Vol.11でお話しをさせていただいたように道路運送法80条1項に基づき訪問介護、居宅介護事業者は、訪問 介護員などが持っている自家用自動車などを利用して有償運送を行うことができます。この際、事業所は前回お話した、一般乗用旅客自動車運送事業または、特 定旅客自動車運送事業の許可を有していることが必要です。いわば、親亀と子亀の関係ですね。
ただし、この輸送は介護支援専門員(ケアマ ネージャー)が作成する介護サービス計画(ケアプラン)は市町村が行う介護給付費支給決定に基づき、資格を有する訪問介護員などが訪問介護サービスと連続 して、または一体として行う要介護者などの輸送であること、そして運送の発地または着地のいずれかが契約する訪問介護事業者などの指定を受けた旅客自動車 運送事業者の営業区域内にある運送であることが必要です。
今回はこの手続きの、要件を見ておきましょう。
- 目次 -
自家用自動車有償運送許可申請の手続と要件
許可申請については、一般乗用旅 客自動車運送事業または、特定旅客自動車運送事業の許可後となります。
●訪問介護員 等の要件
・ 2年間、無事故および運転免許停止処分を受けていないこと。
・ 安全運転および乗降介助等ケア輸送サービスに係る講習を受講すること
・ 道路運送法の欠格事由に該当しないこと。
●旅客自動車運送事業者の要件
・ 運行管理、訪問介護員等運転者への指導、監督、苦情処理、安全の確保、旅客の利便の確保を指定訪問介護事業者である旅客自動車運送事業者が行うこと。
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●使用車両
・ 福祉車両、軽を含む乗用自動車で運転する訪問介護員等が使用権限を有すること
・ 対人8000万円以上および対物200万円以上の任意保険、もしくは共済に加入すること
●許可期限は2年
運賃については法4条、法43条に基づく運賃、料金申請の際におこなうことも可能ですが、法4条、法43条に基づく運賃、料金のように自動認可運賃に縛ら れずまた、原価計算書なども不要のため柔軟な料金設定が可能です。メーターの設置も必要なく、トリップメーターや時計を利用した運賃の収受が可能です。
福祉有償運送、過疎地有償運送
ここで、法4条、法43条に基づく許可と法80条の許可の親亀 と子亀の関係によらず法80条の許可のみにおける申請が認められるケースがあります。
前提として地域によって公共交通機関が十分ではな く、移動に制約ある者または住民などが十分な輸送サービスを確保できないと地方公共団体が認め、非営利法人などによる福祉有償運送、過疎地有償運送の実施 管理のため、地方公共団体を含む関係者による運営協議会を設置し、判明した問題点などについて速やかに報告する体制を整えた場合、特定非営利活動法人 (NPO)、社会福祉法人、医療法人、公益法人など非営利法人がこの運営協議会との協議を経て道路運送法80条1項の申請を行った場合、許可されます。
ただし、運賃は非営利活動法人に限ることから実費の範囲内、おおむねタクシーの上限運賃の2分の1以下を目安にして判断されることになります。