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指定の取り消し
不正請求による営利法人の指定取消だ けではなく、東京都の2007年6月18日付プレスリリースによると区立の特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、短期入所生活介護事業所でも、運営す る社会福祉法人の運営(指定管理者)に不正請求があったとして指定取り消しがされています。区は、保険者でありながら他の区立の特別養護老人ホーム、通所 介護(デイサービス)を含め指定の更新ができないと言う状態にあります。
今後も、介護保険制度が保険制度を利用し、公費も投入されている 以上、指導監査は厳しくなっていくと考えた方がよいでしょう。思いがけず、書類の不備などから不正請求との指摘をされることもあります。日頃から必要な書 類の保存、記録の内容につて整理をしておくことも必要です。
指導監査とは?
そもそも指導監査とは、都道府県知事または市町村が必要があると認めるとき、事業者などに対し・・・
1、報告、帳簿書類の提出、提示を求め ること
2、事業者、事業所の従事者の出頭を求めること
3、都道府県職員による質問、立ち入り、帳簿書類などの物件の検査
を、 行うことができます。
指導監査については、拒否することができず、速やかな対応が求められます。
指導監査 の場合は、事前に書類の準備などが事業所へ通知されているようです。ではどういった書類を事業所に準備しておくと良いのでしょう?
書類の 備え置きなどについては、サービスごとに規定された運営基準に定められています。
●指定居宅サービス等の事業の人員、設備および運営に関する 基準
平成11年3月31日厚生省令第37号
最終改正年月日:平成18年3月14日厚生労働省令第33号
● 指定居宅介護支援等の事業の人員および運営に関する基準
平成11年3月31日厚生省令第38号
最終改正年月日:平成18年 3月14日厚生労働省令第33号
●指定介護老人福祉施設の人員、設備および運営に関する基準
平成11年3月31日厚生省令第 39号
最終改正年月日:平成18年3月14日厚生労働省令第33号
●指定介護老人保健福祉施設の人員、施設および設備並びに 運営に関する基準
平成11年3月31日厚生省令第40号
最終改正年月日:平成18年3月14日厚生労働省令第33号
● 指定介護療養型医療施設の人員、設備および運営に関する基準
平成11年3月31日厚生省令第41号
最終改正年月日:平成 18年3月14日厚生労働省令第33号
●指定介護予防サービス等の事業の人員、設備および運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防の ための効果的な支援に関する基準
平成18年3月14日厚生労働省令第35号
●指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及 び運営に関する基準
平成18年3月14日厚生省令第34号
●指定居宅サービス等および指定介護予防サービス等に関する基準に ついて
平成11年9月17日老企第25号
●指定地域密着型サービスおよび指定地域密着型介護予防サービスに関する基準につい て
平成18年3月31日老計第0331004号他
この規定を熟読するのが難しい場合にはこういっ たものも利用をお薦めしています。
東京都には指導検査を所管する福祉保健局指導監査部指導一課という部署があります。ここのホームページには介護保険(居宅サービ ス事業所など)指導検査基準そして介護保険(居宅サービス事業所など)自己点検票が掲載されていますのでこれを活用するのも方法ですね。
取消と、新規指定申請、更新申請の欠格事由
指導監査により
1、都道府県知事 は、事業所が、厚生労働省の定める指定基準の人数を満たしておらず、または設備および運営に関する基準に従って適正な指定居宅サービスの事業の運営をしてい ないと確認できたときは、期限を定めて、基準を遵守するよう勧告することができる。
2、勧告を受けたにもかかわらず期限内に勧告に従わな かった場合は、都道府県知事はこれを公表することができる。
3、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、事業者に対 し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
4、 都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合においては、その旨を公示しなければならない。
5、 市町村は、設備および運営に関する基準に従って適正な指定居宅サービスの事業の運営をしていないと認めるときは、その旨を事業所の所在地の都道府県知事に通 知しなければならない。
となっています。
この勧告によっても、従業者の人数が満たせない、設備および運営に関する基準に 従って適正なサービスの提供ができなくなったと判断された時には、都道府県は聴聞のうえで指定を取り消すことができるとされました。
このほかにもこういった場合にも取り消しできます。
・指定居宅サービス事業者が、要介護者の人格を尊重するとともに、この法律又はこの法律 に基づく命令を遵守し、要介護者のため忠実にその職務を遂行する義務に違反したと認められるとき。
・居宅介護サービス費の請求に不正が あったとき。
・上記の監査指導の際、報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
・上 記の監査指導の際、事業者、従業者が出頭に応じず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは避けたとき。
・不 正の手段により事業者指定を受けたとき。
また、事業所が取り消しを受けた場合、取り消しを受けた事業所の法人、そして「そ の法人の役員など、管理者が在籍する」法人が申請する新規指定申請や、既存事業所の更新申請は欠格 事由に該当し、拒否されます。
なお、改正法施行日前(2006年4月1日)前に受けた 指定取消などの処分については、施行日後の事業者の指定、更新、取り消しなどの欠格事由および取消要件については適用しない、とされています。
また、指定・更新・取り消しなどの規定は指定居宅サービス、指定介護予防 サービス、指定居宅介護支援、指定介護予防支援といった介護サービスの指定・許可の類型ごとに適用されます。例えば、指定訪問介護事業者が取り消 しを受けた場合、指定居宅サービスである通所介護や、福祉用具貸与でも新規指定申請や更新は受けられないこととなります。
今回の報道され た営利法人の事業所では指定の取り消しの前に事業所の廃止届が提出されました。
申請者が、指定を取り消され、その取消しの日から起算して 五年を経過しない者であるときは新規、更新の申請ができないため廃止届を届け出たようです。
しかし、改正介護保険法では、申請者が、指定 の取り消しの処分に係る聴聞の通知があった日からその処分をする日または処分をしないことを決定する日までの間に事業の廃止の届出をした者、指定の辞退を した事業所も新規申請、更新申請の欠格事由に該当します。つまり、廃止届を出して取消処分を避けたとしても、欠格事由に該当する可能性は大きいわけです。
今後も、こういった情勢や世論を背景に、指導監査の際には厳しい対応が予想されるでしょう。