起業の心得:ゲンイチ第90回 アグリベンチャー

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

みなさん、種苗(しびょう)登録って知っていますか?品種登録って言った方がわかりやすいですかね。作物の特許?実用新案?みたいなものです。種や苗を登録することで、植物新品種育成者の権利を保護し、多様な新品種の育成を活発にするための制度です。ホームセンターで売っている花や野菜の種も、農家が生産するすべての作物の種にも、このロイヤリティーが入っています。

こんな話を上海の浦東でしてきました。浦東といえば、空港、保税地区、工業団地が有名ですが、実は、その他に農業特区としても重要な地域なのです。農業も上海では一大産業です。この特区は総面積140ヘクタール、東京ドーム30コ分の広さに、70軒の農家……・、違いました。上海では農家とは言わないです。農業も事業ですから、70の企業が入植しています。外国企業は4社のみ、台湾企業が3社、そして、僕が訪問した上海百奥微繁殖物有限公司が日系で1社。今日はそこの総経理、土下信人さんのお話です。

彼の専門は種や苗の開発です。まさしく、植物新品種育成者です。企業や政府の仕事を経て、上海に来る前は沖縄の経済連でパイナップルの品種改良をしておられました。そして、この特区に品種改良の指導に来られたのです。ところが、この特区が民営化されることになり、彼もここで事業を立ち上げることにしたのです。彼は観葉植物の苗を試験管で培養して、その苗を日本の農家に輸出しています。今では、苗だけでなく成長した商品も手がけておられます。4号鉢の小さな観葉植物を、商品としてホームセンター業界に輸出するところまでたどり着きました。
僕のblogに写真があります。よかったら、そこを見てください)

そして、今企画しているのは、雲南省でのバラ、カーネーション、夏イチゴの栽培です。夏イチゴと言えば8月にジャスダックに公開した株式会社ホーブですよね。ホーブの勝利は生産技術だけではなくて、マーケティングがうまかったと土下さんは分析しておられました。

話は最初に戻りますが、土下さんは中国での品種登録の代行業務もしておられます。最近ではオーストラリアのフロリジン社の「青いカーネーション」の種苗登録を手伝っています。でも、模倣が盛んな国でそんなの守れるのですか?っていう僕の質問に、「小さな農家がちょこっとマネして作るのは、そんなのやらせておけばいいのです。問題は国営企業がロイヤリティーを払わないで量産するのが問題なんです。ここをがっちり抑えれば、とってもいい事業になります」
土下さんは種苗登録(権利ビジネス)から培養技術、培養技術から量産システム、そして、流通、マーケティングまで、上海でのアグリベンチャーを目指しておられます。

土下さんが最後にこのようにおっしゃいました。「吉田さん、工業の世界と一緒で農業も量産ではもう日本は勝てない。日本は基礎開発で勝って、世界の生産拠点で作らせる。僕は農業のプロデューサーを目指します。アグリビジネスの企画開発会社です」
土下信人さん、56歳!30年の経験をここ上海でかける熱いアントレプレナーでした。

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