介護タクシーについて2回に渡りお話をしてきました。ここで介護タクシーをはじめるため訪問介護事業者が許可を取得する場 合の流れと要件を整理しておきましょう。
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管轄運輸支局へ許可申請 書の提出
申請にあたっては営業所、使用する事業所車両、その車両をおく駐車場、運転手とその休憩仮眠室に いわゆる設備、人的要件があります。
・営業区域内に設けた営業所、休憩仮眠室、事業所車両、駐車場に3年以上の使用権限
~土地建物については、自動更新が定められていればOK
~車については、リースもOK
・事業用車両を1両以上
・車 両については、任意保険、又は共済によって対人8000万円以上、対物200万円以上の損害賠償能力のあること
・営業所から2㎞以内に駐車場、 休憩仮眠施設の確保
・駐車場においては境界、車両相互間の間隔が50㎝以上の確保
・前面道路が自動車の出入りに支障なく、それが幅員 証明書で確認のできること
・法人の場合、役員のうち1名が運送事業に専従すること
・専従の役員のうち1名以上が法令試験を受験、合 格すること
・運転手として2種免許など有資格の運転者を選任すること
合理的かつ確実となる資金計画があり、所要資金の50%以 上、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金
事業車両については、いわゆるグリーンナンバー登 録ができない、登録が難しい車両もありますので、今まで乗っていた自家用車を登録する場合はあらかじめ自動車検査登録事務所(陸運局)で確認をしましょ う。
東京都のように密集地では、上記のような50cm以上の余裕を持つ駐車場の確保も難しいこともあります。その場合は車両は軽乗用車で もいいでしょう。また、任意保険の保険料も小型乗用車などと比べ安いので、資金計画上も有利です。こういった経費を合計し、所要資金を求めます。この所要 資金の50%以上、そして事業開始当初の資金として2カ月程度の経費の100%以上の額を預貯金の残高証明書、申請日時点の見込み貸借対照表の流動資産に よって、事業開始にあたっての「合理的かつ確実となる資金計画」とします。
なお、役員のうち1名以上が合格することが必要とされる法令試 験は介護タクシーにおいてはこれを省略することができるとされており、関東運輸局の管轄内では不要です。
●許可書の交付後の手続
申請後、問題がなければ 許可までの標準処理期間は2カ月となっています。無事、許可書が交付されると6カ月以内に次の流れで運輸開始届までの手続きをおこなうことになります。
●登録免許税(3万円)の納付
●運行管理者、整備管理者の選任届(車両が5両以上の場合)
●指導主任者の選任届
●運賃、料 金および運送約款の認可申請
・特定大型車、大型車、普通車の三区分において距離制運賃、時間制運賃、定額運賃を定めることできる。
・深夜早朝割増の設定
・障がい者割引、遠距離割引などの設定
・待ち料金、迎車回送料金、予約料金などの設定
自動認可運賃の範囲内であれば申請運賃は速やかに認可され、おおよそ3週間から1カ月ほどでしょう。自動認可運賃を超える場合、もしくは極端に安い申請の 場合は、原価計算書を作成し、適正な料金であることを説明する必要があります。
●運賃認可書の受領(3週間 から1カ月程度)
●メーターのとりつけ(距離制運賃を使う場合)
とりつけをする場合、資金計画でも見積もりが必要となるので数社から 見積もりをとってもいいでしょう。介護タクシー向け製品も企画されています。限定の許可の場合、いわゆる流しができませんので、空車のサインのない機能で も構いません。
●車両の登録、表示
申請車両を運賃認可に伴い発行される連絡書を使いグリーンナンバーの登録を行います。登録 後、タクシー、料金の表示をし、写真を撮影しておきます。後述の運輸開始届の際必要となります。
●運輸開始届
許可書交付から 6カ月以内に運輸開始し、車検証、保険証券の写し、車両の写真とともに運輸開始届を提出する必要があります。
いわ ゆる介護タクシーについては、前回お話しした旅客、車両に条件をつけて許可されることになります。
また、この一般乗用旅客自動車運送事業の 許可は介護事業者のみならず、個人法人を問わず許可を受けることができます。?
なお、介護輸送については利用者が特定されている場合、提 要法律に則って行われます。例えば会員制により病院と自宅の間の利用者の送迎に限定される場合は、道路運送法43条に基づく特定旅客自動車運送事業の許可 によっておこなうこともできます。