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ファサード(店構え)でアテンション
なんといっても飲食店は店構えです。物販店は「見るだけ」で店内に入って来ることはありますが、飲食店の場合、食べたり飲んだりしないとそのお店の良さが わからないということに加え、一度入るとなかなか出にくいという方も多いので、お店のファサードはとても重要になってきます。
例えば、路面店で繁華街の好立地なのに競合店が多く目立たない、という環境の場合でも、ファサードをひと工夫するだけで、お客様の入りがずいぶんと違って くるものです。まずは廻りのお店をよく見渡して、他のお店よりも注意を引くように看板や外壁に手を入れてみましょう。ここで注意しなくてはならないのは、 物件が自分の持ち物であれば問題ありませんが、賃貸物件の場合、家主さんによっては穴をあけたり、現状復帰できないものは許可されない場合もありますの で、事前に確認をとってからデザイナーや工務店に相談しましょう。
デザインのポイントは、なんと言っても目立つことと個 性的であることに尽きます。例えば色でアテンションする場合、お店のロゴや、マークのカラーリングが決まっていても、看板用にアレンジすることも必要で しょう。いくらかっこいいロゴをデザインしても、見てもらえなければタダの自己満足というものです。依頼する場合は「個性は大事にしつつ、廻りよりも目立 つようにしてほしい」とはっきり主張してデザインしてもらいましょう。
ちなみに写真のお店は路地の突き当たりで、立地的にはまったく目立たないので、外装にこだわり、内装はシンプルにした成功店の一つです。看板や外装のデザインのお話は、また個別にくわしくお届けしようと思いますのでお楽しみに。
路面店とインショップ(ビルイン)の考え方
これについては賛否両論、侃々諤々(かんかんがくがく)、いろいろあるとは思いますが、私はどちらがいいとはいえないと思います。路面には路面の良さがあり、インショップにはインショップの良さがあるものです。
インショップの場合は、大手のブランド力やランドマークのようなビルそのものに集客力があると考えられがちですが、それにあぐらをかいて失敗した例はいく らでもあるものです。また、多くの場合地下街やデパートに付随した専門店街などは、保証金がとても高く、資金計画に無理があったため、常連客がついて売上 が安定する前に、食材の仕入れもままならずあえなく閉店というパターンも良くあるお話です。路面店の場合もしかり、繁華街や目抜きとおりであっても、必ず流 行るという保証はどこにもありません。
もし、運良く事業計画の予算内でいい立地条件に恵まれた場合は、好立地であるが故の油断ということが一番の大敵だということを認識して、「流行るお店創り」に取り組んでいきましょう。
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不利な立地をカバーする決め手は販促戦術
運やタイミング、巡り合わせ、資金、その他いろいろな理由で、不利な立地条件でお店をオープンせざるおえない場合、魅力あるメニューや、接客でカバーしなくてはならないのはもちろんのことですが、やはり広告戦略や販促戦術での考え方が重要になってきます。
先にお話しした、外装や看板でカバーするのはもっとも有効な方法の一つですが、本当に人とおりが少ない場合はこれだけではカバーできないので、他の方法も併用し て取り組む必要があります。例えば、人とおりの多いところまで進出してビラを配ること。これは飲食店の場合もっとも重要な販促戦術です。競合店が多い場合、 これなしではお店は成り立たないといっても過言ではないでしょう。
また、商圏を広げて販促戦略を展開することも考えま しょう。一般的な商圏の捉え方で、小さなお店の場合、徒歩や自転車で行ける距離として、よく半径1.5kmとか2kmの小商圏でポスティングやハンティン グ(手配り)などを行いますが、不利な立地の場合はそんなことは言ってられませんので、中商圏を意識するとか、隣接エリアにまで広げた展開が必要です。
お店の武器は立地だけではない
とはいうものの、お店にとって立地というものはもっとも重要なファクターです。実際、多くの方がお店として起業される場合、立地を最優先で考えてしまいます。そのため出店するタイミングが遅れたり、資金的に無理のある物件になってしまったりするのです。
でも思い出してください。例えば賃貸マンションを探して決めるとき、100%満足できる物件が見つかった方は稀にしかいないでしょう。知人などに聞いてみ た感覚では、だいたい5件から10件、もっとも多い場合は55件という例もありましたが、多くの場合の物件を見てその範囲で決まるようです。
お店の場合もしかり。私は今まで200件以上の小さなお店に関わらせていただきましたが、100%満足だった物件はほんの数える程です。お店のコンセプト やターゲットにふさわしい物件をピックアップし、資金面での条件や、スケジュールのタイミングというものがありますので、だいたい10件程度の範囲で決ま るものなのです。
立地はお店の重要なファクターには違いありませんが、お店の「ウツワ」の中の一要素に過ぎません。立地が悪ければお店は流行らないということは絶対にありません。先にお話しした方法以外にも、立地の悪さをカバーする方法はいくらでもあります。
満足できる物件を追うあまり、起業の時期を誤ったり、お店が流行らない原因を立地のせいにして、安易にあきらめてしまうということのないよう、あなたのお店を「ヒト・モノ・ウツワ・情報発信」というう観点から、総合的に戦えるお店にしていきましょう。
次回は立地の延長のお話で、具体的な物件の選び方や契約についてお届けします。