Vol.21 ケータイサイト制作費が激安になる新サービス

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
これまでケータイ WEBが十分に企業で活用されなかった理由はふたつの「コスト高」だ。ひとつは一般サイト(勝手サイト)の集客コスト高。もうひとつはシステム構築のコス ト高である。 前者についてはキーワード検索で大きく状況が変わった。後者についても、大きく変わってきている。ケータイWEBサービス構築のための廉価なASPサービ スがどんどん登場しているからだ。

ケータイサイトの制作費はPCサイトの3倍?

  昨年の夏のこと。クライアントが「システムパートナー会社から出てきました」と見せてくれた見積書を見てびっくりした。ケータイサイトのユーザーインタ フェイスとデザインのリニューアル案件。コーディング修正額だけで約○千万円。予想の数倍以上の金額だ。

「3キャリア分のページ改修が必 要になるので、コーディング費は3倍になります」

 問い合せると、開発会社はそう回答してきた。ケータイサイト制作では時々耳にする話な のだが、実際に体験するとそんなバカなことがあるかな…と、呆れてしまった。

 3キャリアの端末に対応するという要件にしたのは発注者側 だ。システム会社はその要望どおり、自社基準に沿って見積もりしただけのこと。ぼったくりやインチキをしているわけではないのは確かだろう。

  しかし、
 
「え? ケータイって、3倍もかかるんですか? こんな、画面小さいのに?」
「インターフェイスとデザインのコーディ ング修正だけで○千万円って、ありえないでしょう?」

と、驚くのが普通ではないだろうか。
(もっとも、クライアントは事情をよく 知っていたので、 特別驚いてはいなかった)

説明を求められたら、きっと開発会社はこんなふうに回答するのだろう。

  「みなさん最初は驚かれますが、ここがケータイサイトづくりの難しいところなんです。
 しかしキャリアさんが異なる記述言語規格を採用しているせ いであって、弊社が悪いわけじゃありません」

はあ、そうですか。キャリアさんのせいなら仕方ないかもなあ…。
と、呆然としている ところに、運用費見積書がぺらり。

「それに、ケータイ電話は新機種が次々発売されます。
 ケータイサイトはですね、サイトが完成 したあとも対応機種追加のメンテナンスが必要なんです」

むふむふと鼻をふくらませて笑う営業さんの顔を見ながら、サイト開発を断念した企業 は少なくないだろう。
 

ケータイソリューションASP、つぎつぎ登場

も し以前、上で書いたようなことを体験した企業担当者の方は、しかし、安心してほしい。
ケータイを活用しようという起業家の皆さんにも、声を大にし て言いたい。

ケータイサイト構築をめぐる状況は、完全に変わった。

ケータイサイトASP(アプリケーショ ンサービスプロバイダー=必要機能をあらかじめ組み込まれた、WEB経由で利用可能なシステム)サービスの充実ぶりがすばらしいのだ。
「マーケ ティングにケータイを利用しよう」というなら、最初にASP利用を検討する時代が来た。

 まずコスト。完全オーダーメイドのシステム構築 と比較すると、桁がひとつふたつ違ってくる。きわめてローコストでケータイサイト活用をスタートできる。
気になるメンテナンス。わたしの知る限り では、ケータイ端末の進化に合わせたアップグレードもあらかじめ料金に含まれている。

 次に、使い勝手。自由に機能設計できるわけ ではないから「どうしてもオリジナルの機能が必要」という場合、満たされないかもしれない。

 しかし、ASPと自社開発システムをツギハギ に利用したり(ケータイのWEBはURLが画面に表示されないので、サービスをツギハギしても利用者には気づかれにくい)、逆にASPの制限の範囲ででき ることを元にサービスをスタートさせるなどの工夫で事業のコストを大幅に圧縮できる。

 そして機能性。とくに昨年末あたりからさまざまな機 能の新サービスリリースが目立つ。ケータイサイト構築はもちろん、メール送信、顧客管理、EC、CGM・SNS、GPS・位置情報、動画配信など、「へ え、こんなのまで?」と思えるほどだ。

 

[ASP利用のメリット]

●利用料金が(システム開発と比較して)安い
●料金や使い勝手、機能などで比較検討可能
●サイト構築までのリードタイムを短縮できる
●コンテンツ制作や更新がラクにできるような工夫が施されている
●ケータイ端末の進化に合わせて自動的に機能がアップグレードされる

[ASP利用のデメリット]

●自由なサービス設計ができない(利用できる機能や設定に制限がある)
●提供社・他利用者原因のトラブルに影響される可能性(トラフィック急増など)

■ なんと、キャリアまで参入してきた

 なんと4月からは携帯キャリアNTTドコモがモバイルマーケティングのトータルASPサービス提供を 開始するという発表があった。

NTTドコモ「モバイルアベニュー」
*********************************************

<「基 本メニュー」の内容>

    * 会員の登録、修正、削除、および会員登録情報の検索、確認
    * オリジナル携帯サイトの作成、トピックス情報の掲載
    * 属性に合わせたメールマガジンなどの会員向けメール配信
    * アンケートの実施、集計
    * クーポンなどの販促情報の配信
    * 懸賞の募集、抽選や当選者へのメール送信

<「オ プションメニュー(順次提供予定)」の内容>

    * イベントなどのチケット発行など
    * 顧客へのポイント付与、管理
    * おサイフケータイやQRコードなどの会員証の発行、受付など

*********************************************
   
 おサイフケータイとの連動など、ドコモならではのソリューションも予定されているようだ。一方で、他キャリアに対応するサイトづくりはどこま で対応するのか? 巨大企業だけに価格はどうなの? など、現時点では疑問も多い(詳細発表が待たれる)。
しかしASPを利用しようと考えている 企業や起業家にとっては新しい選択肢の登場になる。なんといってもドコモがプロデュースする勝手サイトだ。「公式・勝手サイト」という新しい概念が出てく る可能性もあるではないだろうか? とりあえずは心強い。

 一方で、ケータイASPサービスを提供する企業やその分野で起業しようという アントレプレナーにとっては大きな衝撃だ。
巨大キャリア企業が自ら周辺サービス事業提供に乗り出すことには批判も出るだろう(表立って批判できな い立場の企業が多いのも事実なのだが)。

 ただ、俯瞰して見れば「モバイルマーケティングソリューション」という市場分野の拡大にプラス であることは間違いない。すでに海外の同市場もかなり温まってきており、競争相手は国内ばかりではなくなってきている。むしろ競争の本格化を切磋琢磨の機 会として歓迎するくらいの骨太さが必要ではないかと思う。

 サービスを利用する側も、提供する側も「ケータイASP」の展開にしばらく目 が離せそうにない。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める