企画書本編への導入がとてもスムーズになりますよ。