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新規参入増える介護事業。事業間の積極的な連携が重要!
いわゆるシルバー産業は高齢者の人数の伸びにともない、大きな市場として注目を浴びてきました。とりわけ介護事業は、介護保険法の施行による公的サービス の導入後は、福祉事業者だけでなく、家政婦紹介所や異分野の事業者をも含む新規参入が大きく進みました。
その結果、事業所数は訪問介護だ けでも2005年10月には2万を超える事業所数となり、地域によっては過剰感もでてきました。今回の改正介護保険法にて、グループホーム(認知症対応型 共同生活介護)は都道府県から市区町村へ許認可権限を移行しました。これはグループホームの設置が集中した市区町村が、コントロールできることを目指した ものであり、報道によるとグループホームの設置を制限している市区町村は5000にも上るといわれています。
厚生労働省が発表する、介護 保険事業状況報告(リンク参照)でも保険者数などを把握することができます。また、市区町村では利用者の把握をし、介護保険の利用目標などを定めているた め、市区町村によって策定される計画などの動向、利用者数の推移、事業所の数などは調べることが可能ですので、市区町村の介護保険課などへお問い合せくだ さい。
単純なマーケティングに頼るのではなく、地域事情、さらには気質といったものを理解しながら進めていくことにこの事業の特色があり ます。高齢者の人口が多くても介護度の状況、単世帯の多い地域と多世帯の同居が多い地域、所得とのバランスによっても、訪問介護の生活援助のサービスの利 用状況は異なります。基本情報として数字を理解した上で、事業所の近所を歩いてみましょう。
また、介護事業所間の連携は一部の地域を除き 薄いともいわれていますが、積極的な連携も必要になるといわれています。たとえば、ケアマネージャー(居宅介護支援)は今回の介護保険法の改正で特定の法 人でのケアプラン作成が集中した場合、減算対象となります。ケアマネージャーを多く持たない中小事業所では、この減算対象となる事業所が多いことが予想さ れ、提携などを模索する動きが見られます。
介護事業は自立支援。理念を持った従 業員の育成が肝心!
介護事業での起業はご自身の介護経験や介護の担い手としての理想がきっかけとなることが多いようです。介護は単なる お手伝いではなく、「自立支援」という長い道のりをともなう大きな目標を掲げていることを考えれば、こういった方々の経験は何物にも代えることはできない と思います。ここで事業として起業するには、ボランティアに終わらないためにも、雇用した従業者の生活を守ること、そして利用者(お客様と呼ぶことがなじ まないことから利用者と表現するのが一般的です)の方々に継続的なサービスを続けるためにも、事業として軌道にのせることは経営者としての義務であるとい う視点ももっていただきたいと思います。
また、市場規模としての(高齢者人口が増えているという)伸びだけを期待した事業参入には、大き な壁があるといわざるを得ません。とりわけ理想、理念のない事業運営には、従業者、利用者の共感を得られないという福祉事業としての難しさがあります。事 業者としての理想、理念を前提に、利用者と接するのは従業者であるという視点からの従業者教育が必要です。このバランスを維持していく必要があることが、 ほかの事業との大きく異なる点なのかも知れません。