右肩上がりの思想の中で、がむしゃらにがんばってきた5L世代。
しかし、時代は変わってしまったのです。悩んでいても、 憤っていても仕方はありません。
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憤りをエネルギーに変えよう
5L世代は、それこそ、本当に一生懸命働いてきた世代です。自分を殺してでも、家庭を犠牲にしてでも会社に尽くしてきた。それは、そうやって幸せになって いった先輩たちを見てきたからです。右肩上がりで企業が拡大していった時代には、それで良かったともいえるでしょう。社内には部長、部長代理、部長心得と 多くの役職が用意され、長年がんばれば、対外的に面子を保てるような役職と給料にありつけたわけです。
それが、右肩上がりにいかないと なったら、会社もそれだけの部長を抱えてはいられません。そうすると、先輩と同じようにがんばっていても、報われない人が出てくる。それが5?世代です。 だから、この世代は一様に、ある種の憤りというか、満たされなさ感を抱えています。「おいおい、話が違う。幸せの扉は開かれているはずじゃなかったのか」 と。
しかし、職場は、自己実現を図るための手段に過ぎないということを思い出してください。そこに所属するということに意味を見出してし まうから、つらくなる。会社とは「体は許しても、唇は許さない」くらいの関係がちょうどいいのです。身も心もゆだねてしまうから、別れようと言われたとき に、恨み節しか出てこなくなるのです。
憤っていても仕方がありません。そのエネルギーを前向きに使うことです。今まで会社のためにこれだ けがんばれたという、自分の持つエネルギーをもっと信じてみてください。きっと新たな扉が見えてくるはずです。
呪縛から解き放たれよう
日本人の好きなふたつの呪縛があります。
ひとつは、 「今日の続きが明日も続く」と考えてしまう「連続性の呪縛」です。戦後、日本では、モノをつくればそれだけ売れるという時代が長く続いたことで、右肩上が りの発想が定着してしまったといわれています。
もうひとつは、「みんなと同じでないといけない」という「同質性の呪縛」。かつては、それ が均質な労働力を生み出し、大量の規格製品を世に送り出すエネルギーとなっていたことも事実です。しかし、その時代は終わりました。
この ふたつの呪縛から5L世代を解き放つキッカケが、定年にあるのかもしれません。会社を去るというのは、明らかにその連続性を絶たれるということ。「みんな と同じでなくてもいい」「昨日の続きが今日と思わなくていい」と意識を変えるチャンスとなりうるのです。ここから新しい人生を送ろうと気持ちを切り替えれ ばいいのです。
「連続性の呪縛」から抜け出せない人は不安になるでしょう。「元○○商社」というような名刺を配るような人になる。実際、 そういう人にあったこともあります。確かに、その集団に所属しているということが、個人のアイデンティティとなっていた時代もありました。東京大学や京都 大学だというだけで、名のある大手企業だというだけで、当然エリートだともてはやされた時代です。しかし、そこを離れたとき、個人として何ができるのか。 定年後には、そこが求められてくるのです。