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大挑戦者祭!
私自身「大挑戦者祭」には初参 加。噂には聞いていたが、なるほどものすごい集客だ。赤坂見附から赤坂プリンスまでの道すがら、ロゴ入り紙袋を下げた多くの人たちとすれ違った。一見した ところ、コンベンションの往来でよく見る風景と同じだ。しかしこのひとり一人が経営者か、未来の経営者なのだ。それぞれの思いを胸にビジネスをスタートさ せている、あるいはスタートしようとしている人たちだと思うとぞくぞくした。ドリームゲートさんの活動にあらためて拍手を送りたい!
カンファレンス 「モバイル」
「ケータイで育ったような若い経営者たちが参入 してきたら、既存プレイヤー企業はちょっと怖い」
『未来のモバイルビジネスによって、人々のコミュニケーション方法を変えて いく』
とタイトルされた「モバイル」のカンファレンスの結論を要約するとそういう話になりそうなのだが、その詳細についてはずっと後のほうでご紹 介させていただくことにしよう。
このパネルディスカッションには、以下の個性的な4名の方々が参加した。
・KLab株式会 社 代表取締役 真田哲弥氏
・株式会社ドワンゴ 代表取締役 川上量生氏
・株式会社NAVIBLOG 代表取締役 マンダリ・カレン シー氏
・モバイル・コンテンツ・フォーラム 事務局長 岸原孝昌氏
本コラムの熱心な読者は「おっ!」と思われたかもしれな い。マンダリ・カレシー氏は、わたしが以前インタビューさせていただいた「モバイル業界の世界的スター経営者」である。本稿でのご紹介をキッカケにカン ファレンスに参加する運びとなった。お役に立てて光栄。ナビゲーター冥利につきるというものだ。
公式サイトビジネスは終わったわけではない?
2時間にわたるパネルディスカッションで話された 話題をメモで紹介しよう。ディスカッションは白熱し、業界の中心にいるプレイヤーたちならではのホットな話題がいくつも飛び出した。
●モバイルビジネス環境についてのおさらい
- モバイルビジネスは「公式メニュー」という参入障壁構築と広告宣伝費不要のモデルの下での
「月額定額課金」によって成功した
- この特殊環境が数多くの成功を生み出した
(真田氏)●新しいビジネス環境についての確認
- 検索の利用へのシフト。ドコモでは6-7割が一般サイトアクセスになっている
- パケット定額制利用者が市場の2割を占める。1年後には4割になるという予測もある。リッチコンテンツ化
が進行
- 公式コンテンツビジネスが伸びなくなったといわれるが依然2割の伸び。約3000億円
- モバイルコマース市場は4000億円を超えた
(岸原氏)
- 広告だけが伸びることはない。広告はお金が使われる場所の近くに行く。
モバイルコマースがもっと伸びて、その近くに広告が入るようになる。
モバイルコマースはPCのコマースを抜くと確信している
(真田氏)●「公式サイトモデル」はもう終わったのか?
- 終わった(カレシー氏)
- 終わっていない(真田氏)
- 終わっているわけではない。ただし、下位企業の淘汰は出てくるだろう。(真田氏)●「WEB2.0」のモバイル版=「モバイル2.0」は出現して、どのようなビジネスが成功するのか?
- ブランド検索からユーザー囲い込みが進むのではないか?
また、mobile2.0とは、PCとモバイルの相互利用が前提である(カレシー氏)
- 動画サービスなどはPCとのサービス融合が考えられると考え、「ニコニコ動画」を開発した(川上氏)
- 能動的な利用の多いPCと受動的な利用の多いモバイルと位置づけると、モバイル限定のCGMは難しい。
ケータイからのアップロードは品質がまだPCほどになっていない(真田氏)
- 現在の書籍売上TOP10のうち、6本までが「ケータイ小説」出身の物語。可能性がある(岸原氏)●PCとモバイルとの棲み分けと融合
- わたしたちはもともとPC中心利用者である。
ケータイ中心利用者の若者層がサービス開発に参入したら、わたしたちより速い可能性がある。チャンスだ
(全員)●モバイルならではの新しいヒットサービスとはどんなものになるのか?
- リアルでしか利用できなかったフェリカ決済がNET決済に利用されるようになる。
利用が爆発的に伸びるのは3/18から首都圏で開始される「PASMO」サービスがキッカケに(真田氏)
- YouTubeの投稿動画のような「意味のない熱意」を今後どのようにビジネスに活かすかがポイント
ではないかと考える(カレシー氏)
- もう一度「メール」に視線が集まるのではないか?(川上氏)
- 「デコメール」は「着メロ」の次の有力コンテンツになるかもしれない(岸原氏)
- BT広告(行動ターゲッティング広告)への新規参入は注意が必要。
ある程度大規模なメディア・ユーザーを抱えていないと、赤字になるモデルである(真田氏)
話 題が「起業家向け」でなく「モバイル業界」向けになっているのは、真田氏が会場内で参加者に挙手によるアンケートを実施した結果、「業界話題」を希望する 人々が多かったからである。
また、参加者からの質問コーナーでは、
「ケータイの画面サイズが小ささは今後どうなってゆくと思う か?」という問いに…
- このサイズ以上になることはない。
今後、日本においてはスマートフォンサイズの電話はありえないからだ。
各メーカーがチャレンジしたがいずれも10万台を下回る売れ行き止まりのため。
(真田氏)
「画 面の小ささがユーザーへの訴求力を限定しないか?」という問いには…
- 画面の大きさだけが問題ではない(真田氏)
- 作り込みが大事なのだと思う(カレシー氏)
各パネリストからのメッセージ
- ケータイ分野でぜひ起業してください(カレシー氏)
– 起業はすべきではないと思う(川上氏)
- ケータイはアメリカ大手企業と競争しないでいい。
また3年後の技術仕様と出荷予定数量がわかる産業。こんなチャンスはない。
(真田氏)
- 「ケータイがなにか」を知らない人たちがケータイサービスを作っているのが現状。
もっと若い世代の「ケータイだけで生きている」という層に起 業してほしい
(岸原氏)
なるほど、よくまとまったカンファレンスだった。
こうして、テキストを読む だけでも、ちょっとした刺激を感じるのではないだろうか?
わたし自身、ディスカッションを通じて注目すべきキーワードをいくつか発見し た。
次回、それらを取り上げて解説や私見を述べさせていただこうと思う。