Vol.7では、訪問介護での指定基準をお話ししました。
用語や指定基準はご理解いただけましたでしょうか?
指定基準は、事業者指定を申請する際に適えるべき最低限の条件です。
1999年3月31日厚生省令第37号(最終改正2006年3月14 日厚生労働省令第33号)によって、
「介護保険法第42条第1項第2号並びに第74条第1項および第2項の規定に基づき、指定居宅サービスなどの 事業の人員、設備および運営に関する基準を(次のように)定める」とあります。
都道府県は、これを基に指定するわけですから、この条件が 整わないと申請は受理されません。
逆に申し上げると、この条件が整うと必ず指定を受けることができるわけです。
ただし、認知症対応型 生活介護(グループホーム)など生活型地域密着型サービスについては指定基準だけでなく、市町村、特別区による基準や設置目標数による参入抑制など独自の 基準がありますので、ご注意ください。
ここで、あらためて主な居宅サービスごとの指定基準を確認しておきましょう。
なお、介護予防については原則、本サービスと一体として運営する場合、同一の人員、設備など指定基準を満たすことにより申請が可能です。
- 目次 -
居宅介護支援
(介護予防支援については地域包括支援センターが担当し、通常の申請とは異なりま す)
○人員 ・・・ 管理者 居宅介護支援専門員たる常勤、専従の管理者1名
ただし、管理業務に差し支 えがない場合、同一敷地内の他の居宅サービス事業の管理者を兼務することができる。
・居宅介護支援専門員(ケアマネージャー)
利用者35名を標準とし、実務研修を修了した者1名、ただし少なくとも1人は常勤であること
(35名を超える場合、指定取消ではなく 40名以上となる場合に減算の対象となる。)
○設備基準
・相談室(プライバシーの確保)
訪問入浴介護
○人員
・管理者 ・・・ 常勤、専従の管理者1名(資格要件なし)
ただし、管理業務に差し支えがない場合、同一敷地内の他の居宅サービス事業の管理者を兼務する ことができる。
・従業者 ・・・ 1輌の車両(チーム)につき
看護職員1人以上(看護師、准看護師)
看護職員2人以上(資格要件なし、介護予防では1人以上)
うち1名以上は常勤
○設備基準
・訪問入浴介護の提供にあたって必要な設備 ・・・ 身体が不自由な高齢者でも入浴のできる浴槽、浴槽を運搬する車両などが必要。
・感染 症予防のための手指消毒設備
訪問看護
(診療所、 病院におく場合は原則診療所、病院の人員、設備を利用することができます)
○人員
・管理者 ・・・ 保健師、看護師たる専従、常勤の管理者1名
・従業者
看護職員(保健師、看護師、准看護師)を常勤換算で2.5人以上
必要に応じて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
○ 設備基準
・相談室(プライバシーの確保)
・感染症予防のための滅菌装置など
訪問リハビリテーション
○人員
・従業者
必要に応じて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれかを配置
○設備基準
・相談室(プライバシーの確 保)
通所介護(デイサービス)
○ 人員
・管理者 ・・・ 常勤、専従の管理者1名(資格要件なし)
ただし、管理業務に差し支えがない場合、同一敷地 内の他の居宅サービス事業の管理者を兼務することができる。
・従業者
生活相談員(社会福祉主事任用資格、またはこれと同等以上の能力を有すると認められる社会福祉士、居宅介護支援専門員など)
介護職 員(資格要件なし)、看護職員(看護師、准看護師)を各1名
・・・定員が15名を超える場合は、それ以上5名またはその端数を増す ごとに介護職員1名追加
・・・定員が10人以下の場合は介護職員、看護職員のいずれか1人以上
なお、生活相談 員または介護職員はサービス提供時間は専ら従事する必要があり、うち1名以上は常勤であること
機能訓練指導員(理学療法士、作業療法 士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復士、あん摩マッサージ指圧師、ただし兼務可)を1人以上
○選択的サービスによる介護報酬 の加算にあたって必要な要件
・運動器の機能向上(介護予防のみ)
1人以上の専従の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、マッサージ指圧師
・栄養改善
1人以上の管理栄養士
・口腔機能の向上
1人以上の言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員
○ 設備基準
・食堂および機能訓練室。(定員1人あたり3平方メートル以上を確保)
・静養室
・相談室 (プライバシーの確保)
・消火設備など非常災害に際して必要な設備
福祉用具貸与
○人員
・管理者
常勤、専従の管理者1名(資格要件なし)
ただし、管理業務に差し支えがない場合、同一敷地内の他の居宅サービス事業の管理者を兼務することができる。
・従業者
福祉用具専門相談員 常勤換算で2人以上
福祉用具専門相談員は、介護福祉士、義肢装具士、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、
そして、福祉用具専門相談員の講習会修了者のほか、訪問介護員(ヘルパー)養成研修1級、2級でも配置ができます。
○設備 基準
・相談室(プライバシーの確保)
・福祉用具の保管、消毒に必要な設備
未消毒のものと、消毒済のものが、衛生管理上明確に区分できる必要があります。
なお、事業所が保管、消毒に必要な設備をもたず、卸、代理店などほかの事業者が保管、消毒を行うことでも可能です。
特定福祉用具販売
現在、2006年介護保険法の改正に伴い、特定福祉用具 (※)の販売を行うには事業者指定を受けることが必要となっています。
指定基準は福祉用具貸与に準じますが、(介護予防)福祉用具貸与の 事業者指定を受けている事業者は、特定福祉用具販売を一体的に運営する場合は、指定基準を満たしているとみなされます。
つまり、福祉用具貸与と 特定福祉用具販売それぞれの事業所において指定基準を満たす必要がなく、同一の人員配置で指定申請することが可能です。
※腰掛便座、特殊尿器、 入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトの吊り具
指定にあたって、前述のように相談室、事務室のスペースには広さの基準はありま せん。
また、複数のサービスを同一のスペースにて行うことも可能ですが、サービスごとの机を確保するなど、サービス提供にあたって必要な広さを 確保してください。