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『ケータイコンテンツのリッチ化』
テーブルを使ったレイアウトやCSSによるデザイン、FLASHコンテンツなどケータイコンテンツをリッチにする環境はほぼ整った。さらに昨年は動画を売 りにしたサイトが相次いでオープンし、いよいよケータイもここまで来たか、という感がある。
パケット定額制利用者の増加も追い風とな り、コンテンツのリッチ化の流れは今年も止まりそうにない。とくに動画は──
・誰もがすぐ楽しめる、暇つぶしにちょうどよい
・一 度見始めると、思わず次々と見てしまう(習慣性がある)
という点から、スティッキー(粘着性=お客を放さない)コンテンツとして威力を発 揮する。わたしも、とあるサイトの運営でそれを目の当たりにした。
画像・動画の投稿専門サイトや、それら機能を実装したコミュニ ティサイトが相次ぎ登場しているのは集客力やユーザー活性化に大きな効果があるためだ。
現状のケータイ端末では画質や音声品質の点で 「楽しめるというレベルではない」という声も聞かれるのは事実だが、「3.5世代端末=高速度通信端末」は徐々に市場に増えている。FLASH動画など配 信方法の選択肢も増えた。今年はケータイ動画のクオリティも「楽しめる」レベルになると見える。
そのとき問題となるのは、むしろ鑑賞す るのに適当な尺と演出を兼ね備えた動画コンテンツではないだろうか。PCインターネットで見られるYoutubeでの公開を意識したような動画コンテンツ 制作の熱気が、ケータイの世界でも現れ、大きな流れになる。
もっとも、iPhoneユーザーの視点から見ると、ケータイの進化を謳うの は少し滑稽だ。
「FLASH? CSSデザイン? フツーですけど、なにか?」
Safariのサブセットブラウザ ならば、コンテンツに携帯用PC用もないだろう。無線LANインターネット環境があれば、Youtubeもオンラインゲームも、パソコンと同じように楽し めるのではないか?
カメラ付きとのことだから、iPhone1台でムービー撮影・編集・オーサライズ・公開・閲覧がすべてこなせることもでき る??(未確認) そんなことになれば、ネット動画フリークにはたまらないガジェットとなること間違いない(…と、書いている側から欲しくてたまらなくな るんですけど)。
蛇足ながら…
最近のPC用WEBの世界では、WEB標準のXHTMLファイル+CSSという組み合わせが一般 化してきている。
スマートフォンの利用が普及するにつれ、モバイル端末から閲覧するときのユーザビリティも考慮されるようになる だろう。
たとえば、スマートフォンブラウザからのアクセスにはモバイル環境から利用しやすいデザインのCSSファイルが適用される、といったしく みはすぐにも実現可能だ。
ケータイWEBを活用したマーケティング展開を考えるならば、そのような進化の方向性を軸としてサービス設計 するのも一つの案ではないか?
『誰も見たことのない、企業カップリン グ』
本記事を書いている途中、「PRADA」ブランドのケータイを欧米で発売されるというニュースが飛んだ。
耳の早 い人は聞いていたと思うが、
「ラグジュアリーブランドが独自ブランドのケータイを発売するらしい」
という 噂は昨年から飛び交っていた。(わたしが聞いていたのは、「P」ではなくて、「L」という話だったけど…)
身に付けるアイテムである ケータイとアパレルブランドとは非常に相性がいい。現在進行形で、日本のケータイ端末メーカーも人気アパレルとコラボして限定モデルを発売しているし(サ マンサタバサ×N903i)、過去、私も広告企画としてケータイ×アパレルのコラボレーション企画をお手伝いをしたことがある。
世界全 体での年間端末出荷台数が10億台(!)というご時勢、「ケータイ端末」は世界的なアパレルブランドも無視できないアイテムと化してきている。
今回の「プラダ」ケータイは韓国・LG電子とのデザインコラボレーションとのことだが、今後、移動体通信事業者(キャリア)から回線を借りてキャリアサー ビスを提供する「仮想移動体通信サービス」(MVNO)を仕掛けてくる企業も出てくるのではないだろうか?
端末メーカーと協働して仕立 てた端末にはもちろん、特別な通信サービスが付加される。となれば「ブランド大好き」「他人との差別化大好き」な大和撫子たちのことだ。iPhoneよ り、こちらを選ぶ人の方が多いだろう。
噂になって出てくるくらいだから、すでに水面下では複数の「誰も見たことのない企業のカップリング」の話が 進行しているはずである。
(MVNOのサービス企画でブレーンを必要としている企業があれば、参加しますよ!)
ケータ イ企業×他業種企業のコラボだけではない。今年は同業のアライアンスやM&Aが本格化するだろう。
コンテンツ販売や実験的なケータイ EC事業を続けてきた「ケータイ企業」は、昨年あたりから新しい事業シナリオを模索してきた。コンテンツの売り上げが減少するなかで、ソリューション、請 負コンテンツ制作、自前メディアの広告事業などを事業の軸に据えられないか、と目論みながら…。売り上げが厳しくなってきたのだ。
一方、 ソリューションや企画・営業力にすぐれたケータイ企業は時代のニーズを着実にモノにして、破竹の勢いの快進撃。
「パンクしそうなほど。」
と 漏らす企業もあるほどだ。
今年、このケータイ企業同士の格差がアライアンスやM&Aへと繋がってゆく。また、技術力あるケータイ 企業が事業運営に困窮しているという状況は、ケータイ分野での新規事業立ち上げを考える大手企業の事業スタート方法の選択肢を増やすことになる。
昨年末には、ケータイの老舗企業同士のアライアンス(KLab×IMJモバイル、KLab×CAモバイル)など、すでに力のあるケータイ企業同士が団結を し始めているという動きもあった。この先は本当にどうなってゆくかわからない。「誰も見たことのない企業カップリング」は、ここでも見られそうなのだ。
いずれにせよ、今年はケータイビジネスにとっての大きな節目の年になる。そして、iPhoneの登場が、その節目の年のスタートを明るくし、複雑にもして くれた。確かなのは、これからも人類はケータイを求め、ケータイを通じたコミュニケーションの量が増えてゆくということだ。
私…という か弊社も、より多くの人たちにケータイの活用を呼びかけるべく、ケータイでのマーケティングをバックアップするメールマガジンの発行を始めた。ニュースレ ターを通じて、ケータイ活用のポイントやノウハウを無料で提供しようという試みである。興味ある方はご登録ください。