介護ビジネスで起業・独立 Vol.24 介護事業に係わる3つの法律

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
介護事業は、福祉 事業として介護保険法や障害者自立支援法に基づく法令遵守が必要となるほか、多くの法律に基づく取り組みが求められています。今回はその点についても見て いきましょう。

 

 ここまで、それぞれサービスごとに介護事業についてお話しをしてきました。しかし、介護保険に基づく介護事業や障害者自立支援法に基づく支援事 業を行う場合、それぞれの根拠法に規定されることを遵守すれば良いというわけではありません。

 

建築物の規制

16-1 現在、福祉への取り組みはまちづくりの取り組みとともに行われるようになりました。高齢者、障がい者などの移動等の円滑化促進に 関する法律(バリアフリー法)により、高齢者、障がい者、子ども、妊婦の方が建築物を利用するときに支障となる障壁(バリア)を取除いた建築物の建築促進 が図られています。また、バリアフリー法に基づき、都道府県が条例により地域に特性の合わせさらに詳細な取り決めを行っている場合があります。

 また、市区町村の取り組みによってまちづくりの条例などを規定している場合が多く見られます。

 建物の規模によっては、福祉施設の入居により新たにこの法律、条例への適合が求められたりする場合がありますので開設にあたっての物件探しにはこ ういった点にも配慮が必要な場合があります。実際の開設場所を探す場合、多くは新築で物件を建設することよりも賃貸借することがほとんどかと思われます。 物件によっては福祉施設の入居により用途変更の必要や、サービスの申請にあたり建築確認済証が必要となる場合もありますので注意が必要です。

 

防災への取り組み

16-3 2006年の長崎県の認知症対応型共同介護(グループホーム)火災では、7人が亡くなりました。高齢者や障がい者は避難が難しい ということも前提に準備しておく必要があります。

 消防設備については消防法に規定があり、この火災事故をきっかけに、グループホームはスプリンクラーをつけることが必要になりましたが、高齢者専 用賃貸住宅を含め、入居をするということは、設備だけではなく、人員の夜間態勢などにも配慮する必要があります。

 また、通所型の施設であっても通所介護(デイサービス)などは、消防法上、福祉施設として分類されます。施設、建物の広さに応じて消火器具や屋内 外消火栓設備、自動火災報知設備など必要な消防設備を確認のうえ事故予防にも配慮していきましょう。消防設備の設置、増設が必要となる場合は、思わぬ費用 がかかることもあり注意が必要です。

 また、サービスの運営規程では防災、避難訓練に取り組むことを規定する必要があります。

・非常災害対策

・消防計画および災害に対処するための計画の策定

(消防法施行規則第3条に規定する消防計画および風水害・地震などの災害に対処するための計画。消防計画の策定および消防業務の実施は、消防法第8 条により防火管理責任者を置く事業所はその者が作成する。)

・避難訓練などの実施計画

 

行政による制限

 改正介護保険法では、地域と密接な繋がりのもと行うべきサービスとして、いくつかが地域密着型として分類され、 区市町村が指定権者となりました。

・夜間対応型訪問介護

・認知症対応型通所介護

・認知症対応型共同生活介護

・小規模多機能型居宅介護

 以上のサービス(介護予防を含む)については設置数、開設時期については市区町村が計画的に行っており、申請の受付時期も一定期間のみの場合がほ とんどです。

 また、介護報酬の急増や設置に地域的偏向があったことから特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームについては市区町村の定める設置計 画を設置が上回る場合には、設置開設が抑制されています。

 また、障がい者施設でも、サービスによっては近隣の利用状況から実質の設置開設の抑制が市区町村から暗に示されるケースも耳にしています。

 このため、設置開設を予定する事業では行政における情報の収集、事前協議が欠かせなくなっています。介護事業は必ずしもやりたいという気持ちだけ では立ち上げることができない側面を持っていますので、事業環境にも配慮してその立ちあげをされることをお薦めします。

 

全24回に渡って・・・

 さて、今回をふくめ24回にわたって、介護事業についてお話をして参りました。

作成ページの文字数の都合もあり、介護事業のすべてをお伝えできたというわけではありませんが、お役に立ちましたか?

 ひとまずはここで、筆を置き、事業者の方々のお話に耳を傾けていきたいと思います。ご質問についてはDREAMGATEのメール相談、面談をご活 用ください。

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