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林業からスタートし、材木商へ
去年、三重県の商工会連合会さんで講演させていただきま した。その時、講演前の応接でその連合会の会長さんにお相手いただきました。その時の話です。その会長さんがすごく元気で、パワーありました。会長は昭和 一桁生まれ、きっと、70代だと思うのですが、終戦の時に二十歳そこそこ、焼け野原の日本を復興した世代です。彼らは「裸一貫」、「この腕一本」って言葉 が大好きです。(笑)彼も戦後の日本で裸一貫、この腕一本で事業を成長させた起業家の一人です。
彼は三重県の山奥の出身で小学校しか出て いません。少年の頃から山で木を切っていました。そうです。林業です。「吉田さん、わしは小さい時は林業をしてたんや」って言われた時、「え、会長!林業 をされていたんですか?僕、林業をされている方に初めてお会いします!」ってびっくりして見せたら、大きな声で笑っていただきました。(笑)
彼は林業従事者ですから山で木を切って日銭をもらっていました。彼はすげえ頑張り屋だったので、オーナーの目にとまりました。オーナーは彼にチャンスを与 えたのです。今まで彼は日銭で働いていましたが、それを100%歩合でやってみないかとの話でした。自分で伐採した木を自分で川に流して、津の町まで運 び、市場で売る。材木代は売った代金から後払いする。つまり、やったらやっただけが収入になるってことです。テイク&ギブです。
なぜ、そ んなチャンスをいただけたか?会長は「わからんけど、金持って逃げるヤツにはみえんかったんやと思う」って言っておられました。このことには実は深い意味 があります。これは後で話しますね。
世界が広がる
当然です が、彼は今まで以上にがんばります。彼は林業従事者でしたから、彼の世界は山と自分が住む村でした。ところが、津の町に立つ材木市に通うようになった彼に 新しい世界が広がります。商売の相手は材木の仲買です。一生懸命の彼にいつも高値で買ってくれる仲買の仲間ができました。彼は自分から買った材木を製材所 に売っています。製材所はそれを加工して柱や板にします。横で取引を見ていたら、彼が売った値段の2倍でその仲買は製材所に売っています。「2倍かぁ~ やってられんな~」ってことで、その仲買に「オレにも仲買させてくれ」と頼みます。そして、彼らは一緒に仕事をするようになります。
彼は 山のオーナーに山一つをすべて先買させてもらうように頼みます。しかし、金がない。そこで、オーナーに高値を出して、半金半手にしてもらいます。またま た、テイク&ギブです。仕入れから、伐採、仲買まで垂直統合できました。そして、彼の商売相手は製材所になり、また、大きく世界が広がりました。製材所は 柱や板にして、それを工務店に売っています。工務店はそれで家を建てています。製材所は加工した材木を彼から買った値段の5倍で売っています。「5倍 かぁ~やってられんな~」ってことで、取引のある製材所の社長に「オレにも製材をさせてくれ」と頼みます。そこの社長は彼をかっていたので「それなら、う ちの古い機械を使うか」ってことで、彼は製材業を始めます。製材業を始めて1年経ったころでした。技術革新が起こります。今までの生産性とは比べ物になら ない高速の製材機が登場します。製材所の社長は「オレも買うから、お前も買え」と薦めてくれますが、高額で手が出ません。すると、その社長が「今、この機 械を買わないと、競争に負けるぞ。俺が保証人になってやるからローンで買え」と言ってくれました。またまた、テイク&ギブです。
次の商売は
彼は製材業として工務店や製材卸と付き合うようになります。もう、次の商売はわか りますよね。そうです。会長の今の商売は三重県でも有名な建設業です。村で生まれ、林業からスタートして材木の仲買、製材業、建設業と80年。これが彼の 人生です。
僕はこの話を聞いて感動してしまいました。彼は必要なリソースを周りから集めてそれを活かして大きく成長していきます。テイ ク&ギブです。新しいチャンスが新しい世界を広げます。彼はその新しい世界でまた新しいチャンスを掴みます。
僕は会長の話から
「今を一生懸命にする」信用はここから作られる。会長が最初にオーナーから チャンスをもらった理由です。「わからんけど、金持って逃げるヤツにはみえんかったんやと思う」これです。この信用は普段の働き方からきています。
次に「期待に答える」チャンスいただいたら、その期待に答えるよう全力を尽くす。期待に答えることで、次の期待がやってくる。テイク&ギブこれが起業家の チカラです。
コーヒーブレイク
金魚を飼っているんですが、な ぜか全部死んじゃったんです。(>_<)6匹いたのですが全滅。なぜか分からないのです。そんな話をみんなにしてたら、友達が金魚屋です~っ て言って金魚を6匹買って来てくれました。空気を送るブクブクも一緒に・・・・